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Syzygy Love  作者: おきついたち


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3/7

3.うしろに

綿野有星はがらんとしたアパートの床にザックを置く。

1Rなのに妙に広く見えて寒々しい。でもこれから届く荷物を置いたら、すぐ狭くなるはず。

だから今のうち。

有星はソックスをぽいと脱ぎ捨て、裸足でフローリングに立ち基本のポーズを順番に。

そしてプリエ、タンジュとゆっくり長い腕と脚を伸ばす。

バレエシューズでなくても有星の動作は指先足先まで優雅。

(はああ~乗車時間長かったもんな~身体カチコチや)

深い呼吸を繰り返しながら固まっていた身体がほどけるまで、ひとりで静かにずっと。


有星の父親はフツーのサラリーマンだけど。母親と姉はバレリーナ。

これまでは家族4人暮らしで、有星は母親が勤めている大手バレエ団神戸支部に通っていた。

でも母や姉のようにプロになる気は無かったし。

バレエ一色の環境から少し距離を置きたいコトも在って。

高校は聞いたことも無い地方の男子校を選んだ。

そこは制服がオシャレブレザーとかじゃなくてヤボったい学ラン。

これまではヒラヒラフワフワ華やかで、でも休日なんて無い厳しいレッスン。

可憐なメイクと衣装の下では、配役の取り合いもアタリマエの空気。

そんなモノはカケラも感じないフツーの場所で呼吸がしたかった。



入学が決まって編入生用説明会に行った時も、ヘーワな学校やなあとしみじみ思った。

土と芝生の校庭には風船バレーをする数人がいて。

風に流れて予測不可能な軌道の風船が3つもふよふよ。

それが地面に触れないように上半身裸のままギャアギャア騒いで走り回ってる。

何んで脱いでるのかと、目を凝らしてみると。

×印が肌に直書きされていて。多分それは風船を落としたバツ印。

(正月の羽根つきかーい。ガキやなあ)有星は笑いを堪えながらヒトリツッコミ。

その中の1人が遠目からでも判るほど反応が良くて目を奪われる。

しかもその身体は男神の彫刻みたいに均衡がとれた逞しさ。

(エエ身体しとおなあ)つい有星は少々熱のこもった視線を向けてしまう。

有星はゲイでそれは家を出て独り暮らしをする理由でもあったから。


暫く見ていると、そのスタイル良男は全然フザケてなくて。

マジモードで機敏に動き回って1人のチビをフォローしていた。

チビが明後日の方向にトスすると、落下点に回って風船を拾うし。

チビがレシーブし易いように、風船をチビの前に落としてやってる。

その采配を判ってるのか判ってないのか、チビはケタケタ笑ってて。

(あの2人何ンやろ?兄ちゃんが弟の面倒見とるんかな?仲良さそーやなあ)

そんなコトを思ってると。

チビがレシーブした風船が右にふわり、チビの頭に当たった風船が左にふわり。

デカイのが必死に伸ばした腕に風船を当て、更に脚を90度以上振り上げ蹴ろうとしたけど。

軽く足先が触れただけで、風船の1つがぽすんとグランドの上に落ちて風に流れる。

あ~あと言う感じに全員が顔を見合わせる間があったかと思うと。

マジックを持ったチビが笑いながら風船を落とした男に抱き着いて、頬に×を書く。

(いやいや!脚の方は放ぉっとけばヨカッタやんか~)

またまたツッコミたくなるけれど。

書かれた方は少し困った表情をしつつも口元は笑っていて。

チビがずり落ちないように骨ばった身体をしっかり抱き留めている。

「エエなあ…」

つい有星の唇から小さな声が漏れてしまう。


熱を持ち汗ばんだ互いの肌が張り付くように重なると。

自分が求められている満足と安心を感じられるから、有星にはSEXが必要だった。

そこに憧れとか恋とか愛とか無くても気にしない。

(受験勉強で健全な日々やったからな~溜まっとるんやろか)

そーゆーお年頃だし、バレエの演目では王子役に指名されるような外見だし。

いつも相手には困らなかったし、今だって誘える連絡先はたくさんあるけれど。

(どーやろなあ…途中でねーちゃんの顔が浮かんで来て、萎えそ)

それもまた家を出て来た理由だから、有星はタメ息ついてそれ以上考えるのを止めた。

ちょうど説明会も終わったし。

有星はたくさんの資料を鞄に突っ込むと、もう校庭の方は見ずに教室を出て行った。




有星の苗字は並びの最後になりがち。

編入先のクラスでも席はやっぱり一番端の一番後ろ。

「とりあえずの席順やから、もし前が見えんとかあったら言うてな。調整するワ」

担任はそう言ってくれたけれど。

(めっちゃエエ席やん♪)ちらりと隣を見て有星はニンマリ。

そこには数日前校庭で見たスタイル良男が座ってて、一番前にはチビも居た。

有星は隣をちょいちょいと突いて王子スマイルをサービス。

「これからよろしくな。名前聞いてもエエ?」

「…その紙の裏、名前入りの座席表や」

「あーえーと」

隣の男からは少し頭を傾けただけの素っ気無い返答で、有星の笑顔が引き攣ってしまう。

「ははホンマや気ぃ付かんかった。えーと槌谷くんかあ。

なあ、こないだ校庭で風船バレーしとったやろ?その日、編入生の説明会で窓の」

「授業始まるで」

「っつ」

行先が無くなった言葉で有星の喉元が詰まると同時にチャイムが鳴るから。

王子スマイルを引っ込めて、急いで教科書を開くしか無かった。

このクラスの編入生は有星の他にもう1人居るけれど。

その1人は剣道部目当ての編入で、既に見知った仲間に取り囲まれている。

だから中学持ち上がりでグループ形成済みの何処かに、有星は潜り込まないといけない。

これまではその外見と、女子が多いバレエ教室で鍛えたコミュ力で世渡りは問題無し。

だったのに。もう授業の内容なんて全然頭に入って来ない。

(えええー?何ン?男子校って、中高一貫て…そんなムズい空気なん??)



でも授業が終わると、すぐそれが気にし過ぎと判ってホっとする。

クラスメイト達は興味津々で声を掛けてくれるし校内案内もしてくれて。

(何んやー隣の奴が不愛想過ぎなダケや)

それでも正直なところ、少々いやかなり残念。

だって隣の槌谷くんは体格も低音ボイスも、有星の好みど真ん中だから。


「綿野くんみたいな編入生て珍しーワ」

「そおそお。大抵は剣道部目当てとか、最近やと写真部も人気やけど。

まあこの学校のコトよお調べて選んどるし、知り合いが居るからて入って来るもんなあ」

「そおなんや」

「綿野くんは何ンも部活せんの?」

「あーオレ、家の事情で一人暮らしやから。バイトでもしよかなて」

「へ?そらあ大変やなあ」

「こー見えてオレ家事得意なんやで」

編入早々ちょっと踏み込んだ話題になってしまい、クラスメイトは顔を見合せてしまう。

でも有星としては計算済み。

(地元色濃いヘーワな学校やもんな。どっかから話漏れたらすぐ広まるやろ。

そんなら先に話せるトコまで言うといて、ほどほどに同情とか気遣いして貰うて。

それ以上ツッコません方が安全や)そんな風に思っている。

「バイト探すん?兄ちゃん達に紹介して貰おか?」

クラスメイトの輪の隙間からぴょこっとクセ毛が潜り込んで来て。

有星の鼻先まで顔を寄せて来たのは、風船バレーのチビっ子だった。

「ちょお六弘、近い近い」

「あははは!それ恩売っといて、おまえのイラストモデルして欲しーんやろ」

「ほんまや。六弘のイラストに出て来そーなカンジやもんな綿野くん」

チビは顔を真っ赤に上気させ鼻息ふんふんさせて、有星を凝視して来るから。

有星はぷぷっと噴出してしまう。両手でチビの顔を包んで王子スマイルをプレゼント。

「なあなあ大丈夫か?さっきから瞬きしてへんで?」

「うんっ!目ぇつむるん勿体無うて!」

(わーカワエエなあ。人懐こい小型犬みたいや)

チビのキラキラな瞳からは自分への好意が感じられて、有星も悪い気はしない。

「あんな、オレ下の名前星之介言うねん。綿野くんも星付くん同ンなじやな♪」

「へえ?星之介かあカワエエ名前やなあ」

「そっちの孝星もやで!名前に同んなじ星付きで、誕生日も同んなじやねん。

惑星直列がニュースになった日が誕生日でな」

「え?まさか6月28日?オレもやで」

「ええええ!マジ?スゲ!」「おおお!2人運命の出会いかっ」

その偶然には周りのクラスメイトも盛り上がる、けど。

ガタン!とわざとらしい大きな音で席を立った孝星が星之介に声を掛ける。

「図書室返却行ってくるワ」

「ほんならオレのンも一緒に返しといて。机ん中在るヤツ」

「貸出期限過ぎてへんやろな?」

「えー?どおやったっけ?期限過ぎとったら、孝星代わりに謝っといてー」

どう話題を振っても、有星の前から星之介が動かないのが判ると。

孝星は小さくタメ息を付いて、返却本を持って教室を出て行く。ジロリと有星を睨んでから。


クラスメイトが苦笑いしつつフォロー。

「綿野くん、気にせんでエエで」

「槌谷は六弘と子供ン時から仲良しやもんな。いっつも一緒に居るし」

「体育ん時2人1組で準備体操しよるのとか、サイズ違い過ぎて笑えるでー」

「他の奴が六弘と居ったら、柱の影からジト見するレベルや」

へーそおなんやーと軽く流しながらも、有星はちょっとガードが固くなる。

この話題が同性愛的方向に流れるのは避けたいトコロ。早々にゲイバレは勘弁して欲しい。

「へへーん!羨ましーやろお。

オレが言えば、孝星は何ンでもしてくれるねんで。オレの弟みたいなモンや」

チビな星之介から、デカイ孝星に対して弟とか。勿論みんな大爆笑。

「あはははは!何んやソレ!サイズ感逆やろ」

「いや待て。その前に、六弘おまえ弟として家で兄ーちゃんの為に何んかしとるんか?」

「家でも、して貰うだけの末っ子やろが。弟の定義が間違うとるワ」

「ちゃうでー兄ちゃん達がオレに頼み事せえへんだけや」

ぎゃあぎゃあ盛り上がるしゃべりを、周りに合わせて有星は笑いながら聞いて。

心底ほっとする。

(なーんや、こーゆー地方男子校て精神年齢も恋愛話も小学生レベルなんやな)




でもまあとにかく星之介はホンキで有星が気に入ってしまったようで。

休み時間も授業で班分けする時とかも「有星ゆうせい♪」とまとわりついてくる。

そうすると当然のごとく孝星もオマケで付いてきて。

と言っても黙って星之介の後ろに座って2人の話を聞いてるだけ、でも。

捲り上げたシャツ袖から伸びる腕は筋張った筋肉質で、手首や指のゴツっとした骨格とか。

話の合間に有星はチラリと覗き見ることが出来て、ちょっとしたお楽しみにはなる。


「有星は毎朝弁当作っとるんかあ?すうごいなあ」

昼休みに有星が広げる弁当箱を覗き込んで、星之介の瞳はキラキラ。

ラップで包まれたおにぎりと、タッパーにはハンバーグとポテサラに卵焼きミニトマト。

種類も彩りもバランス良く詰まっている。

「まさかーオレ朝めっちゃ弱いンや。全然起きられん。

せやから夕飯の残り詰めて冷蔵庫に入れとくダケや」

「でも、そのおかずは自分で作るんやから、やっぱすごい!」

「ほら母親とねーちゃんがダンサーやから。

高たんぱく低脂質な食事を工夫するンが、オレの役目やったからなあ。

それに今住んどるアパートの近くにある直売所がめっちゃお気に入りやねん。

新鮮で安いし、こないだ学生服で寄ったら「誠心のコやったら割引したる」とか言われたし」

「へ?あの直売所よお行くん?」

「うん。米も精米したてのン買えたし最高や」

「ほんならソコでバイトしたら?」

「え?」

星之介の言葉に、黙々と購買のパンを頬張っていた孝星がピクリと反応。

「兄ちゃん達もバイトしとったし。じいちゃんや母ちゃんの知り合いようけ居るし」

一緒に弁当をパクついていたクラスメイトが、モゴモゴ口を動かしながら補足してくれる。

「六弘のじーちゃんて結構有名な陶芸家やねんで。

昔は県境で窯元の看板背負とってな。そんで、かーちゃんは陶磁器の研究家やねん。

地元メディアの取材とかよお受けとるで」

「ジモティは誰でも知っとる有名人やもんな。直売所で皿とか茶碗売っとおし」

「せやから兄弟の名前がそーゆーヤツなんや。瀬戸さんも伊万里さんも」

1人が笑いながら星之介を小突く。

「もし星関係の日に生まれてへんかったら、こいつの名前も常滑とか信楽やったかもな」

「信楽焼て居酒屋入口のたぬきしか思い浮かばんワー」

定番のイジリらしく、ぎゃははは!と盛り上がる中で星之介はウッサイワとむくれるから。

有星は弁当の中からミニハンバーグを摘まみ上げ、星之介の口に入れてやる。

「弁当のハナシなんかより、めちゃめちゃすごいやん」

「別にオレがすごい訳ちゃうし。

それよりやっぱ有星の飯のんがすごい!これ中にチーズ入っとる♪旨あ」

モグモグゴクンと食べ終わると星之介は満足そーに笑って。

「今度の連休ン時、オレと孝星ちょおっとだけ手伝い行くねん。

有星もオタメシで一緒にせえへん?バイト代もちゃんと出るで」

「そんなお手軽でエエの?」

「オレの友だちて言うたら、ソレだけでOKや」

いきなりの提案だけど、有星にとってはありがたい。

バイト探しをしたくても。

持ち上がりのせいか、新学期始まったばかりでも授業の進行は容赦無いし。

学校に提出する親のバイト承諾書も、実家へ郵送したけどまだ戻って来ないし。

それに。隣に座ってるのに全く会話が無い孝星と距離が縮まるかも知れない。

「助かるわー。頼んでもエエ?」

「うんっ!任せときっ」

役に立てるのが嬉しくて、星之介はぐいいっと身を乗り出すモンだから。

有星と鼻先が触れそうなくらい近くなってしまって。

この状態に孝星がどんな顔をしてるのか、恐れ多くて有星は確認出来なかった。



そんな感じで連休は実家に戻らずに済むし、休み時間の延長みたいで楽しみだけれど。

有星は不安顔になってしまう。集合時間が早朝6時だから。

「なあ午後のバイトとか無いん?オレこんな時間によお起きん」

「開店前の品出しやで。早朝に決まっとる」

あんまり表情は動かない孝星だけど。何んとなく鼻で笑われてる気がする。

「槌谷は部活無いん?」

「手伝い終わってから行く」

「へええ元気やなあ。疲れへんの?」

「別に」

素っ気無い孝星の返事だけど、有星は大体のコトが想像出来てしまう。

品出しならそれなりに力仕事で、あの広い直売所を動き回らないといけないはず。

チビガリで要領良く働くなんて苦手そーな星之介を、孝星が放っとけるはずが無い。

部活があろうと早朝だろうと、星之介を優先するのが孝星なのだ。

ぴょこんと星之介が会話に入り込んで来た。

「なあなあ!有星んトコ泊まれへん?

孝星が居ったら寝坊とかナシやし、直売所にも一番近いやん」

「えー?めっちゃ狭いで?余分な布団も無いし」

「家に寝袋あるから持ってくっ」

星之介の頭の中では、バイトがキャンプもどきのお遊びにすり替わっててワクワク顔。

有星はちょっと小首を傾げ冷蔵庫の中を思い起こす。

スーパーのタイムセールで牛ヒレパックをつい多めに買ってしまったトコロ。

冷凍庫もいっぱいだから早めに食べ切りたいし。直売所でサービスして貰った玉ネギもある。

玉ネギたっぷりのソースがあれば肉でも茹ポテトでも何んでもイケそう。

そしてエエヨと言って貰えるのを、目をキラキラさせて待ってる星之介が目の前に居て。

もう笑って頷くしかない。

「オレほんまに朝弱いンで。なかなか起きんでも、怒らんと面倒見てやー」

「やったあ!3人でマクラ投げやあ!」

浮かれる星之介の後ろで何も言わない孝星を、有星がちらりと確認すると。

珍しくばちっと視線がぶつかって、有星の心臓は跳び上がってしまう。

(うわーうわー何ン?

勝手に決めて貰うたから怒っとるん?そんなん星之介に言うてくれ~)

この心臓のドキドキは緊張?動揺?それともソレ以外?沸騰した頭ではよく判らなかった。




そして連休前日の夕方、有星はアパート手前の道路でスマホ片手にソワソワ待機。

似たような造りのアパートが並んでいて2人は迷うかも知れないし。

何んと言っても、友達が泊まりに来るなんて初めてのイベントだから。

外面も愛想も良い有星だけど、友達と言える付き合いは無かったりする。

物心付いた頃から当然のごとく母親が働くバレエ教室に連れて行かれて。

年上の女性に囲まれ、数少ない男性ダンサーとしてパ・ド・ドゥの相手役ばかり。

休日は色んな教室や公演に借り出されてクラスメイトと遊んだコトなんて無い。

バレエを続けていたのは、好きだからと言うより必要とされていたから。

そしてそんな義務感で行き詰まって、ヒトリ逃げて来た。

でも一人暮らしを始めたからと言っても、それで解放されたワケじゃなくて。

これまで積み上げられた言葉や想いは消えないし、時々自分を揺さぶって来る。

「別に上手いワケちゃうのに、男性が足りんから特別扱いされとおだけや」

「先生もよおやるワ。息子やからて毎回役付けるなんて恥ずかし無いんやろか」

「大切な公演なんやで?それくらい我慢しい!協力するんは当たり前やろっ」

その言葉達はどれもこれも的を得ているから否定出来なくて。

ただ無責任に逃げ出したと言う自責の念だけが付きまとって。

それは夜の気配が陽の明るさを押しやるみたいに、有星の内側を暗くしてしまう。



「おい。立って寝とるんか」

淡々とした孝星の声が降って来て、有星は我に返る。

「つちや…」

フラットバーのスポーツサイクルに跨った孝星が、有星を見下ろしていた。

でも持っているのは小さなリュックひとつ。

「荷物そんだけ?」

「寝袋は星之介が持って来るし」

「それめっちゃ大変やん、星之介が荷物で潰れそおやな」

「たぶん家の誰か車出すやろ。星之介はこの距離歩いたりせえへん」

「えー親も来るん?部屋上がるんやろか」

狭い1Rに3人座るスペースを作るために、とりあえず壁際に荷物を寄せただけの部屋。

もう少し掃除しとけば良かったやろか?なんて有星が考えていると。

「先にひとつ確認しとく」

「え?」

「綿野にとって星之介は恋愛対象なるんか?」

「ふえっ?」

目の前のクソ真面目な仏頂面からそんな単語が出て来るなんて、意外過ぎる。

そしてそれはつまり。ゲイバレしてもた?いつの間に?どこまで広まっとお?

奇声ひとつ発した後は、額に汗浮かべ有星は固まってしまう。けど孝星は変らず大真面目で。

「星之介は綿野を気に入っとおけど。

あいつリアルと二次元の境目あやふややから。綿野をどー思おとるのかオレには判らん。

けど、よお判らんまンま、おまえが遊びで手ぇ出したら。シュートの的にすンで」

「ぼーりょくハンタイ」

「目ぇ覚まさせるだけや」

そう言われても。

星之介と一緒にハンドボール同好会の練習を観た時のコトを思い出すと。

シュートボールが跳ねる重そうな音は体育館中に響いてたし。

自在に投げ分けるコースは、何処へ逃げても狙われそうだし。

(ソレて合法的な暴力やんか~)と有星はツッコミたい。

ただ改めて孝星の目を見ると。

別に怒ってるワケではなくて、何んとなく哀しそうな寂しそうな。

孝星のその表情の方に、有星の胸がきゅっとキツクなる。

「んー何ンつーか。

そんくらいオレも判っとるで。星之介がスキなキャラと、オレを重ねとるだけやろ。

それこそ明日の朝、超低血圧なリアルオレ見て幻滅するかも知れんし。

ただ小型犬みたいに懐いてくれるンがカワエエなあて思うだけやし。

せやからフツーに仲良おしたいだけやけど」

「そおか」

敵対心が溶けた孝星から、静かで優しい低音の声が漏れ出て。

またまた有星の心臓がドキンと反応してしまう。

(ちゃうワ~。

星之介が小型犬や無うて、槌谷が大型犬なんや。そんでチビ主人公のお守りしとるンや~。

槌谷が一生懸命やのに報われんて、なんや片想いドラマやなあ)

つい有星の防御が緩んでしまって本音がポロリ。

「それにどっちか言うと。オレは槌谷の方がタイプやし」

「は?」

思い切り渋い顔になる孝星の雰囲気で、有星は失敗したと冷や汗が滲んでしまう。

でも孝星は視線を落としてぽつりと呟く。

「ショーモナイコト言うなや。

星之介と比べたら、オレはめっちゃ偏ったニンゲンや。

でも星之介が居ってくれるからバランス取れとる。

星之介が居らんかったら、オレは今頃病人やろな」

予想外に重い言葉が出て来て、有星の方が戸惑っていると。

ミニバンが速度落として近づいて、窓から星之介がご機嫌顔を出した。

「とおちゃくぅ~」

「孝星くん久しぶりやねえ」

運転席から声を掛けて来たのは星之介の母親陶子。星之介とよく似た小柄でニコニコ顔。

「ご無沙汰してます。連休のバイトよろしくお願いします」

「そんなあ畏まらんとってー。こっちこそ、いつも助かっとるのに。

そんで、そっちの子が綿野くん?初めまして。星ちゃんと仲良ぉしてくれてありがとおねえ」

「あ、いえ。こちらこそありがとうございます。よろしくお願いします」

突然の対面で慌てながら、有星もぺこりと頭を下げる。

「ゆっくりしたいんやけど、私これから直売所行かなアカンから。

とりあえず荷物と星ちゃんだけ降ろすな。そんで明日色々話しよおなあ」

母親はニコニコ顔ながらも、ポイポイっと荷物を引っ張り出して孝星に渡すと。

慌ただしくエンジン掛けて行ってしまう。

「もー母ちゃんイラチやなあ」

いつもはそのマイペースぶりで相手を振り回す側の星之介がエラソーに言うので。

有星はぷぷぷっと笑ってしまう。

「星ちゃんやて。家ではそお呼ばれとるん?」

「うん。兄ちゃん達はスキ勝手に呼ぶけどなあ」

「ほんならオレも星ちゃんて呼んでもエエ?」

「うんうん!ええでええで!わー♪何んかめっちゃ仲良しな感じやあ」

キラキラの笑みで星之介が有星に抱き着くので、有星もぎゅうっと抱きしめ返す。

寝袋とか大荷物を黙々と運ぶ孝星の不機嫌な顔を想像して。

また失敗してもたかも、とちょっと冷や汗しながら。



「お邪魔しまーす」

「どおぞー」

有星の部屋に入った星之介は鼻をふんふん。

「めっちゃエエ匂いするう」

「夕飯下拵え済みやからな。いつでも食べれんで」

「おかず何ん?」

「牛肉焼いて玉ネギソース絡めたヤツ」

「旨そー!オレ肉好きやー」

「ほんなら良かったワ。直売所の野菜使うた味噌汁もあるし」

荷物を運んで来た孝星が、紙袋ひとつを有星に渡す。

「コレ総菜が入っとるみたいやで」

「煮物と炊込みご飯や、旨そお。でも味付飯はちょお組み合わせが難しいなー」

このおかずなら白米が食べたくなると思って炊立てが保温中。

TVの前で勝手にゲームの配線を繋いでた星之介が振り向く。

「そおや。ばあちゃんが、みんなで食べぇて何ンか入れてくれとったワ」

「星之介が味付飯スキやから、用意してくれたんやろな。

どおせ明日の朝は早あて時間無いやろから、コレ握って持って行こ」

そう言いながら孝星がタッパーを冷蔵庫にしまうのを見て。

星之介はゲームコントローラーとかキャラブックとか遊び道具を積み上げて喚く。

「そおや!朝早いンや!ご飯食べよ、遊ぶ時間無うなってまうー」

「枕投げはアカンでー。隣に迷惑や」

そんな小学生レベルの注意をしながら、有星が夕飯を温め直し始めると。

またもや星之介の歓声が響く。

「うわあ!めっちゃキレイやー!これ有星やんな!」

その手には、どこから引っ張り出したのかバレエ教室の紹介パンフ。

発表会の舞台を真ん中に、レッスン風景の写真が散らばっている。

そしていくつもの写真に相手役をこなす有星がちょこちょこ写っていて。

すらりとした体型にまっすぐで長い脚、王子の衣装だったりピッタリタイツだったり。

「ちょちょちょっ、何見とるんやっあかんて」

「なあっ舞台のビデオは?レッスンの動画でもエエで観してー」

「何ンでそんなん観たいん?」

「せやかてオレ一目惚れやったもんっ」

「え?」

この小学生レベルな星之介に、ホレタハレタ概念が無いのは判っているけれど。

ちょっと前に孝星とビミョーな会話をしたばかりだから、有星も応えに詰まってしまう。

「ゲームの映像てストーリーの為ちゃうねん。キャラに合わせた動きが必要やねん。

教室で自己紹介してた時から、有星の動作てホンマ王子そのもんでモブとは全然ちゃうし。

オレほわ~って見惚れたし!そーゆーの観たいねん!」

「何ンか長なりそーやから、とにかく飯並べよか」

頭のてっぺんから湯気立ち昇らせる星之介を愛おしそうに見つめて。

孝星は小さく笑いながらローテーブルを真ん中に運ぶ。

「ははは、そーやな。食器あんま無いンで、そのタッパーのフタ皿代わりにしよ。

星ちゃんも今はソコ片付けて。食事しよーや」

「うんっオレ肉大盛―!」

小さなローテーブルの上には、色んな大きさの皿とかカップとかぎゅうぎゅうで。

とにかく在る物で間に合わせたセッティングだけど。楽しい夕餉の始まり始まり。


それから星之介のご希望に応えて。

舞台のビデオ観て。棚にぶつかりそうになりながら、有星はちょっと振付けを披露したり。

星之介の荷物からはオヤツがどんどん出て来て。喋りも笑いも途切れなくて。

「エエ加減にせんと、明日起きられんで」

ごもっともな孝星の言葉で、やっと星之介は寝袋に入ったけれど。ぶーぶー文句。

「狭苦し~こんなん寝られへん~」

「ほんなら星之介がコッチ使うか?」

寝袋は2サイズ。当然ながら孝星は大きい方で、小さい方に星之介が入ってる。

でも寝袋を交換したら孝星は肩がはみ出てしまいそう。

それなのに大真面目に提案するから、有星が笑いながらフォローする。

「ちゃうやんな~?星ちゃんはベッドで寝たいんやろ?おいで一緒に寝よ」

「やったー!」

ぴょんと跳び上がると星之介は有星の隣に潜り込む。

シングルだから寝袋より狭いのに。星之介は憧れの王子様を独り占めしてご機嫌顔。

有星も星之介相手にエッチな気分は湧いて来なくて、ぬいぐるみと一緒に寝るカンジ。

こんな状態でもエエんかな?と有星が一応ちらりと孝星を確認すると。

意外なコトに孝星は興味無さそーに目を瞑っている。

「まあ何処でもエエけど。寝ても寝られんでも5時前には起こすからな」

「うえ~」「おやすみー」



でも早朝5時どころか2時間も経過しないうちに有星は目が覚めてしまう。

星之介の蹴りが顎にヒットしたから。

「え?何ンで脚がこっちにあるん?」

枕元のスマホで照らして見ると、星之介の頭がアッチ側にあるだけでなく。

今にもベッドから落ちそう。

「ちょ星ちゃん。わーどないしよ」

「ベッド諦めて、そっちの寝袋使い」

いつの間にかベッド脇に孝星が立って居て、星之介を抱き上げて体の位置を変えている。

「こーなるン判っとったん?」

「何度か泊まらして貰うたコトあるしな。星之介はマジで360度回転すンで」

思い出し笑いを浮かべながら孝星は優しい顔で星之介を見つめて、また寝袋に戻る。

(キスするんか思うた…)

そんなコトを思いながら有星は小さいサイズの寝袋に潜り込む。

横を向くと、孝星の顔が間近。

「ホンマに仲良えんやな」

「仲良え言うか、さっきも言うたけど。星之介が居ってくれるから今のオレなんや。

オレの両親別居しとって、母親は実家から精神科通院しとる。

子供ン時はその状況がよお判ってへんかったから。

母親がヘンなコト言うても、親が言うんやからそおなんかて思うしか無うて。

そおやって母親ルールに染まって育ったんで、オレも母親みたいに成るンかて怖かった。

でも星之介はいつも何んも変らん。

アイス喰おとかゲームしよとか。オレんこと見てスキやて言うてくれる。

オレが自分を見失うても。星之介の目線の先に自分が在るんやて、ほっとする」


いつも通り低音ボイスで淡々とした孝星の話し方だけど。

穏やかで温もりがあって。もし今の言葉に触れることが出来たらすごく柔らかい気がする。

「それってLoveなん?」

「よお判らん。せやけどオレん中に確かに在るキモチやから。

別に愛情でも友情でも、何んの名前が付かんでも構わへん」

「羨ましいハナシやなー」

「どこがや」

孝星の声に聞き惚れて、有星はうっとりゆらゆらと揺蕩うキブンになって。

取り留めない想いがついこぼれてしまう。

「バレエの演目やと、愛は崇高なモンとして表現するやろ。

愛を差し出せば、愛が返って来る言うカンジ。せやけど現実はそおちゃうやん?

同ンなじコト想うとる訳ちゃうし、同ンなじ重みでイコールに成ったりせん。

少なくともオレは寝た相手から、自分が欲しいモン貰うたことない。

せやけど槌谷と星ちゃんは、どっちも満足しとるみたいやもん」

「ホンマに欲しいモンて。自分から探し行って見付けるモンちゃう思うけどな。

ああこれやったんかて、ほっとした時に気付くモンな気がするワ」

「何んや哲学的やなー」

「どこがや?単なる恋バナやろ」

「えええっどこがあ?」

「大きい声出すなや。星之介が起きてまう。

せやかて綿野はよおコッチ見とるから、何ンか言いたいコトあるんかて思うとった」

「え、まあソレはその。

せっかく誕生日が同じなんやし、星ちゃんはめっちゃ面白ろぉてカワエエし。

2人と仲良お成りたいなあて…でも別につ」

くわぁと孝星は欠伸してゴロンと横を向いてしまって、今の話もどこまで聞いていたのやら。

「まあエエわ。明日の朝ちゃんと起きいや」

そしてぼそりと一言呟くと、孝星はくかーっといきなり深いノンレム睡眠。

あまりの唐突さに有星は身体を起こして覗き込む。

「えー何ンやねん。話途中やで?ホンマに寝たんか?」

孝星がまた身体の向きを変えるから2人の鼻先が触れて。思わず有星がぴくりと揺れる。

孝星は自分よりデカイけれど、お互いまだコドモとオトナの間の年齢。

肌はしっとりと柔らかさと滑らかさを残している。

これまで有星が付き合って来た相手はバレエ関係の年上ばかり。

高級ホテルに呼ばれて重ねた身体は、もっと乾いて硬い皮膚だった気がする。

でも大人相手だから、家族や知り合いにもバレず楽しむだけと割り切れるし。

小遣いや高価なプレゼントを貰うこともあったし。

それに何よりも重要な約束つまり次の客演を確約して貰えるから。

有星はいつも自分に「愛は無うても損はしてへん」と言訳して。

バレエのストーリーとは違って、リアルな愛はそーゆーモンだと納得しようとしてたのに。

「ええなあ…オレも2人の間に入れて欲しいワ」

そんな言葉が零れてしまう。

そのままキスしたかったけれど。

自分が欲しいモノが孝星とのキスなのかどうか、判らなくなってしまったし。

お互い寝袋に入ってるからそれ以上くっつくコトは出来ないし。

とりあえず一番近くまで身体を寄せて、有星はゆっくりと目を瞑った。



そんなんイヤやー!と星之介の悲鳴が響き、超低血圧の有星でさえ目が覚めてしまった。

星之介はスマホの通話相手にぎゃあぎゃあ喚いているトコロ。

その横では身支度完了の孝星がリュックを背負い、そのまま出発しそうな雰囲気。

「目ぇ覚めたんか?

揺すって目ぇ開けさせても、すぐまた寝てまうから。もぉ放っとくつもりやったんに」

「あーええと…」

まだ血が巡らない有星の脳ミソは状況理解出来ないカンジ。

「星之介ン家の誰かに迎え来て貰う予定やってんけど。

誰も都合付かんらしーねん。オレ走ってくから、オレのチャリ使うて2人で来」

「チャリ?どこ行くん?」

「寝起きはほんまポンコツやな。これから直売所の手伝いするんやで。

とにかくオレ先出るワ、なるべく早ぉ来い」

「孝星のチャリに乗れるワケないやん!

ペダルに足届かへんし、ハンドルもまっすぐでバランス取りにくいしっ」

インドア派の星之介は朝っぱらから身体動かすコトなんかしたくなくて拗ねまくり。

「有星に漕いで貰え。腕も脚も長いし乗れるやろ」

「え?」

唐突に孝星から名前呼びされて、有星の目がぱっちり開く。

「少しくらい遅れても構へんから安全運転で来いや」

「やったあ!有星の背中ぎゅうって抱き着いてもエエやんな♪」

「え…チャリなんて小学生以来やで…」

「そんなん身体が覚えとるワ。まあ2人で走って来てもエエけど」

「チャリ乗ろおやぁ有星い、走るんイヤヤあ」

遊び気分で甘え顔の星之介はコアラみたいに有星にしがみつく。

孝星はランニングシューズの紐をきゅっと締め、ちょっと牽制的な視線で有星をちらり。

「身体動かして汗かけばスッキリすんで。オレはいっつもそおして来たんでな」

その意味するトコロにピンと来て、有星の耳は赤くなって言葉に詰まる。

(くっそ!何ンやねん、やっぱ気付いとるんや。

アレ以上のコトせんで良かったーっ。単なるスケベな奴やと思われるトコやった)

「ああもおっわかったっ!めちゃめちゃ汗かいて行ったるワ!」



そして何んとか時間ギリで、星之介と有星は直売所に到着。

ぜえぜえと有星の息は荒いけど、気分と表情は清々しい。

ママチャリと違って、サドルが高くハンドル位置が低くめだから腹回りに力が入る。

そして後ろに星之介の重さがある状態で、ヨロけないように重心を体幹で操る。

(バーレッスンで上体引き上げ意識するみたいや)

そんなコトを考えると、寝ぼけ脳ミソも身体も動き出して。

おまけに昨晩観た有星が踊る動画の感想を星之介が耳元で興奮気味で喋くり。

最後にはタラッタラッタラッタゆうせいのダンス~♪なんてヘンな替歌を大声で。

あはっはっはー!何んやそれー!人気の無い早朝の農道を2人で笑いまくった。


だから直売所に到着した時、有星はふふんっと真っ直ぐに孝星と視線を合わせた。

「孝星の言う通りめっちゃスッキリしたワ」

孝星はいつもみたいに、そおかと小さく応えたけれど。少し笑ってるようにも見えた。


直売所の手伝いは案の定ひたすら力仕事。

始めて1時間は何んとか有星もジャガ芋の箱だの米10キロだの持ち上げていたけれど。

そろそろ限界で情けない声が漏れてしまう。

「腰痛え…」

星之介の姿は随分前から見てないし。孝星だけが黙々と働いている。

野菜がぎっしり詰まった箱をひょいと持ち上げて運ぶ孝星の後ろ姿を見てると。

ぼんやり有星は考えてしまう。

(エエなあ、あのタフさ。

身体も鍛えとるけど。星ちゃんへのキモチをコントロールするンも年季が入っとるよなー。

星ちゃんがリアル恋愛に興味無いんとは違う感じで、孝星もちょお判らんトコあるよなあ)

それと同時にちょっと妄想もしてしまう。

あの逞しい腕に抱き締められたら、どんなにか…。と、ぐうううと低い音が響く。

いつの間にか有星の足元に星之介が座り込み、情けない顔で見上げてくる。

「ゆうせえぇ腹減ったぁ」

「あははは、すごい音したな。腹空いとったら力仕事出来へんよな。

孝星が炊込飯をおにぎりしてくれとおからアッチで食べよか。」

出掛けのバタバタで、低血圧の有星は何も食べて無いし。星之介はチョコパンを齧っただけ。

「うんっ喰う!」

休憩する時はココで、と指定された売店の奥スペースへ2人で移動する。

そこでは大ベテラン第一次産業従事者様達が、早朝でも元気で賑やかにお喋り中。

マリメッコみたいな花柄の三角巾をした小柄なおばあちゃんが星之介に気付く。

「おーや六弘先生ンとこの末っ子や。

今日はお手伝いなん?エライなあ、冷たい麦茶持って来るワ。ココ座り」

「わーあんがとっ。なあ、ばあちゃん漬物ン無い?汗かいたから塩っぱいのん食べたい」

「あるよお。自慢の糠漬け持って来ちゃるワ。そっちのおにーさんも食べるン?」

「え、あ、はい。ありがとうございます」

休憩所は皆知り合い同士と言った空気だったので、有星は少し戸惑ったのに。

星之介はすっかり顔馴染みらしくて、他のおばちゃん達も気付いて声を掛けてくる。

「星ちゃんのお友達なん?何んやいつもの子達と雰囲気ちゃうなあ」

「あれ?何ンか見た気ぃすんなあ」

「時々ココに買物来とるやろ?こないだウチの茄子買うてくれたやんな」

「おにーちゃんみたいな美男子さんやったら、安うしたるで。今日はウチで野菜買い」

「ほんなら米はウチで買い、半額や」

「今から朝ごはんなん?味見用の焼き菓子あるで、これも食べ」

「そおや朝採れ卵焼いたげるワ」

新顔と言うだけでも話のネタにされるのに、有星の見た目は更にネタを提供してしまい。

休憩室に明るい笑い声が響き、ホンキか冗談か判らない喋りで盛り上がってしまう。

「そおやろーバレエの王子様やねん」

「ちょお星ちゃん、言い方っ」

しかもテーブルに食べ物が増えて来て有星が慌ててると。星之介の母親が顔を出した。

「あらー星ちゃん、ちゃんとココまで来れたんや。誰が車出したん?須恵か伊万里?

綿野くんも朝早ぉからありがとおねえ」

「兄ちゃん達誰も来てくれへんから、チャリで来たんやで」

「ええ?あんたが自転車漕いで来たん?」

「漕いだんは有星や」

「まーホンマにあんたはもぉ。綿野くん色々ありがとおねえ」

「母ちゃん、オレもお疲れてもた。そっちの手伝いするー」

「あんたはぁすぐ日和ってからに。

まあ助かるけど、コッチ全然手付かずやねん。綿野くんも手伝うて貰える?」

「じいちゃんの知り合いから預かった皿とか並べるだけやから、ラクやで」

いひひひと星之介は楽勝の笑顔とVサイン。

孝星だけに力仕事させて悪い気もするけれど。

もし昨晩みたいに3人で食事するような機会があるなら、食器を買い足したい気もして。

有星も星之介母子に付いて、直売所の隣の建物へ向かった。



直売所は所狭しと農作物が並べられていたけれど。

こっちの部屋は展示室みたいにぽつぽつと陶磁器が置かれていて。

ただ重ねてある食器を買うだけ、とイメージしていた有星は(あれ?)と思って。

その陶器の近くにある札を見て更に(あれれれれっ)と額に汗が浮かぶ。

ぱっと見、別に骨董品ぽくも無いのに結構な額の値段札。

しかも細かに何かの比率だの温度だのが掛かれてあって化学式みたいだし。

「星ちゃん、これ何ンか有名人の個展とかなん?」

こんな高価な割れ物を運ぶくらいなら米袋の方が気楽。

焦る有星は、星之介のTシャツを引っ張ってコソコソ尋ねる。

「えー?フツーの食器やで」

「いや値段見てみぃな。こんなん壊すン心配でよお触らんワ」

「星ちゃん、どおやってココまで来たんや?」

タブレット片手に作品キャプションをチェックしていた細身の男が、星之介に声を掛けた。

「釉兄ぃ、何ーんで今朝迎え来てくれへんかったンよー」

星之介がダダっと走って、その男に抱き着くから。

有星はムンクの叫び顔になるけど、兄は末っ子のクセ毛頭をがしっと押さえつける。

「あほココでは静かに歩かな」

「そおやった。ごめーん」

「孝星は?」

「外で重いン運んどる」

「星ちゃんはサボリか」

「サボリちゃうで。有星にコッチん部屋も見せたろ思うて」

そう応えて振り返る星之介につられて、釉兄も有星に気付く。

「有星、これ2番目の兄ちゃんや。母ちゃんと一緒に陶磁器のことやっとる。

釉兄、有星はなオレが一番スキな友だちや。バレエで王子様役踊るんやで!」

その言葉に釉兄は少し眉をひそめて、星之介の頬をむにっとつまむ。

「一番は孝星ちゃうんか?」

「孝星はぁ、オレんことを一番スキな友達や」

「気の毒な言われよおやな。

まあソレはソレとして、ちょお手伝うてくれ。まだ全部運べてへんねん」

呆れ顔になりながらも落ち着いた声で釉は指示を出す。

「ゆうせいくんやっけ?廊下にウチの母親居るから、やり方聞いてくれるか」

「あ、はい」

走り出しそうになった有星は「静かに」と言うワードを思い出し。

すうっと力を抜いて膝と足先を意識すると、まるで舞台中央へ出るダンサーの足運び。

「な!有星めっちゃ綺麗やろーっ」

自分の背後に響く星之介の言葉が恥ずかしくて、有星は顔が熱くなってしまう。

(星ちゃんのアノ言い方なあもお。オレら三角関係みたいやんか~)


星之介の母親は、廊下で木箱の中から緩衝材に包まれた作品を取り出していた。

ちょっと息を整えて有星は横に並ぶ。

「あの、何手伝えばエエですか?教えてください」

「あらまあ、ありがとー。この箱の番号見て、そこのリストにチェック入れてくれる?

その前になあ、綿野くんにクイズや」

陶子はふふっと笑う。

「こーゆー陶器を捨てる時は何ゴミになるか知っとお?」

「え?」

「ほら使うてたマグカップが割れたら、ゴミの日に出すやろ」

「えーえーと」

アパートの部屋に貼ってある分別表を思い出しながら、有星は首を傾げてしまう。

(生ゴミとプラゴミは覚えとるけど、他の分別って?)

「はーい!はいはい!不燃物~」

神出鬼没な星之介がどしーんと有星に抱き着いてくるから、大慌てでぎゅっと抱きしめる。

「静かにて言うてたやんか~。こんな高価なモン壊したらオオゴトやで」

「アッチのは作家さんの作品やけど。ココのんは普段使いやから高いモンちゃうよ。

けどまあ100円ショップとはいかんけどね。

値段を越える価値があることを伝えて行くんが、まだまだ足りてへんのよねえ」

独り言みたいに呟きながら、陶子は取り出したボウルのような食器を有星の手に乗せる。

つるんとした手触りと淡いベージュ色が上品だし、汁物でもシリアルにも丁度良いサイズ。

しかも親指が当たる部分にかすかな凹みがあり、片手でも扱えそう。

「わ。何んかめっちゃ手に馴染みますね」

「うふふふ、ありがと。これね再生土を使うとるんや。

さっき星ちゃんが応えてくれたよおに、廃棄された食器って埋められるンや。

せやけど、その一方で焼物の原料になる陶土て掘り尽くされて枯渇しとる。

不要になった食器を粉砕して原料の一部として配合してな、また陶土として形に成るんよ。

作品とこに札あったやろ。配合率とか焼温度とかを説明しとる」

「へえ…土て何処にでもいくらでも在るんか思うてました」

「形成に向く土は限られとるし。

そういう土壌の個性があるから、焼物ンの産地て特定されるんよ」

「へえ」

「オモロイやんなっ、その食器ん中に誰かが使うとった茶碗とかオシャレなカップとか。

色んな粒が混ざり合うとるんやもんなあ」

またまた星之介が会話にぴょこんと顔を出して来て。

陶子も楽しそうに末っ子のクセ毛をくしゃくしゃ混ぜる。

「そおやで星ちゃんと一緒や。

おやつのチョコやさっきのおにぎりとか、色んなモンが全部混ざり合うて。

星ちゃんを形作っとるんやで」

星之介は有星を見てにっと笑う。

「昨日食べた有星の飯もオレん中や。

なあ、これからもっとようけ一緒に色んなモン混ぜ込んで行こなっ」


キラキラと楽しそうで真っ直ぐな星之介の瞳を見ると、有星は少し苦いモノを感じる。

(もお何日もレッスンしてへんし、バレエのこと考えんで毎日過ごしとるけど。

星ちゃんが言う通りオレの動きにはバレエが沁み込んどる。もおオレの一部や。

せやけど、これから色んなモン混ぜて行けば、オレは違う形にも成れるんやろか…)

「星ちゃんと一緒に?」

「そおやで孝星も居るしなっ、3人で楽しーでー♪」

「そおやな」

にっこりと有星は微笑む。それは、そおなりますようにと願いがこもった笑みでもあった。




そんな感じで。その日の手伝いはどの程度役に立ったかは不明だけど。

有星は週2日水木の放課後に併設の食堂でバイトさせて貰えることになった。

食堂と言っても、改装してこじゃれたカフェみたいになっていて。

地元農産物を使ったメニューも定食や丼物だけでなく、バーガーとかスイーツもある。

結構人気で休日なんかは食堂利用だけのお客も多い。

それで平日も2日は軽食と持ち帰りだけの営業をしているけど。

夕方にはほとんどの農産物は売切れだから、仕事帰りにコーヒー1杯と馴染み客が寄る程度。

そんな場所に登場した王子様の集客力は大きかった。

愛想の良い有星とお喋りが出来て、王子スマイルはプライスレス。

おばちゃんもおばあちゃんもおねえさんも、ちょっと立ち寄ってお茶していく。

そして星之介やクラスメイトにはパンケーキの苺多めとかチョコソースたっぷりのサービス。

全然更新が無かった直売所のHPも刷新されて、メニュー紹介する有星の動画が追加。

食堂メニューには再生土の食器を使って、盛り付けも映えを意識。

有星もスタッフから色んな料理を教えて貰ったり、調理の練習用に食材を分けて貰ったり。

このバイトがすごく気に入って(バイト代であの食器3つ買うんや)と目的も出来て。

日々のちょっとした出来事一粒一粒が自分を形作ってくれるのが、ただ楽しかった。




でもある日、過去の一粒がちくりと胸の中で撥ねた。


閉店後、有星は念入りに厨房を掃除する。

明日の朝から仕込みに入るスタッフが少しでも仕事がし易いように。

突然こんな時間なのに食堂のドアベルが鳴ったので、ゴム手袋を外してフロアへ行く。

「あのもお閉店…」

「わー!本当に居たよ!こんな田舎で一人暮らしなんて驚いたよー」

直売所と言う舞台には全然相応しくない雰囲気の男性と、その後ろに苦い表情の姉が居た。

でもそれ以上に有星の顔が歪む。

「ねーちゃん、何んで…」

「仕方ないでしょ。今日まで隣のH市で出張レッスンがあったの。

打ち上げする店を探してたら、ここのHPにアンタが出てるの見つけちゃって。

バレエは辞めるとか言ってこんな田舎来ても、結局目立ちたがるのね」

刺々しい姉の言葉は慣れているはずなのに、久しぶりのせいか痛みと不快さがキツイ。

「山本先生、もう良いでしょう?みんな店で待ってるし、行きましょうよ」

「まあまあどうせ皆勝手に始めてるよ、少々遅れても問題無いって。

それより有星くんコーヒー淹れてよ、お喋りしようよ。本当にバレエ辞めちゃうのかい?」

山本先生と呼ばれた男性はすっと有星に近付いて、その手に触れて来るから。

立ち竦んでいる有星はびくりと身体を震わせて青ざめてしまう。

目の前の男はこれまで何度も寝た相手。

実力あるダンサーで今は現役引退してるけど、踊りを教わって来たし。

いつも特別にバレエ教室の指導や客演も引き受けて貰ってたのに。

もう全部思い出したく無い過去。

そして今そんな関係を姉に見られているこの事態。

どう言い繕えばこの場をやり過ごせるのか、思考も呼吸も止まって何も考えられない。


はぁとわざとらしい大きなタメ息を付いて姉は嫌悪の表情に変わる。

「私来月からお母さんの教室出て、Uバレエ団所属になるの。

もうお母さんの立場を利用してるなんて言われることも無くなるし。

お母さんも教室運営の為にアンタを利用することも無くなるでしょ。

だからアンタも教室の為なんて建前で男漁りするのは止めてよね。

こんな風にSNSで何でも探られるんだから、アンタの性癖でバレエを汚さないで」

「ひどいなあ。

別に教室運営の為だけじゃないよ。私と有星くんの間にはちゃんとLoveも在るんだから。

噂を気にして家を出たんだろうけど、私が他の教室を探してあげるから。

こんな田舎でヒトリじゃあ有星くんを理解してくれる人も無くて寂しかっただろ?

私のコトが恋しかったんじゃないのかい?」

どこまでホンキか判らない戯言がぺらぺらと男の口から流れて来て。

その濁流に圧されて、有星の意識は逃げ出したはずの過去まで戻ってしまう。


綿野有星が役を貰えるのは。

「男性ダンサーが不足してるし、どうせ母親が根回しするから仕方ないよね。

それにゲイなら都合良さそう。先輩ダンサーのご機嫌も取れるもんね」

噂どころか面と向かって言われてきた言葉が視線が、有星の内側で跳ね回り突き刺さる。



「今はオレが居るんで間に合ってます。それに閉店時間過ぎとるし帰ってください」

唐突に怒りを滲ませる声が食堂に入って来た。

その姿を視て、何もかも固まっていた有星の唇がやっと少し動く。

「こうせい…」

「なーんだ。もー次の男見つけてたの?そーゆーのを恥知らずって言うのよ。

山本先生行きましょう。バレエに真摯に向き合えないダンサーなんてどうせ芽は出ないわ」

うんざり不快MAXと言う態度で、姉は連れの腕を引っ張って出て行く。

すれ違う時に姉はちらりと孝星を見たけれど。

孝星は真っ直ぐ有星だけを見て、大股で近付くとガシっと肩を掴む。

「もお何ンも聞くな。帰るで、星之介も待っとる」

「何んでココに」

「閉店やのに見たこと無い外車停まっとるて、六弘さん家に連絡あったんや。

店の電話もおOFFなっとったし、おまえのケータイ出えへんし。

強盗入ったンちゃうかて、おまえのファンが騒ぐんで。様子見に来たんや。

おばちゃん連絡網ナメんなよ、ALSOKより優秀や。

外で星之介と伊万里さんが待っとる、行くで」

珍しいくらい孝星の口数が多いし、自分の肩に置かれたその手から温度と汗を感じて。

逆に有星の方が落ち着いてくる。(あー…めっちゃ心配してくれとお)

「星ちゃん、外に居るん?」

「当然やろ。

ココに突撃しそおな勢いやったけど、もしホンマに強盗やったら巻き込むワケ行かんし。

いつでも警察電話出来る状態で待っとけて言うとる」

その言葉に有星はふふと笑いが漏れてしまう。

(結局んトコ星ちゃんが一番大事なんやなあ、孝星は)


だったら今だけは、こんな時くらいは甘えさせて欲しい。

有星は、孝星の腕にゆっくりと指を押し付けながら顔を寄せる。

「なあキスして」

「何んでや」

「せやかて「オレが居る」んやろ?」

「…」

「散々そんなん愛とは違うて言われたけど。

オレは踊るん好きやった。諦めんで努力するねーちゃんを応援したかった。

教室も大事やったから、役に立ちたかったし。

褒めてくれるんは山本先生だけやったし。

オレが出来る愛を差し出して来たつもりやけど、返って来るモンは何んも無うて。

今オレめっちゃ惨めやねん。慰めてくれん?優しいしてくれん?

こんなオレでも好きやて言うてくれへん?」


孝星から揚げ足取んなっとツッコまれ、ざんねーん後少しやったのにと笑う予定なのに。

有星の目からはボロボロ涙が落ち、震える口で無理に話すから顔は歪んでミットモ無くて。

涙と鼻水でぐしょぐしょのその頬に。

孝星は静かにキスをして。

有星の腰に腕を回して身体を密着させると、唇にキス。ゆっくりと結構長く。

唇とシャツ越しに、自分を大切にしてもらえる温かさを感じて。有星はうっとりする。

押し当てるだけのぎこちないキスだけど、こんなに安心出来るキブンは初めてで。

何んとなく、自分の中にとても素敵な粒がさらさらと積もって行く感じを味わえて。

それからゆっくりと有星は孝星から身体を離した。

「…ごめん」

「何がや」

「いや、その同情に甘えてもて」

「同情なんかしてへん。事情もよお知らんまんまやし。ただ」

「ただ?」

「星之介が言うとった通り、有星はほんまにキレイやなて思うただけや」


「今頃?気付くン遅いワ」

にょっと星之介のクセ毛が視界に割り込んで来て。有星も孝星も跳び上がって驚いた。

「えっ星ちゃん?外に居るて」

「なかなか孝星が戻って来おへんからさあ、なあ早よ行こ。

伊万里兄がもうすぐ通報ボタン押してまうで」

星之介は仲間外れのままコトが解決してしまった雰囲気にムクれているけど。

孝星は真っ青で脂汗を浮かべてしまう。

「星之介あのさっきのは、その」

「あんな有星、孝星てちゅーするン好きやねんで。

ウチ泊まり来ると、オレが寝とる時よお勝手にちゅーするんや」

「え?気付いとったん…」

孝星は沸騰した顔を両手で隠しながら崩れるように座り込んでしまうから。

そのショゲっぷりが気の毒で、有星は大笑いしてしまう。

さっきとは違う涙を浮かべて笑いながら、今度は有星が星之介の頬に音を立ててキスすると。

星之介はぴょこんと跳び上がってはしゃぎまわる。

その瞳はいつものキラキラが100倍増し。

「わーわーわー!王子様のキスや!」

「星ちゃんもありがとおなあ。オレめっちゃ助かったし、今なあすごく幸せな気分や」

「そおやろ?な。3人で居ったら絶対いっつも楽しいで」

「ほんまやなあ」

にっこりと穏やかで安らいだ微笑みが、涙の跡が残る有星の顔に浮かんでくる。

自分の中には汚れた粒も在るけれど、これからたくさんキラキラと輝く愛おしい粒が増えて。

新しい自分が作られて行くのは間違い無かった。


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