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失恋聖女は祠を破壊する~私を選ばなかったはずの神官が追放先まで追いかけてきます!?~  作者: 天木奏音


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7.偽聖女、柑橘水で酔っぱらう

『ほら、マリーエ!もっと言ってやりなさい!!』


「はひぃぃ……リュカわぁ、わらひとけっこんひゅるつもりらと、おもってたんれすよぉ……こりぇも、うらぎり?ってやつ?なのでひょうか……?」


「えーでもちゃんと約束してたわけじゃないんでしょ?偽聖女様だって、最近は好きとか言ってないんでしょ?」


「バッカお前、言葉での約束が全てじゃねーだろ!お互いだけがわかる感じというか、言葉にしなくても想いが通じ合う二人とか……なんかこう、あるだろうが!そういうのが!!」


「そんなこといって、オットーはレイラをまんまと村の外の男に取られたじゃない」


「言葉にしなくてもわかり合ってるなんて、そんなん幻想だよねー?」


「ぐはっ……」


「ふえぇぇ、れんあいこわい……」


『まぁ、あの男はどこからどう見てもマリーエを独占したがっていたし、よその神官や視察に来た若い貴族たちを牽制していたから、てっきりマリーエを選ぶものだと思っていたのだけど……今も昔も、貴族の恋愛なんて思い通りにはならないものね…………』


「はるめいあひゃま……」


『マリーエ、リュカ神官はきっとあなたを愛しているわ。あたくしの目からはそう見えていた。だけど、人間は心のままに動くことのできない、悲しい生き物なのよ……。ま、だからと言ってマリーエを袖にするなんて、あり得ない愚行だけれどね!』


「猫様、深い……!」


「すごーいかっこいー!なんか人生経験豊富そうな感じ!!ねっ、あたしの恋バナも聞いてもらってもいい?猫様」


『もちろんよ。どんどん語りなさい!あたくしをもっと楽しませてちょうだい!!』


「みなひゃんのこいばな、きいて、べんきょうしまひゅ……」


 

 ◇◇◇


 目が覚めると、いつもと違う天井が見えた。

 

「……………………ここ、どこ?」


『マリーエ、おはよう。よく眠れたかしら?』


「はっ、ハルメイア様……ここは一体、どこなのでしょうか?」


『あらやだ、もしかして覚えてないのかしら』


「歓迎会を開いてもらったことは覚えているのですが……」


『マリーエは、成人してもお酒は控えた方がよさそうね。お酒なんて一滴も飲んでいないのに、匂いや雰囲気で酔っ払いみたいになってしまうんだもの。柑橘水がお酒と入れ替わったのかと疑ったわよ!』


「えぇっ……!?」


 なんでも私は、村の若い男女に囲まれて恋愛の話で盛り上がったらしい。


『恋愛の話じゃなくて、恋バナね!イマドキの若い子ってば、随分おませであたくし驚いちゃった。ああいうのも新鮮で楽しいわ~。神殿の男女は基本的に枯れてるんだもの……』


 愛を司る女神のハルメイア様は、すっかりご満悦だ。だけど何一つ覚えてない私は、恐ろしくて仕方がない。


「あのぅ……私、何か変なことを口走っていませんでしたか?」


 うっかりリュカのことを話していたらと思うと、顔から火が出そうだ。


『マリーエの素直な心情が聞けて、あたくし安心したわ。あの男のことを忘れるのは難しいかもしれないけど、失恋には新しい恋が一番よ。この村の件が解決したら、ここでも神界でもどこでもいいから、とびっきりのいい男を探しましょうね』


「話が見えないのですが!?」


 怖い。怖すぎる。そもそも新しい恋なんて微塵も考えていない。一体私は村の人たちに何を話してしまったのだろう。


 もはや客室から出ずに引き籠っていたい気持ちでいっぱいだけど、流石にそういうわけにもいかない。重い腰を上げて、用意された衣服に着替えて部屋を出た。


 ◇◇◇


 私が滞在したのは、村長さんのお家だ。他のお家より広くて部屋数も多く、昨夜の宴会もここで行われた。村長さんの息子ニックさんと村長さんのお父さんという、男性3人暮らしだ。村長さんの奥様は早くに亡くなっていて、娘さんたちは既に結婚してこの家を出ていると聞いた。そのためニックさんと婚約中のエデルさんと、その妹のルーナさんは、我が家同然に出入りして身の回りのことを手伝っているのだとか。


「マリっちおはよー!よく眠れた?昨夜は楽しかったねっ!」

 

「おっ、はよう、ございます……」


「どしたのぼーっとして。まだ疲れてるなら、休んでてもいいんだよ?」


 客室を出たら、ルーナさんが待ち構えていた。きっと私と恋バナをしたうちの一人なのだろうけど、何を話したか覚えていないので、話を振られたらハルメイア様にフォローしてもらうしかない。


「い、いいえ、大丈夫です!ルーナさんは、朝早くからどうなさったのですか?」


「ニック兄から、マリーエ様に村を案内してくれって頼まれたの。後でご神体見にいこーね!」


 「そうですね、そうしましょう」


 恋バナ云々はともかく、まずはご神体だ。

 話を聞いただけでは何が起こっているのかさっぱりわからないので、実際にこの目で見てみよう。


(本当に、壊さなきゃいけないのかな……?)


 村の人たちに害を与えるようならもちろん対策は必要だけど、ご神体と呼ばれるものを破壊するのは気が引ける。正しい手順で浄化するなり、何かしらの手段で解決できることを祈っておこう。

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