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お早い到着で。



「転生者様……?」


僕の隣で驚いたように目を見開くレティ。

お世辞にもかわいいとは言えない顔で、しばらく固まっていた。


「お嬢さん、この村で一番偉い人呼んできてくれるかな?」


先ほど僕らに声をかけてきた外套を着た人は、レティにそう言う。

フードをかぶっており顔はよく見えないが、体格、声からして多分女性だろう。


声をかけられたレティはハッとして


「は、はい!」


緊張からか裏返った声で返事をして一目散に村長の家に走っていった。

僕を置いて。


走っていくレティの後姿を見つめる転生者。

その頭が僕の方を向いて、右手でフードを下した。


フードを下したことで転生者の顔が太陽の光によって照らしだされる。

肩まであるストレートの黒髪が風になびく。

この世界にしては珍しい黒い瞳が僕をじっと見つめた。


「私の名前はノーナ。君の名前は?」


僕はその瞳から逃げるように目をそらした。


「君は、どうして私が転生者だってわかったの?」


その質問に僕が答える気がないのが分かったのか、別の質問を投げかけてくる。


「……この村でそんな外套を着ているのは部外者だけです。それに加えてこの村に遊びにくる奴なんてめったにいない。だから転生者様だと考えただけですよ」


「ふーん。そうなんだ。どうしてこの村に遊びに来る奴なんていないって思うの?」


「それは、貴方が一番わかっているのでは?転生者様」


皮肉のように言いながらノーナと名乗った転生者を見れば、彼女は笑った。


「それもそうだね。変な質問して悪かったよ」


微塵も悪いと思ってないような声色に少し苛立ちを覚える。



「で?君の名前は?」


「それを知ってどうするんですか?」


「どうするも何も、私はしばらくこの村にいるからね。お世話になる村にいる人の名前くらい知っておかないと」


もっともらしいことを言われれば答えない理由はなく、僕は口を開いた。


「フォル」


「フォル君ね。よろしく」


すっと右手が僕の前に差し出される。

僕はその手を横目で見て、先ほどレティが走っていった方を指さした。

ちょうど村長を連れたレティの姿が見える。


「この村で一番偉い人が来ましたよ」


村長に近づくよう僕も歩みを進める


後ろで「断られちゃった」と残念そうな声が聞こえた。

僕の後ろを転生者がついてくる。



村長との距離が近づく。


転生者が僕を追い越し、耳元でぼそりと言葉を落とした。



「君は、魔法が使えるのかな?」



「!!」



反射的に転生者の方を見れば、彼女はふっと笑って、村長のほうへ向かっていった。

僕は立ち止まる。


遠くで村長と転生者の話し声がきこえる。



「お早いご到着で」


「いやー、すみません。思っていたよりも近かったもので」



あいつの言葉が頭の中を駆け巡る。



「いえいえ、こちらとしてはいつ来られても大歓迎ですよ」


「ありがたいです」



なんで。なんでだ。この村に人だって知らないのに。



「それよりも待たせてしまって申し訳ありません。さぁこちらへ。」



「そんな待ってませんよ。それに」



なぜ、僕が



「フォル君が話し相手になってくれていたので」



魔法を使えることを知っている?






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