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生前やっていたゲームの悪役令嬢に転生した私はヒロインに求婚されましたが、ヒロインは実は男で、私を溺愛する変態の勇者っぽい人でした。私、前世でナニかやらかしました?  作者: DAKUNちょめ
エピソード【その後の二人…永遠のバカップル多し】

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聖女の祈り─月の輝く夜の帳に─は乙女ゲーム。

小さな町にある酒場で、ディアーナ、レオンハルト、スティーヴン、ウィリアの四人は夜食をとっていた。


スティーヴンとウィリアは夫婦となった今もディアーナ達の仲間として旅を続けている。


ただ、王太子夫妻となった二人は後の国王夫妻として学ぶ事が多く、創造主のジャンセンから貰った転移魔法を使って定期的に王都に戻っている。


その二人が一週間ぶりにディアーナ達と合流したので、今夜は自炊はしないで町で食事をしようと酒場に来たのだ。


「ディアーナ嬢、先日私の弟がさる貴族令嬢と婚約する事となった。」


スティーヴンから急に、どうでもいい話を振られたディアーナは、口にパンを詰め込んだまま動きが止まる。


は?だから何だと言うの?おかん。


そんな眼差しを向ける。


「やはりな…その顔は、私に弟が居る事も忘れていたし、全く興味無いって表情だよな…。」


やれやれと首を横に振りため息を漏らすスティーヴンに、レオンハルトが酒の入ったグラスを片手に尋ねる。


「そういえば、卒業の夜会でディアーナの親父が何か言ってたな…スティーヴンに婚約破棄されるならば、弟に嫁がせるだの何だの…」


ディアーナが、ああ、と思い出した顔をする。

侯爵令嬢で悪役令嬢だった私が初めてレオンハルトと逢った卒業パーティー。

レオンハルトがディングレイ侯爵にブチギレしかけた時に言っていたわね、と。


「あまり、覚えてないんだけど…その弟さんが婚約した事が私と何の関係が?」


スティーヴンはテーブルに肘をついて頭を押さえ、大きなため息をつく。


「婚約した令嬢はディアーナ嬢の従姉妹だ。君の父君の弟、ヒールナー伯爵のご息女イライザ嬢。……まさか、従姉妹の名前まで忘れてはいないよな?」


実は忘れていた。


本来のディアーナとしての記憶と直前の前世である香月の記憶で頭の中がいっぱいいっぱいで、侯爵令嬢としての自分の環境等、すっかり忘れていた。


「そういえば…いたわね、くそ生意気な女が…やたら私をライバル視する小娘が。」


「その小娘が、自分の婚約御披露目のパーティーに君を呼んで欲しいと私に頼んで来た。」


ディアーナは心の底から面倒臭いと思った。


「えー!面倒臭い!殿下とウィリアの結婚式にも行かなかったのに、何で存在すら忘れていたクソ娘の婚約パーティーに出なきゃいかんのですか!」


「…………ナメているのですわ…ディアーナ様の事を。」


それまで黙っていたウィリアが急に口を挟んだ。


テーブルの上にせり出した豊満な胸に赤い雫の痕がある。

何かエロい。

でなくて、ワイン飲んでます?ウィリア。酔ってます?


「あのクソガキは、自身が王族に嫁げるもんだから、スティーヴンと婚約を破棄したディアーナ様の事を軽んじているのですわ!そんなクソには思い知らせてやらねばなりません!ディアーナ様が、どれ程の高みに行かれた方であるか!お前なんぞ、クソにも劣ると!」


ウィリアがテーブルをダン!と叩く。おっきいのが揺れる…。

酔っているからとは言え、なぜウィリアがそこまで熱くなる…。

つか、小娘がいつの間にかクソ以下に成り下がっておりますが。


「わたくしのお姉様であり、わたくしの師匠でもあるディアーナ様を軽んじる輩など、いっそ、わたくしがプチってくれますわ!」


あら、私いつの間にウィリアの師匠に…。


「ウィリア、酔っている君も美しいのだが、少し静かにしようか。」


スティーヴンはウィリアの頭を自分の胸に寄せて、よしよしと言いながら、あやすようにウィリアの髪を撫で続ける。

お熱いわね、ヒューヒュー。

わたくしの元婚約者、何か激甘になってません?


一方でずっと静かに何かを思い出そうとしているレオンハルトは、「あ」と声を出す。


「どっかで聞いたと思ってたが…ヒールナー伯爵家の嫡男サイモン……攻略対象だ…」


「…はぁ?…だから何だと?オフィーリアで逢いに行くワケでないのだから関係なくない?」


「……親父が作ったゲームはな、香月がどのキャラクターを攻略しようとしても絶対に主人公の俺と絡めるようにするため、全攻略対象のライバル令嬢なんだよ、ディアーナが。」


はぁ!?スゲー迷惑な話なんですけど!


「あ、いや…だから行かなければいいんでしょう?御披露目パーチー。」


「もう、君とレオンハルト殿の席も設けた。私の顔を立てると思って参加してくれないか?ディアーナ嬢!」


スティーヴンに頭まで下げられては流石に断れない。

何より、これでディアーナ達が欠席となれば、たかが侯爵令嬢にナメられたと王太子としてのスティーヴンの評価が下がってしまう。


「……分かりましたわよ、かわりに今度カレーを作るのにチャレンジして下さいね?」


この世界に転生してから食べていないカレー。

その味を再現出来るのは、スティーヴン殿下しか居ない!…と、ディアーナは思っている。

王太子殿下を料理人扱い。


「分かった!華麗なるモノにチャレンジしてみよう!」


そして、それを咎めるワケでも無く、むしろ了承してしまう殿下。


しかし…そうか、すっかり忘れていたけど…

創造主であるお父様が、私とレオンハルトを会わせる為にこの世界に乙女ゲームの世界を重ねた事によって、少なからず影響を受けている人がいるかも知れない…って、でも…


ゲーム事態はオフィーリアがスティーヴン王子ルート入って終わってるのだから、今さら他のキャラクターなんて、関係無くない?


カタチ的には、ディアーナがスティーヴン王子に婚約破棄されて国外追放になっている筈だわ。


あの日、あのパーティー会場にいた者だけが真実を知っている。


スティーヴン王子に婚約を申し込まれたオフィーリア嬢が神の御子のレオンハルトであり、ディングレイ侯爵家令嬢のディアーナを聖女にしたいと連れ去った事を。


他に漏らしたらプチ決定と脅されて。


「ああ…私、王子に婚約破棄されて国外追放された上に、旅の剣士に拐われた落ちぶれ令嬢だと思われておりますのね…。」


そりゃ何だかムカつくわ。









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