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リミッターブレイク  作者: うさぎの楽園
8/10

第八話 地下労働者の反乱

ここまで、楽しんで頂けているでしょうか?

あくまでも空想の世界ですので、細かいところはお許しください。

なんならシバいてもらってもいいです。

多分シバき返します。

「・・・!」



 午後16:45。絵梨花が書類に目を通していると、依頼書の中にふと目を惹かれる内容のものがあった。



『助けてください。コロッセウムの闇を(あば)いてください』



 コロッセウムとは、イタリアに存在するコロッセオ、歴史上に実在した闘技場(とうぎじょう)である。


「闇を暴く・・・?」



 本文にはズラリと、コロッセオの内部で行われている非人道的(ひじんどうてき)(おこな)いと、依頼主の悲痛(ひつう)な願いが書かれてあった。



『私の名前はマシュー。イタリアのコロッセウム地下労働場の一人です。私は皆様に助けを求めたく、この依頼をしています。

 私がいたコロッセウムでは、現実では考えられないようなことが起きています。麻薬取引(まやくとりひき)臓器売買(ぞうきばいばい)奴隷労働(どれいろうどう)・・・恐ろしい犯罪の数々です。そしてその首謀者はイタリアのマフィア【ルーポ・フレッド】です。聞いたことある人はわかるかもしれません。彼らの凶悪さは、警察も手を出せないほどです。まさに野放し状態です。

 私は皆の助けもあり、命からがら逃げることが出来ました。今こうやって世界各国に助けを求められるのも奇跡です。もちろん、今回自分が逃げたことにより仲間も大勢殺されるかもしれないし、誰かが助けにきた時には既に私もこの世にいないかもしれません。

 ですが、私はこの手紙が誰かの心に響き、私達を救ってくれることを祈っています。

名も知らない英雄の方々へ』



「・・・」


 報酬や詳しい場所等、何も書かれていない。ただひたすら助けを求めるこの一枚の手紙に、絵梨花は頭を悩ませていた。

 心は助けたい。だが、リスクしかないし、恐らく報酬なんてものは存在しないだろう。会社的に考えると、この内容を受けるのは普通ではあり得ない。


絵梨花は悩んだ末に、蓮治に報告することにした。


「寝てるかなぁ・・・」



 蓮治は昨日朝の9時頃に帰ってきた。すぐ寝たのであれば・・・起きているかもしれない。

 コンコンとノックする。


「ふぇい・・・」



 中から力の無い声が聞こえる。起きてはいるが・・・いや、起きてると言えるのだろうか。ドアを少しだけ開け、話しかける。


「社長、海外案件です」


「ガチ!?」



 声がいきなり元気になった。ドタドタと音が聞こえる。不意にドアが大きく開いた。

 

 パンツ一丁である。


「どれどれ・・・」


「社長」


「ん?」


「下」


「もうそんなん気にする歳じゃないでしょ」


「いいから何か着てください」


「え~。じゃあ読み上げて」


「わかりました」



 蓮治は服を着ながら、絵梨花が話す内容を聞いていた。終始無言で聞いていた蓮治だが、話が終わったと同時に事務所のドアが開いた。

 葵が学校から帰ってきたのである。


「葵ちゃん、おかえり」


「ただいまです」



 すると蓮治が真面目な顔をして二人に言った。


「緊急会議だ。誠司を呼んでくれ」


「え? あ、はい。すぐに」



 そう言うと絵梨花はすぐに電話を掛け始めた。


「な、何かあったんですか?」


「大仕事だ。人手がいる」



 そう言うと誠司は事務所の奥へ行き、資料を(あさ)り始めた。


 15分後、誠司が到着する。すると同時に正憲も現れた。

 誠司が蓮治に問う。


「仕事か?」


「あぁ。とんでもない仕事だ。戦闘員は命の覚悟をしてくれ」


「もしや私もそちら側ですか?」



 正憲が問いかける。


「もちろん」


「これはこれは・・・大仕事ですな」


「【ルーポ・フレッド】が絡んでます」


「!!」



 正憲の顔色が変わった。誠司は何の話をしているかわからなさそうだ。


「とりあえず全員揃ったな。座ってくれ」



 5人は面談テーブルの各所に座ると、各自目の前の資料に目を通し始めた。


「さっきウチの事務所へ【ルーポ・フレッド】関連の依頼が届いた」


「・・・」



 正憲のみが神妙な顔つきで、他3人はボケっとしている。


「要するにイタリアンマフィアだ。今回はそいつらの殲滅(せんめつ)になるだろう」


「マフィアを潰すのか?」


「そうだ」


「そりゃ確かに大仕事だが・・・俺らが出る話なのか?」



 誠司の言うことはもっともである。本来犯罪集団には警察組織という適任(てきにん)がいる。


「過去何度も警察がこいつらの逮捕に乗り込んだが、一度たりとも成功していない。挙句の果てには警察側がばったばった殺される始末だ」


「んなばかな・・・」


「こいつらに一人、殺し屋が付いている。そいつがなかなか厄介でな」


「こ、殺し屋・・・」


「そんなにヤバいのか?」


「一度戦ったことがある」


「!」


「逃げられたよ。もちろん逃がすつもりも無かったし、なんなら殺すつもりでいった」


「蓮治でも逃げられたのか・・・」


「すばしっこいやつでな。その時の依頼も【ルーポ・フレッド】の壊滅。今から3年くらい前か。今回の依頼程ではないが、助けを求める内容だった。最初は正直旅行感覚で行ったんだが・・・いざ行ってみると違った。やつらは正真正銘のクズだ。この世にのさばるべき人間ではない」



 正憲は怒りに震えているようだ。絵梨花がその様子に気づく。


「・・・柊さん・・・」


「・・・私の妻は、この集団に殺されました」


「!?」



 蓮治以外、初耳である。さすがに全員驚きを隠せなかったようだ。


「【ルーポ・フレッド】ってのはイタリアでは有名なマフィアでな。特に昔の人からは恐れられている。手段を選ばない正真正銘の悪党集団だ」



 皆、静かに話を聞いている。


「前回の件で組織の人間をほとんど(あぶ)り出したと思ったが、やはりトップを抑えないと壊滅までは至らないようだ。今回は完全に潰す」


「策はありますか?」



 正憲が神妙な面持ちで問う。


「あの時から常に練っていました。その策を今から話します」



 長時間に及ぶ会議が始まった。







 朝目が覚めると、既に身支度を整えた旅行カバンが目に止まった。


「・・・今日か」



 葵は昨日から夏休み。長期休暇に入るので、イタリアへの長期滞在が可能だ。友人からはいいなぁと言われているが、本来の目的が目的であるが故、本心から喜ぶことは出来ていなかったが、蓮治は「一般人組の単独行動はなるべくしないよう心がける」と言ってくれている。浮かれるつもりはないが、少しくらい浮いてないと身が持たないかもしれない。


「一緒に泊まる人、誰なんだろう・・・」



 蓮治からは、女性陣宿泊については開花している人間を一人つけるとのことだった。言いぶりからして恐らく女性だろうが、ジ・オールに開花している女性はいない。やはり他に従業員・・・というか協力業者がいるのだろうか。

 そんなことを考えながら葵はリビングへ向かう。そこには既に絵梨花が居て、朝食を食べていた。


「おはよ」


「おはようございます」


「身支度出来た?」


「昨日の内に・・・」


「さすが、早いね。ご飯出来てるよ」



 食卓にはお米と味噌汁、サバの味噌煮が置いてある。ザ・日本食だ。恐らく長い間日本を離れるからという絵梨花からの気遣いだろう。


「ありがとうございます。おいしそう・・・」


「これから長い間食べられなくなるからね。今のうちに日本食を摂取(せっしゅ)しとかないと」


「ふふっ、そうですね。いただきます」



 素朴(そぼく)だが、美味しい。これからのことを考えると、非常に美味しく感じてしまう。

 2人は食べ終わると、身支度の最後の確認に入る。その間に正憲が事務所前へ到着し、事務所を出た絵梨花と葵は荷物を車に乗せた。


「宜しくお願いします」


「こちらこそ。長い戦いになりますが、頑張りましょう」


「はい」



 絵梨花が事務所の鍵を閉め、三人が車に乗り込む。


「・・・あ、そういえば、留守の間って転送とかですか?」


「そうだね。転送にもなるし、一人警備員をつけてるよ」


「あ、そうなんですね」



 一介(いっかい)の警備員なんかで大丈夫なのかと思ってしまう。


「社長はもう出られたんですか?」


「うん。社長と誠司さんは昨日の時点で先に現地へ向かってるよ。少し調査するらしい」


「なるほど」



 すると柊の社内のPCにメールが一件届いた。


「・・・!」


「社長からですか?」


「・・・そうですね。今回の件、序盤からかなり危険になるかもしれません」


「え?」


「すでに敵側の警戒が強まっているようです。街中にマフィアらしき人物がウヨウヨいるとのことです。重々(じゅうじゅう)に気をつけてくれと・・・」


「えぇ・・・い、生きて帰れるかな・・・」


「あなた方は私達が全力でお守りします。あなた方が日本へ帰れないということは・・・ジ・オール自体の壊滅を指します」



 絵梨花と葵は互いに顔を見合わせた。お互いに勘弁してくれという顔である。


「しかし、今回は吉金様もいますし、もう一人協力者もいます。頑張りましょう」



 頑張りましょうと言われても・・・。

 複雑な胸中で一行はイタリアへ向かった。


 一方蓮治達は、束の間の休息を楽しんでいた。


「誠司! このピザ死ぬほどうまいぞ!」


「・・・こりゃうまい。やっぱり本場は違うな」


「俺、イタリアの飯ってほんと好きでな。ピザ・パスタ・・・何を取っても口に合う」


「日本でも馴染み有る上に、本場だとバジルとオリーブオイルがメインになってくるからな。そういう味が好きな人間にはたまらんだろう」


「そうなんだよ! 日本も好きだが・・・生まれ変わったら次はイタリア人かな」



 二人ともアロハシャツに短パン、そしてそれぞれ形の違うサングラスである。大男2人がそんな格好をしていると、はっきり言って日本では目立つ。が、ここは真夏のイタリア。同じような格好の人は案外多い。


「それよりも蓮治よ・・・」


「ん?」


「こんな感じで大丈夫なのか?」


「問題ない。観光客感を出さないとすぐに目をつけられるからな。特に俺は上層部に顔を覚えられている。サングラスでもなんでもして、アホな観光客を演じるんだ」


「そうか・・・ただ、ここレストランだろ?」


「ん? あぁ」


「逆に目立つんじゃないのか?」



 時刻は昼すぎ。オシャレな貴婦人(きふじん)がティーブレイクに集まる中、明らかに不相応(ぶそうおう)な格好をした男二人がピザだけをつまんでいる。誰がどう見ても変人だ。


「・・・ここが一番、偵察に適した場所だったんだ」


「・・・スーツにすりゃよかったな」


「次に活かそう・・・。実はこんなにオシャレな雰囲気の場所だとは思ってなかった」



 そう言ってチラッと外を見ると、怪しげな男が立って電話をしていた。


「! ・・・誠司」


「ん?」


「あの本屋のすぐ(そば)に立ってるスキンヘッド・・・よく見ててくれ」


「ん・・・」



 二人がレストランの窓からその男を見ていると、ふと目の前を通った黒スーツの男が、スキンヘッド男に何かを手渡したように見えた。


「・・・! 今・・・」



 スキンヘッドはその後すぐに本屋の路地裏に隠れていった。


「見えたか? 明らかに良くない雰囲気だよな」


「あぁ」



 すると蓮治が地図を取り出した。ガサガサと机の上に広げる。


「あの路地、地図上で行くとコロッセオに近づいていくような道になっている。この路地のどこかに・・・コロッセオの地下につながる道がありそうだな」


「それにしても・・・手紙か? 手渡しって・・・古典的だな」


「電波がつながらないとか、万が一通信機器をクラッキングされた場合とかを考えると、ある意味一番合理的かもな。あとまぁUSBとか、データ機器の可能性もある」


「なるほどな」


「とりあえず行ってみようか」


「OK」



 二人は会計を済ませ、足早に先程の場所へと向かった。

 しかし、店を出たところで一人の男に声を掛けられた。


「おい」


「ん?」


「お前ら、日本人か?」


「そうだ、観光で来ててな」


「・・・さっき、えらく長い間外を眺めてたな」


「あぁ、このレストラン、昔も来たことあってな。あの席からの街並みがたまんねぇんだ!  あんたも今度行ってみなよ! ちなみに今なら空いてるぜ」



 事情を知っている者が(はた)から見ると、演技が非常にクサい。


「・・・ふん。あまり勘違いされるような行動を取るなよ」


「勘違い? どういうことだい? まさか窓から外を覗いてたら、それだけでわいせつ罪になるのか?」


「・・・まぁいい。観光、楽しんでけよ」


「あんたに言われなくても楽しんでるよ。なんなら一緒に写真でも撮るか?」


「遠慮しとく」



 そう言うと男は去っていった。ある程度離れてから蓮治が誠司に話しかける。


「・・・こういうことよ」


「まさかだな・・・どこから見てたんだろうか」


「あの黒スーツ以外にもどこかに居たんだろうな。取引の監視役だ。それに、日本人である俺らがウロウロしてる時点で既に目をつけられてたのかもな」


「厳重だな。こりゃ一筋縄(ひとすじなわ)ではいかなさそうだ」


「そうだな。一旦ホテルへ戻るぞ。服装変えて出直しだ」


「了解」



 蓮治と誠司が調査を行っている間、移動を進めていた葵一行は、今まさにイタリアに到着するところだった。


「皆様。本日は、長時間のフライト、お疲れ様でした。お荷物等、お忘れ物の無いよう・・・」



 葵は爆睡である。絵梨花も寝ていた。正憲だけが起きている。


「お嬢様方、着きましたよ」


「・・・あ、はい」  と、絵梨花


「・・・ふぇい」  と、葵



3人は荷物を持ち、飛行機を出ようとする。ふと嫌な予感を感じた正憲は二人に顔を隠すよう指示する。


「お二方、サングラスと麦わら帽子を」


「は、はい」


「お、ととと・・・」



 二人はササッとセットし、正憲もテンガロンハットとサングラスをする。そのまま三3人は空港へ降り立つが、やはり正憲の悪い予感は的中した。

 空港内から望遠鏡で、降りてくる人をチェックしている人間がいた。


「・・・」



 すると正憲は、2人に突然提案をした。


「お二方、最近の若い子のようにはしゃげますか?」


「え、えぇ?」



 顔を見合わせる2人。正憲の言わんとしていることはわかる。恐らくどこからか怪しい人物が見ているから、観光客を(よそお)えということだろう。

 葵は思い切った。


「・・・お、おねえちゃん!」


「!?」


「見て! あの絵! すごくこう・・・あれ! レゲェだよね!」


「(どゆこと) そ、そうね! 写真撮っとく!?」


「う、うん! 撮ろう撮ろう!」



 2人は飛行機に描かれている絵をバックに写真を取っている。それを微笑ましく正憲は見ていた。


 望遠鏡で覗いていた男に、もう一人男が近寄る。


「どうだ?」


「・・・いや、今回もそれといった人物は見当たらない。浮かれた観光客くらいだ」


「そうか。あと何便ある?」


「次がラストだ。到着は21:53だな」


「OK、今日もおつかれさん。終わったら上がっていいぞ」


「あいよ」



 もう一人の男が離れていく。一部始終を見ていた正憲は2人に言った。


「もう大丈夫ですよ。行きましょう」


「え? あ、あぁ、はい」



 2人は変なポーズで写真を撮っている最中だった。


「大変お見事な、名演技でした」


「め、迷演技の間違いでは」


「何をおっしゃいます。お二方のおかげでうまく進みそうですよ」


「進む・・・?」


「ふふふ」



 正憲の不敵な笑みが、この対マフィア戦を加速させることになる。


そういえばそれぞれのキャラクターの絵を描きたいなって思うんですよね。

あ、思うだけです。

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