第十話「狩りの誇り」.2
彼女に渡したものは、ガントレット内のアーマーガンナーのパーツを少し流用する必要があったから、すぐには渡せなかった。けれど、ボクが近くにいる限りエネルギーは供給し続けられる。
『ただ、気を付けて。実弾はフィールドで防げるけど、光学兵器は出力を上げれば携行兵器でも十分貫けるから』
「そうなんだ。うん、気を付けるね」
『保険だと思っていいよ。最初に言った通り、君は必ず守るから』
「……他意はないんだよなぁ」
アーマーガンナーには生体融合金属という装甲が必要だった。単なる武装の保管庫ではない。だからこそ、彼女は決して傷つけさせない。
【フィオガ、色目を使っている場合じゃないですよ。先ほどのデバイスを通して、アナトさんに通信をしますね】
『いいの? 君は隠れていた方がいいじゃないか?』
【あなただけでは何か危なっかしいので、ここからは私もサポートします。大丈夫、上空に私の体であるタウホチャー号は待機させています】
――タウホチャー号?
『何それ』
【この船の自立運行システムは私が管理していますから、自由航行可能である。装甲剤はあなたのアーマーガンナーほど硬くはありませんが、機体表面はアクシャハラ・フィールドを展開可能ですのでご心配なく。火器も現行戦闘艇レベルとは言え装備して】
『そうじゃなくて。タウホチャー号ってなに?』
【……コンゴーから聞いてません? この船の名前】
『ごめん、初めて聞いた』
おそらくはクワハウ系の言葉でホチャーの船、とかいう意味になるのだろう。
もうちょっと何かあってもいいのではと思えてくる。ただ、ホチャーの疑似的な肉体であることに変わりはない。彼女――と言ってもいいAIにとって、実体のある肉体は大切だ。
【先ほど急遽作りましたシールドデバイスは、マスターフィオガからの遠隔エネルギー供給で機能しますから、離れていいのは二時間だけです。それ以上はあの大きさでは機能できなくなりますから】
『うん、わかった』
【それで、アナトさんにもこのことは伝えますから。それと、戦闘中は私があなたの思考言語を翻訳して伝えます】
ホチャーの言った通り、戦術AIによるサポートを行うことを伝える。直後、ホチャーの声がボクらに届く。
【こちらはフィオガ専属戦術AIのホチャーです。現在上空から周辺区域を探索しています。現在、あなた方の右後方からスペースパイレーツと思しき武装車両が接近しています】
「ひゃぁ~、すごいねフィオガ。こんな高度戦術AI、どこで発掘したの?」
【コンゴーからフィオガのために造られました。戦闘中はフィオガの会話デバイスが使えないので、こちらで伝えます】
「そうなんだ。よろしくね、ホチャー」
今のホチャーは、精神生命体と変わりがない。肉体がないと言うだけで、意志はある。むしろ自分より人間らしいと思えるのは、目の前で友達と彼女が気兼ねなく話しているからだろうか。
不意にそんなことを想った。
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