第九話「一つの手掛かり」.2
惑星ヴァーグスは、辺境の工業惑星の一つだ。
アンブロス・ジェネレーターの原型機が発見されたこの星は、ジェネレーターの発見以前からすでに工業化による惑星開拓が行われていた。
一時期はそれで辺境の惑星から一大工業惑星へ発展するかと思われた。
だが、すぐに各惑星でもアンブロス・ジェネレーターが発見され始め、発展と拡大の夢は露と消えた。
「だからここはいまだに多くの犯罪者が集まりやすい星で、しかも帝国側とも近いわ。あっち側にアンブロス・ジェネレーターの供給をしている業者だってあるんだよ」
『連邦の支配力が及ばない辺境地域っていうのが、よくわかる話だね』
「だからこそ情報も多いの。こっちよ」
アナトに連れられた入った店は、少し薄暗く多種多様な人種がテーブルについていた。
彼女は慣れた様子で店の中を進むと、カウンターの椅子に飛び乗った。ボクがその隣に座ると、店主らしき初老の男性がちらりとこちらを見る。
「ここに来るのは久しぶりだね、アナト。またバイトしてくれるのかい?」
「ごめんなさい店長、今日は働きに来たわけじゃないの。ちょっと聞きたいことがあって」
「グラフに頼んでいることを聞きに来たなら早すぎるんじゃないか?」
「わぁ、さすが店長。耳が早い!」
ほんの数十分前に交わした会話が、この店にまで届いている。グラフの情報網に関わりがある人物なのだろうか。プレートブレードに手がかかる。
「心配しなくていいよ。ここの店長もマザーの子どもたちの一人だし、あたしの元バイト先だから」
「それは他人に私を信用させる情報足りえないよ」
『そっか。なら大丈夫かな』
「いやいいのかい」
彼女を守り、彼女を信頼する。それはこの星で銀河帝国の情報を得る上では大前提だ。
「それで、わざわざこっちにまで来たのはなぜだい? グラフからの報告を待てばいいだろう」
「うん、情報はね。でも実際に銀河帝国……というかスペースパイレーツと戦っているハンターナイトたちの話を聞くには、やっぱり本人たちを頼るのがいいでしょ?」
そう言った彼女は、カウンターの椅子をくるりと回す。その視線の先には、先に店にいた客たち。様々な人種だが、その体に傷が刻まれ、アーマーを纏い、ブレードとガンを装備している。
サイボーグ改造されている者も多数おり、歴戦の勇士といった様子を見せる。店長はマザーの関係者だと言っても、ここにいるハンターナイト全員がそうではない。
「なんだ。お嬢ちゃんたち。俺たちになんかようか?」
「おうおうこっちきて酌してくれたらなんでも話しちゃうよぉ」
「仏頂面の店長じゃぁ詰まんねぇからおじさんたち楽しませてくれよ」
まだ日も高い時間だと言うのにすでに酔っている者は酔っている。
その様子にアナトは肩をすくめた。
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