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ユニークホルダーはいずれ引かれ合う

tips:ユニークモンスターは三世界とは違う空間に存在しています。例を挙げると、魔界以外でもグランヴァニアに出会うことは可能です。落とし穴には引っかかってもらいます。

 


 おっさん改めサカキがすごいのかどうかは一旦保留だな。いまは俺たちの特殊な事情も相まって色々なことを知る必要がある。

 なのでこっちからも質問しようとしたのだが、隣でイロハがあわあわと口元を押さえていた。リルルはお昼寝タイムに入ったよ。



「イロハ、どうかしたか?」


「シ、シンくん、この写真の人たち、テレビで見たことある人ばっかりですよ!特にこの女の子と男の人、女の子の方は“レギオン最強”って呼ばれてる人ですし、男の人はプロの方じゃありませんか…?」


「そうだな。あー…確かどっかに飾ってたな………お、あったあった。このフォトフレームの写真に写ってるので全員だ。まあ女の方…“M(えむ)”は最近めっきりログインしなくなったがな」



 サカキが棚の上に置いてあったフォトフレームを持ってくると、そこには確かに11人のプレイヤーが写っていた。もちろん、さっき見せられた写真のメンバーも全員だ。元々大して疑っちゃいないが、ここまでされたら間違いなさそうだな。


 変な格好をしているが、このおっさんは間違いなく強者の部類に入るプレイヤーだ。



「まああいつらの話はいつでも出来るし聞ける。なんせ“最凶”とか恐れられてっからな。今話さなきゃならんのはお前たちの匂(・)い(・)についてだ。お前たち、グランヴァニアに出会ったな?」


「どうしてそれを?やっぱあれってチュートリアルだったのか?」


「そんな訳がないだろう。敵意こそないが、あれでも立派なユニークモンスターの一角だ。どうやら天龍に接触した者同士、引かれ合う何かがあるようだな。VRの世界でそんなことがあるとは思えないが。あと魔界にチュートリアルはねえ」



 チュートリアル無いのかよ…。しかし、一体どこの波紋使いの話なのだろうか。だが俺たちは確かにグランヴァニアによってランダム転移させられたはず…いや、まさかな。ありえない話じゃないが、天龍と出会った証であるあの称号が転移用のマーキングになってたならゲームの仕様と見ることも出来るし辻褄は合う。


 一応その考察をサカキにも伝えてみる。



「成る程な。可能性としては十二分にあり得る話だ。俺もあのランダム転移は経験したが、その時は人のいない荒野に飛ばされたからな。あの時はまだ俺以外に出会った奴が居なかったってんなら納得できる」


「俺たちはこのリルルに案内されてグランヴァニアの元まで辿り着いたんだ。気持ち良さそうに寝てっから起こさねえけど」


「俺の時も似たようなもんだ。でけえイノシシ型のエネミーに出会ったんだが、そいつの牙を根元から切り落としてやったら首根っこ掴まれて誘拐されたんだよ」


「イロハの時もそうだったな…。あいつらとりあえず誘拐しないと気が済まねえのか…」



 割とどうでもいい事実が判明したところで、一通り話さなきゃいけないことは全部話した。こっからはただの質問コーナーだ。



「てかここどこ?」


「マップを見ろ…。ここは前線都市フロイライン。多くのクランハウスが集まってることからクランシティなんて呼ばれたりもする」




 前線都市フロイライン。その名の通り魔界と魔物の生息地帯を結ぶ最前線であり、多くのプレイヤーはここに拠点―――どこもかしこも豪邸ではない―――を構え、日々魔物(そざい)狩りに勤しんでいる。

 その為か、先程シンたちが目を輝かせていたような出店なども、人が多く集まるこの都市での需要を見込んで店を構えているのだ。


 しかしシンが最初にマップで見た街とは遠く離れた場所に位置している。何せ最前線である。シンたちは色々すっ飛ばした状態でやってきた上ユニークホルダーでもあるという、まさに珍獣状態だった。その中でサカキに出会えたのは寧ろ幸運でさえあったのだ。




「こっから行けるダンジョンとかボスレイド、野良の魔物とか素材収集がとにかく数を使う物ばっかでな。この街には魔界のトップ層が集まってるって訳だ」


「俺たち初心者だし、今から最初の街に戻れねえかなーとかちょっと考えてたんだよ」


「心配するな。ここにいりゃあ否が応でも強くなる。お前たち、今のレベルは?」


「81だけど…。それがどうかしたか?」


「最初の街の推奨レベルは5だ」


「Oh……………ここの推奨レベルは?」


「75だ」


「もしかして序盤の敵ってワンパン?」


「流石にそれは無いが、いくら魔界とはいえ序盤のボス戦は大したギミックも持ち合わせてねえから、今の強さのまま行ってもつまらんぞ?」



 俺の思い描いていたVRMMOライフは、この瞬間に完全に破綻したようだ。



わざわざ本編で話すまでもない補足:最初の街周辺のモンスターを100体ほど倒すと、シンたちが倒した巨鳥の経験値とほぼ同等になります。なお普通の初心者がそれをやろうとすると平気で1ヶ月は掛かります。ありがとう名も無き巨鳥くん。

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