邂逅、天龍
ユニークモンスター。単独で種を為し、総じて何体存在しているのか、何処で行動しているのかも不明なその全てが最強であり最凶の、唯一無二の絶対強者。
一部のプレイヤーは血眼になって捜索しており、情報が出回っていたり既に討伐された者もいる。が、それ以上に謎に包まれていることが殆ど。
しかし彼らはレギオンというゲームのメインストーリーに深く関わっているため、全くノーヒントという訳ではない。ただし出逢えるかは運の側面も強いため、その為だけにLUKを限界まで上げているプレイヤーも存在する。
その中で唯一、自力ではどう足掻こうと遭遇することの出来ないユニークモンスターがいる。
それが今、シンたちの目の前に君臨していた。
『だが、我は騒がしいのも嫌いではない。若々しく元気があってよろしい。お主ら、名を何と云う』
「……シン、です」
「い、イロハですっ」
『シンにイロハか。我は天竜が一角、名をグランヴァニアと云う。しかし見たところ、お主らはこの地に降り立ってまだ日が浅いな。どれ、我がひとつお主らの往く道を見通してやろうではないか』
この龍、NPCとは思えないほどのとんでもない威圧感を放ってる。壮齢と思わしき声や語り口もそうだが、それこそ、何より無意識のうちに敬語を使っちまうくらいには。今の俺たちが戦ったところでまず間違いなく勝てないだろう。
幸いなのはグランヴァニアが俺たちに友好的であること。それに俺たちの往く道…つまり未来を見通すって言ったよな。この自由な世界でそんな事が本当に出来るのか?もし本当なら技術の革新なんて言葉じゃ全くもって力不足。
俺たちは今、この世界の根幹を揺るがすものを見ているのかもしれない。
『………見えたぞ。まずはイロハ、お主は分かりやすいな。聖と魔が入り交じったその力、お主ならば十全に扱う事が出来よう。特別何かをする必要はない、ただ心の従うままにすると良い』
「ほえ〜…。なんだか難しいことを仰るんですね…」
『ハッハッ!!ちとややこしかったか!なに、やりたいようにしておれば良い。強いて言うのならば、“幻想”と“鎖”には関わるな。アレはお主とは相性が悪過ぎる故な』
「よく分かりませんけど分かりました!自由にこの世界を楽しもうと思いますっ!」
『うむ、それで良い。してシンよ、お主は少々厄介な力を手にしてしまったようだの』
次は俺の番かと思えば、一言目からマジかこの龍。でもその入りなら割と期待できるか…?
『だがその力はお主に必ずや僥倖を齎すであろう。しかし現在のままでは困難が極まるだろうな。少しばかり手助けをしてやろうではないか。我の近くまで寄ってくれぬか』
言葉の通りに石像の目の前まで歩み寄る。石像は全く動いている様子はないし、どうやって話しているのかは少し気になるが、それは一旦後回しでも良い。
立ち止まった瞬間、像の眼が鋭く光りこちらを向いたように感じた。すると像が小刻みに震え出し、やがて全体が光り輝いていく。
石像が砕け散って中から本体が出てくる…なんてことは無かったが、代わりにシステムウィンドウが喧しいぐらいに開く。
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スキルのレベルが上昇しました
《糸魔法:Lv1》→《糸魔法:Lv4》
新たなスキルを習得しました
《運命ノ赤糸》《粘質化(糸)》《硬質化(糸)》《染色(糸)》
ユニークモンスターと遭遇しました
《天龍・グランヴァニア》
新たな称号を獲得しました
《天龍との邂逅》《成長期》
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色々書いてはいるし全部気になって仕方がないんだが一つだけ言わせてくれ。
クソほど大事な情報をさらっと出してくるんじゃねえ!なんだユニークモンスターって!?そりゃグランヴァニアなら納得だが、右も左も分からん初心者にはまだ荷が重いわ!!
クソッ、こんなことならがっつり攻略サイト読み込んでから来るべきだったか…。公式サイトにもそれっぽい記述はなかったはずだから、何かしらの隠し要素ではありそうだな。
ユニークって言うくらいだから固有だの単独だのそういう意味だろ。どう考えても上級コンテンツ。初心者の俺たちの手には負えねえな。
後はスキルだな。粘質化に硬質化、こいつらは実用性ありまくりというか間違いなく主力クラスのスキルだ。俺が思い描いてた糸ってのはこういうのだよ。染色は…何に使うんだこれ?まあ全く無意味ってことはないだろ。
そして《運命ノ赤糸》。正直これが気になりすぎる。運命の赤い糸っていったら恋愛的なあれが真っ先に思い浮かぶんだが、説明欄には何も書いてないし使おうとしても勝手にキャンセルされる。
総じて感謝の極みだが、謎だけははっきりさせておかないとな。
「なあグランヴァニア…さん。この《運命ノ赤糸》って何なんだ?今は使えないみたいだが」
『グランヴァニアでよい。ふむ………成程。そこなホーリーフェンリルの末裔よ。来い、我が権能にてお前の力を引き出してやろう』
「グルゥ?」
え、ウルフちゃん?ウルフちゃんとこのスキルに一体なんの関係が…。というかホーリーフェンリルってなんだよ。そいつさっきまでマーダーだった奴ですよ。
俺の疑念をよそに、ウルフちゃんも俺たちと同じようにグランヴァニアの光を浴びる。するとあら不思議、ウルフちゃんの頭には1本のツノが生えていた。
「あれってツノ…ですよね」
「ツノ…だな」
「ガルルゥ!?!?」
「そりゃ驚くよなぁ。今までなかった物が急に生えてくるんだもんなぁ」
『ハハハッ!それも無理はない!此奴、自らの生まれを知らぬまま暮らしていた様だからな。だがこれが本来の姿、聖なる一角獣の末裔だ』
俺のスキルの話してたらなんかウルフちゃんが進化したんだけど…。
tips:称号は定められた条件を達成する事で獲得と装備が可能です。装備した称号によって能力値が変動したり一時的なスキルを獲得できますが、その効果は微々たるものです。




