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第七話「鋼の決意」.3


「さて、さっきあなたがとっ捕まえた奴らの内訳だけど」

「マザーのテンションの差で風邪ひきそう」

『大丈夫、アナト』

「……時々ちょっとあなた素直すぎて心配になるわ」


 なぜかアナトにため息をつかれた。


「ほらほら、お小遣いタイムよ」とマザーは手を叩く。「まず、マンゾー一家は、この星ではありふれた害悪マフィアの一つ。構成員一人ひとりに個別で賞金が掛かっているわけじゃないけれど、奴らは共通して宇宙鮫の刺青を入れているからわかりやすいわ」

「宇宙鮫ってあれでしょ、アステロイドベルトに住み着く、鮫みたいな形をしているだけのまったく別種の生物の」

「群れを成して宇宙を泳いで回り星々を荒らして回る。奴らにピッタリな刺青なのよ」

『星系級危険生物として、広域駆除対象指定された奴だったね』


 かなり駆除が進んでいて、当分会うことはないだろうけれど。


「その刺青の入った奴らが十八名、この中で個別賞金のかかった奴は一人だけ。懸賞金額八百万のガウナンっていう幹部が混じってたから――」

「わ、結構な額」

『いいの、こんな転がり込んできたような調子でもらっちゃって』

「いいのよ! どうせ残しておいても浮いた金だってバカどもの夜遊び資金にしかならないんだから」


 この報奨金の正統な支払いが行われるからこそ、このハンターナイトとしてのシステムは成り立つ。むろん、懸賞金が丸々全てポンと渡されることはなく、教会への情報提供、受け取り手数料など引かれる。


「マザーはそのあたりすごく良心的だから。言ったでしょ、面倒見のいい人だって」

【地域によってはハンターナイト教会の手数料があまりに高く設定されているせいで、教会を経由しないで直接銀河連邦警察に賞金首を持ち込むことが多いそうです。賞金首の対応を民営化したはずなのに、本末転倒ですね】


 そんなこともあるんだと思うと同時に、自分の幸運に感謝する。

 素晴らしいマザーに出会えたことと、この地で帝国に繋がる情報を手に入れられた、幸運に。


「それで、本当にこの子を連れていくのかい?」


 マザーは報告書のようなものを作成しながら、問いかけてきた。ボクとアナトは顔を見合わせる。彼女も、少し不安げな顔をする。


『うん。奴らがリアクターコアを取り戻したがっているのは間違いないし、アナトを一人にさせるのは危険すぎる。君は問題ない?』

「あ、あたしは……しばらく、君のご厄介になろうかな?」


 少し考えたようだけれど、決断してくれた。問題ないと頷くと、彼女も微笑んだ。


『マザーは心配かもしれないけれど、約束するよ。今回の騒動が終わったら、必ずアナトを無事に帰すって』

「ああ、そこはいいのよ別に。何なら貰っちゃって頂戴」

「話飛ばさないでよ! あ、フィオガは気にしなくていいからこの年増の妄言だから!」

「あら、アテクシ結構本気よ?」

「なおさら悪いわよ!」


 ボクとコンゴーは、疑似的な親子と言っても、どこか義務感と壁があった。父さんと母さんの死についての溝もあった。それでも、あの十年を感謝しない日はない。

 けれど、マザー・コーエンとアナトは、本物の親子以上に親子らしいのかもしれない。父さんと母さんが守るべきものと定めていたのは、きっと――。


 ――ボクが、守って見せるから。


 楽しそうに口喧嘩をする二人を見て、強く思った。




少しでも気に入っていただけたら幸いです。




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