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小さな村



「あぁ、フォルですか。あの子はこの村で一番優秀な子で」


「そんな気がしてました。」



村長と転生者が歩みを進めていく。

後姿が徐々に小さくなっていく。


動けない僕を、走ってきたレティが心配そうに見てきた。


「ルゥ?」


「……ん?」


「どうしたの?」


「何が?」


「何がって。だって今のルゥ、すごい怖い顔してる」


「え?」


無自覚だった。自分の中では笑顔でいたはずだったのに。


「ごめん、何でもないよ」


「……そう、ならいいけど」


僕の返事に納得していないレティは気を使ってかそれ以上は聞いてこなかった。


「じゃ、行こう。みんな待ってるよ」


レティが僕の腕を引っ張る。


「っいた!」


「あ!ごめん。右手引っ張っちゃった」


「いや、大丈夫だよ。行こう」


僕の手を離したレティの手を自身の左手でつかむ。

僕は先ほどの痛みを思い出しながら決意した。


奴を村から追い出さなければ。

奴は僕が魔法を使えることを知っている。

あの言葉は僕に対する質問じゃなかった。確信を持った言葉だった。


知っているならばこの村から追い出さなければ_。



_________________________



「……小さなきれいな村ですね」


村長の家について、嘘でも丈夫とは言えない椅子に腰を掛けた転生者が口を開く。

その言葉に村長はうれしそうに笑った。


「ありがとうございます。自慢の村なんです」


僕とレティは二人から少し離れた場所でほかの村の人たちとその光景を見ている。

みんな、転生者には興味津々みたいだ。


「それで、さっそく本題なんですが」


「はい」


「この村で最近魔物が暴れ始めているというお話で私がここに派遣されました。そのお話を聞かせていただいてもいいですか?」


「はい…。ここ最近といっても2,3年ほど前なのですが、魔物が村の外で見かけるようになって」


「村の外ですか?」


「そうです…、村の外で数十っ体の魔物を見かけて、いつ村が襲われるか…」


「なるほど、村自体は襲われていないんですね?」


「はい、でも村の外に出ようとすれば一目散に襲ってきて村の外に出れない状態なんです。なので、ほかの村との連絡も途絶えてしまって…」


「ほかの村との連絡…」


「ここは小さな村ですからね。ほかの村と食料だったり、資材だったりと分け合ってきたんです。それができなくなってしまって。今まではなんとか持っていたのですが、そろそろ助けなしではやっていけなくなりそうで…。だから転生者様に魔物を討伐してもらえないかと思い、依頼をしたんです」


「そういうことだったんですね。村で魔物が暴れているという話は?」


「申し訳ないですが、それは嘘です。そうでもしないと転生者様は派遣されないとお聞きしたもので…嘘をついたことは申し訳ないですが、引き受けてもらえませんでしょうか……」


「…事情は分かりました。」



ふぅと転生者が一息つく。

村長と村の人たちは険しい顔をしてた。

みんな、転生者が断ることを恐れているのだ。


転生者が断ればこの村は終わる。

外に出れないと狩りもできない、狩りもできなければ生きていけない。

むしろ良くこの2,3年生きてこれたのは奇跡みたいなもんだ


って、みんな思っているのだろう。


「引き受けましょう」


証拠にその言葉を聞いた途端、村人全員が手を取って喜んでいた。

僕一人を除いて。



「良かったね、ルゥ!」


隣ではレティも喜んでいる。

僕も形だけ喜ぶべきかと思い、笑顔を作ろうとした、その瞬間


「その代わり、彼の家でお世話になっても?」


その刺された指先が自身の方に向いていることに気づき、固まった。

何を言っているこいつは。


「フォルの家ですか?」


「えぇ。」


「……転生者様が言うなら」



僕の許可なく決まりそうな雰囲気に僕は急いで苦言を呈した。


「待ってください。無理ですよ僕の家は!」


なんでこんなやつを家に上げなきゃいけないのか。



「フォル」


「考えてください、村長。僕の家はオンボロですよ!?あんな家に転生者様を泊まらせるなんて!」


「その転生者様がいいと言っているんだ」


「でも!」


「フォル……。村のためだと思って、今回だけ聞いてくれんか」


「っ」


ずるい言い方だ。そういうと僕が断れないのを村長は知っている。



「………わかりました」


「すまないな、フォル」


申し訳なさそうな顔でそういわれえるともっと何も言えなくなる。

くそ、なんでこんなことになるんだ。


「ということで、よろしくね。フォル君」


「……たいそうなおもてなしはできないですよ」


「大丈夫、そこは期待していないから」


あまりにも失礼な態度で、俺は今にも殴り掛かりそうな衝動を抑えた。





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