第七話「鋼の決意」.2
ホチャーからの戦闘アシストが提示され、頭部にエネルギーが集まる。
スペースパイレーツに向けて放ったものからは格段に威力が落ちているが、軍の型落ち品を流用したアーマーガンナーであれば、容易く吹き飛ばせる。
脚部裏から放出するプラズマジェットを推進力に、一気に接近。手近な一機へ向けて、右拳のパイルストライカーを発射。出力を抑え、装甲だけに衝撃を与える。
左腕の少女らがワーキャー叫ぶのも、気にしている暇はない。
「見たことねぇハンターナイトだ! くそっ!」
「教会の奴ら、有能な新人を雇ったみたいだな!」
連射されるライフルは、レイハガナの装甲でなら避ける必要もない。装甲表面の流動性エネルギーが旧式ライフルくらいなら弾くことができる。
「すごいねぇフィオガちゃん、本っ当に想像以上だ! 初めて来たときのスペースパイレーツの集団捕縛も、マフィアの大量捕縛も、そして今この戦いも――君は本当に、今の銀河を変えてしまうかもしれない!」
嬉しそうに叫ぶマザー・コーエンの言葉はどういう意味か吟味する暇はない。
たとえほとんど効かないにしても、周りに被害が出ないわけではない。特に教会周辺は人口密集区域でもある。
そこに襲撃をかけてきた度胸はともかく、周りの被害を考えていないということ。
【敵機ロックオン完了、射撃コース確保】
『プラズマビーム、発射!』
プラズマビームを頭部から三連射。敵アーマーガンナーの機動力はプラズマビームを回避できるほどの速度はない。
移動し、突撃するだけで普通の人間なら吹き飛んでいく。なりふり構わない攻撃も、時には同士討ちの原因でしかない。
「マザー! 援護要請を出せないの!?」
「必要ないでしょ? フィオガちゃん、責任はあっちにあるから好きにやっちゃって!」
『狩りを楽しめってこと?』
「オフコース!」
あのどこか厳格さを備えたマザー・コーエンも、ハンターナイトとしての狩猟本能からは逃れられないと言うことなのだろうか。
賞金稼ぎ、というより狩人であるハンターナイト。かろうじて連邦と人民の利益のために働くと言う意義のために、そのナイトという名がつけられたらしい。
『帝国の情報を知るために何人か生き残っていてほしい。捕縛用ショックガン、用意』
【了解。パイルストライカー停止、ショックストリング、スタンバイ】
パイルストライカーを格納、各指の付け根にあるコード発射装置にショックガンをセット。放出した糸の先端にアンカーと、電力放出装置が装着されている。
腕をそちらに向ければ、最大四人にロックオンマーカーが浮かび上がる。そちらに向けて発射、電撃が逃げ出そうとしていたマフィア構成員を感電させた。
『情報源確保!』
「フィオガ、あいつら逃げ始めたよ!」
『大丈夫、逃がさない』
紫電を視線に集めていく。逃げ出したマフィアたちは、すでに戦意を喪失している。
けれど、逃がすつもりはない。
『殺しはしない。止まってもらう!』
ショックストリングは届かない。プラズマビームの威力を極限まで搾り、足元を狙って吹き飛ばす。
これから先の資金も含めて、糧になってもらう。
『戦闘状況終了。周辺捜索、危険度、なし』
完全制圧――その言葉ほど、この瞬間にふさわしいものはないとマザーに絶賛される。
レイハガナの胴体部分を開いて降りると、機体は粒子状に分解、光子となって体の中へ戻っていく。通常の――とは言っても数世代は進んだ――量子化格納システムであれば、機械の中へと仕舞われる。けれど、レイハガナは生体融合金属。
この体から離れることもできれば、文字通り一体化することさえも可能。やろうと思えば、片腕だけ出現させることも可能だ。むろん、取り回しは悪いけれど。
「やったじゃないのフィオガちゃん! もう最高!」
「すごいね。あたしを守るって言ってくれたの、本気だったんだ」
『もちろん。けがはないよね?』
「大丈夫。フィオガが守ってくれたから」
ニッ、と笑って見せたアナトは、確かに可愛い。自称アイドルと言っても、マザーがいなかったら信じていただろう。
――守れたんだ。
その実感が沸いたとき、無性に嬉しくなった。
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