スティーヴンとウィリア11
初めてウィリアと口付けを交わし、初めて彼女のたわわな胸に触れたのが私ではなくディアーナ嬢だと知ったあの日から2ヶ月後。
なんか色々耐えられなくなった私は、彼女と結婚した。
もう、一刻も早くウィリアを自分のものにしないと気が済まなくなった。
何だか混乱し過ぎて、ディアーナ嬢にウィリアの純潔まで奪われるのではないかと。
「そんなわけないでしょ!女同士なんだから!」とは
ディアーナ嬢は言わなかった。
「それも有りですわね…うふふ…」
いやいや無い無い!恐ろしい事をのたまう。
そんなこんなで結婚を急いだのだ。
あまり派手にしたくはなかったが、王太子の結婚ともなると、こじんまりという訳にはいかなかった。
国をあげてのお祭りに近い。
ウィリアは貴族ではないので、ディアーナ嬢の父だった侯爵のように、私に娘を嫁がせたがる貴族の反対や、嫌がらせじみた事もあったようだが…。
そんな貴族達は、翌日にはもう生れたての子鹿のようにプルプルになっていた。
そこはもう…うん、誰も逆らえないよな、この野郎…。
さすが、元影。現神。何をしちゃったのかな。
親が黙らせられても、令嬢達は私に言い寄って来るのだが、ディアーナ嬢とタッグを組んだウィリアに勝てる者など居ない。
美しさも教養も、魔力も…令嬢達では敵わない。
そして、レオンハルト殿命名、豊満我が儘ボディ!
これには誰もが敗けを認めた。
結婚式を挙げた夜は…
初めて彼女のすべてを私のものにした。
ウィリアの全てが美しい。
初めて見る彼女の表情や、初めて聞く彼女の声、その全てが私一人のものとなる優越感。至福の時だった。
……レオンハルト殿、よく我慢していたな…千年以上も……。
私は結婚するまでの2ヶ月待つのも苦痛だったのに…
ああ、その反動でアレか…。
私達は夫婦となった後も、しばらくレオンハルト殿達の旅に同行していた。
ウィリアが25歳になった時に子を宿し、私達は二人と別れラジェアベリアに帰った。
やがて父が逝去し、35歳の若さで私は王となった。
「ねぇ、おばあ様!また月の女神様のお話しして!」
「ディアナはディアーナ様のお話しが大好きね。」
白髪頭の美しい老女、ラジェアベリア国王王妃ウィリアは花に彩られた庭園で幼い孫娘とお茶を楽しんでいた。
優しい風が吹き、花弁が舞う。
「まぁ…ディアーナ様…」
風が吹いた後に、ウィリアの前に16歳の姿のままのディアーナが立っていた。
「ウィリア、久しぶりね!元気そうね!年をとっても相変わらずエロい身体!」
ディアーナはまくし立てるようにウィリアに声を掛け、ウィリアの首に抱きつく。
「………ごめんなさい…ウィリア……」
ウィリアの首に抱きついたままディアーナは泣き出した。
ウィリアには、すべて分かってしまった。自分の寿命が尽きようとしている事。
「ディアーナ様が謝る事ではございませんよ?わたくし、幸せでしたもの…」
ウィリアは水色の瞳を細めてディアーナを抱き返す。
「ずっと、お姉様のように思っていたディアーナ様が、まるでわたくしの娘のようですわ…大好きですわよ、ディアーナ様も…レオンハルト様も…ジャンセン様も…」
「うん、私もウィリアが大好き…きっと、また逢えるから…またね、ウィリア…」
再び優しい風が吹き花弁が舞うと、ディアーナは姿を消していた。
「おばあ様、今のお姉様は…もしかしたら…!」
「そうよ、ディアーナ様よ。お会いした事、おじい様には内緒にしてね?」
ウィリアはスティーヴンにはディアーナに会った事を言わなかった。
言えばスティーヴンは気付いてしまう。嘆いてしまう。
「スティーヴンには、悪いけど…泣き顔あまり見たくないのよね…泣くのはわたくしが死ぬ直前と、死んだ後にしてほしいわ」
ウィリアは孫娘を膝に乗せ、優しい声で語る。
「では、今日はわたくしがディアーナ様に初めてヘタレと呼ばれた話をしましょうか…まず、おじい様がね…」
二日後、ウィリアは亡くなった。
スティーヴンの手を握り、水色の瞳で真っ直ぐ見詰め。
「あなたを信じてついてきて良かったですわ…幸せですもの、スティーヴン…………………………」
待ってますわ…でも、なるべく、ゆっくり来て下さいね…
長く待つのは平気ですわよ、千年以上待った大先輩がいますもの…。
だから、ゆっくり来て…スティーヴン…。
愛していますわ。
━━ 終わり━━




