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21話 魔石で動かしてみよう

メリーゴーランドの新たな動力源として、魔石を購入したライガ。

これで、自分が魔力を供給し続けなくても動かせるかもしれません。

さっそく遊園地予定地へ向かい、魔石を使った動力の仕組みを作ってみることにします。

 北門を出た俺は、来たばかりの道を再び遊園地予定地へ向かって歩いていた。


 【無限収納】の中には、さっき買ったばかりの魔石が一つ。


「ちゃんと動いてくれよ……」


 歩きながら、魔法道具の店で聞いた話を思い返す。


 魔石には魔力が蓄えられていて、その魔力を利用することで魔法道具を動かすことができる。


 店で見せてもらった魔石灯も、送風具もそうだった。


 だったら、俺が作ったメリーゴーランドにも使えるかもしれない。


 すでにメリーゴーランドには、【付与魔法】で反時計回りに回転する効果を与えてある。


 俺自身の魔力を流せば、その効果を働かせることも確認した。


 問題は、俺が魔力を供給し続けなければ動かないことだ。


 そこで今日は、その役目を魔石に代わってもらえるのか試す。


「銀貨三枚と銅貨七枚もしたんだからな」


 もちろん、高かったから絶対に使えるなんて話じゃない。


 店の人だって、実物を見ていないから足りるかどうかは分からないと言っていた。


 それでも、期待くらいはしたくなる。


 しばらく歩いて遊園地予定地へ戻ると、広い土地の中に小さなメリーゴーランドが見えてきた。


 周囲にはまだほとんど何もない。


 六頭の木馬が並んだ小さな円形の遊具が、ぽつんと建っているだけだ。


「よし。続きやるか」


 近くまで行くと、まずメリーゴーランドの状態を確認する。


 中央の軸。


 円形の床。


 六頭の木馬。


 木馬が床へ固定されている部分も、一頭ずつ手で押したり揺らしたりして確かめていく。


 床や土台にも、さっき街へ向かう前と比べて変わったところは見当たらない。


「見た感じは問題なさそうだな」


 もちろん、これだけで安全だと決めつけるつもりはない。


 今分かる範囲で、目立った異常がないというだけだ。


 一通り確認してから、俺は【無限収納】から小さな袋を取り出した。


 中に入っているのは、さっき買った魔石。


 袋から取り出し、手のひらへ載せる。


 店で最初に見せてもらった小魔石より一回り大きい。


 石の内側には、淡い光のようなものが見えている。


「そういえば、こっちは【鑑定】してなかったな」


 店で【鑑定】したのは、最初に見せてもらった小魔石だった。


 俺が買ったのは、それより少し大きなものだ。


「【鑑定】」


 魔石へ意識を向ける。


【魔石】


 魔力を内包した石。蓄えられた魔力を外部へ供給することで、魔道具などの魔力源として利用することができる。


「やっぱり、魔力を供給するためのものなんだな」


 魔石そのものが何かを回したり、風を出したりするわけじゃない。


 中にある魔力を、外へ供給する。


 魔石灯なら、その魔力を使って光を生み出す。


 送風具なら、風を生み出す。


 そして俺のメリーゴーランドなら――。


「回転の効果に魔力を送ればいい」


 そこまでは分かる。


 問題は、どうやって魔石の魔力をメリーゴーランドへ届けるかだ。


 試しに中央部分の近くへ魔石を置いてみる。


「…………」


 待つ。


 何も起こらない。


「まあ、置くだけじゃ駄目だよな」


 魔石灯だって、魔石をそばに置いているだけで光るわけじゃない。


 店の人は、魔石から魔力を取り出して、必要な場所まで流せるようにしなければならないと言っていた。


 なら、こっちにも魔力を運ぶための何かが必要になる。


「さっきは俺が直接流したんだよな」


 俺は中央部分へ手を触れた。


 土台の上には、床を支えながら回転する中央の軸がある。


 ここへ自分の魔力を流したとき、付与した回転の効果が働いた。


 つまり、回す仕組みそのものはもうある。


 足りないのは、魔石からここまで魔力を届ける方法だけだ。


「だったら……繋げればいいのか」


 でも、いきなりメリーゴーランド本体を作り変える気にはならない。


 本当にできるかも分からない。


 まずは簡単なもので試してみよう。


「実験だな」


 俺は【無限収納】から、余っているラグナ樫材を取り出した。


 【錬金術】を使って、細長い棒を一本作る。


 長さは俺の腕より少し長いくらい。


 片手で簡単に持てる程度の太さにしておく。


「これに魔力が通れば……」


 魔石から中央部分まで、魔力を届けられるかもしれない。


 やりたいことは単純だ。


 俺は棒の片端を握った。


 自分の魔力を物へ流す感覚なら、もう何度も経験している。


 メリーゴーランドへ魔力を流したときもそうだった。


 その感覚を思い出す。


 魔力を木の中に溜めるんじゃない。


 片方から入った魔力を、そのまま反対側まで流す。


 俺自身が何度かやっていることを、棒そのものの性質として持たせるイメージだ。


「……【付与魔法】」


 魔力を流す。


 棒の片側から入った魔力が、中を通って反対側へ抜けていく。


 それだけを意識し続ける。


 しばらくすると、魔力がラグナ樫材へ馴染んでいくような感覚があった。


「……どうだ?」


 見た目は何も変わらない。


 ただの細長い木の棒のままだ。


 それでも、付与そのものはできた気がする。


 俺は棒の片端を、メリーゴーランド中央の土台へ触れさせた。


 さっき自分の魔力を流していた場所だ。


 もう片方の端は少し離れた場所まで伸ばす。


「ここに魔石を繋げれば……」


 魔石。


 魔力を通す棒。


 メリーゴーランド。


 これで一応、一つの道になる。


 俺は棒の端へ魔石を触れさせた。


「…………」


 待つ。


 何も起こらない。


「駄目だったか?」


 やっぱり、そんな簡単には――。


 ゴト……。


「……お?」


 小さな音がした。


 次の瞬間、止まっていた床がわずかに動く。


「え?」


 目を凝らす。


 見間違いじゃない。


 六頭の木馬を載せた床が、中央を軸にしてゆっくりと反時計回りへ動き始めた。


「お、おお……!」


 少しずつ速度が上がっていく。


 俺は棒から手を離した。


 それでも止まらない。


 メリーゴーランドは、そのまま回り続けている。


「動いた!」


 思わず声が大きくなる。


「本当に魔石だけで動いた!」


 風魔法は使っていない。


 俺自身の魔力も流していない。


 今メリーゴーランドを動かしているのは、棒の先に触れている魔石から供給された魔力だ。


「よし……!」


 嬉しくなった、その直後。


 回り続ける六頭の木馬を見て、俺は固まった。


「…………」


 回っている。


 当たり前だけど、ずっと回っている。


「……止まらないじゃん」


 魔石が棒へ触れている限り、魔力は流れ続ける。


 だったら回転も続く。


「そりゃそうだよな!」


 慌てて魔石を棒から離す。


 魔力の供給が途切れる。


 すると、メリーゴーランドはすぐには止まらず、少しずつ速度を落としていった。


 やがて完全に止まる。


「ふぅ……」


 俺は手の中の魔石と、地面に置いた棒を見る。


 触れさせれば動く。


 離せば、魔力の供給が止まる。


「でも、毎回これをやるのは違うよな」


 動かすたびに魔石を棒へ押し付ける。


 止めるたびに離す。


 できなくはないけど、アトラクションの操作方法としては使いづらい。


 それに、今は地面の上に棒が転がっている。


「これも危ないな」


 誰かが歩いていて引っ掛かったら危ない。


 踏まれて壊れる可能性だってある。


「ちゃんと作るなら、見えないところに通した方がいいか」


 そこで、さっき魔法道具の店で見せてもらった魔石灯を思い出した。


 小さな金具を動かすと灯りが点き、戻せば消える。


 あの金具自体が魔法を使っていたわけじゃない。


 魔力が流れるか、流れないかを切り替えていただけだ。


「……同じことをすればいいのか」


 今だって、魔石と棒をくっつければ流れる。


 離せば止まる。


 なら、その動きを毎回手で直接やらなくてもいい。


「途中で、繋いだり離したりできればいい」


 魔力を通す部材を二つ用意する。


 普段は少し離しておく。


 使うときだけ接触させる。


 それなら、接触している間だけ魔力が流れる。


「それを操作するもの……」


 頭に浮かんだのは、一本のレバーだった。


「レバーを倒したら繋がる。戻したら離れる……」


 それなら、操作する人が魔法を使える必要はない。


 レバーを動かせばいいだけだ。


「……いけそうだな」


 俺はメリーゴーランドの周りを歩いた。


 今度は実験だけじゃない。


 実際に使える形にしたい。


 まず考えるのは、操作する場所。


 乗り降りの邪魔にならず、それでいてメリーゴーランド全体を見渡せる場所がいい。


 少し歩き回り、本体から数歩離れた位置で立ち止まる。


「この辺かな」


 ここなら、操作しながら六頭の木馬を全部見渡せる。


 メリーゴーランドから離れすぎてもいない。


 次に、そこから中央の土台まで地面を見た。


「魔力を通すものは……下に入れよう」


 俺は【土魔法】を使う。


 操作場所からメリーゴーランドの中央まで、地面に細長い溝を作っていく。


 深く掘りすぎる必要はない。


 上から土を戻して、人が普通に歩けるくらいになればいい。


 浅い溝が、中央の土台までまっすぐ伸びた。


「よし」


 次にラグナ樫材を取り出す。


 さっき実験に使ったものと同じように、【錬金術】で細長い部材を何本か作る。


 一本では距離が足りないので、端同士を繋げやすい形にしておいた。


「これ全部に付けるのか……」


 少し面倒だけど、必要な作業だ。


 一本ずつ手に取り、【付与魔法】で魔力を通す効果を与えていく。


 最初の棒で一度成功しているから、今度はさっきよりイメージしやすい。


 片方から入った魔力を、反対側まで通す。


 それだけを繰り返す。


 全部終わったところで、ふと思った。


「……土の中に埋めるんだよな」


 人に踏まれないためとはいえ、ずっと土の中に入れておくことになる。


「だったら、こっちも強くしておいた方がいいか」


 俺は作った部材に、さらに強度と耐久性を高める【付与魔法】を重ねた。


 これで絶対に壊れないとは思わない。


 でも、何もしないよりはいいはずだ。


「よし。これでいこう」


 部材を溝へ置いていく。


 端と端をしっかり繋ぎ、操作場所から中央まで伸ばす。


 最後の一本を、メリーゴーランド中央の土台へ接続する。


「これで、ここから魔力を送れば中央まで届くはず」


 反対側は、操作する場所の真下まで伸びている。


 まだ土は戻さない。


 本当に動くことを確認してから埋めた方がいい。


「次は操作するところだな」


 俺は操作場所にしゃがみ込んだ。


 ここに魔石と、魔力の流れを切り替えるための仕組みをまとめる。


 まず【錬金術】でラグナ樫材を必要な板や部品へ加工し、【建築】で腰くらいの高さの木箱を組み上げた。


 大きなものじゃない。


 一人がその前に立って操作できれば十分だ。


 箱の中には、魔石を固定するための場所も作る。


「完全に閉じるのは駄目だよな」


 魔石は使っていれば劣化する。


 魔力を補充する必要もある。


 いつか交換することだってあるだろう。


 だから箱の後ろ側には、開けられる蓋を付けておく。


「魔石はここで……」


 内部の位置を確認しながら、短い棒状の部材を魔石の固定場所から伸ばしていく。


 これにも魔力を通す効果を付与してある。


 その先には、地面へ敷いた部材の端。


 ただし、二つは繋げない。


 ほんの少しだけ隙間を空けておく。


「ここが繋がれば流れる」


 逆に、離れている間は魔力が先へ進まない。


 なら、必要なときだけ接触させればいい。


 箱の側面に穴を作り、一本のレバーを通す。


 途中を軸で固定して、前後へ倒せるようにする。


 外側には握るための持ち手。


 箱の中へ伸びた反対側には、魔石側の部材を動かすための部分を取り付ける。


「倒すと……」


 俺はレバーをゆっくり前へ倒した。


 レバーが軸を中心に傾く。


 箱の中の反対側も動き、それに押されて魔石側の部材が前へ進んでいく。


 コツッ。


「お」


 離れていた二つが接触した。


 そのままレバーから手を離してみる。


 倒した位置で止まる。


 勝手に戻らないよう、引っ掛かって固定される形にしてある。


 今度はレバーを少し持ち上げ、元の位置へ戻した。


 中の部材が後ろへ下がる。


 二つの間に、また小さな隙間ができた。


「なるほど」


 もう一度倒す。


 接触する。


 戻す。


 離れる。


「これなら分かりやすいな」


 レバーを倒せば、魔石からメリーゴーランドまで魔力の通り道が繋がる。


 戻せば、途中で切れる。


 魔法でレバーを動かすわけじゃない。


 操作する人が魔力を扱う必要もない。


 ただレバーを使って、魔力を通す部材を物理的にくっつけたり離したりしているだけだ。


「これなら誰でも使える」


 俺は操作盤の後ろに付けた蓋を開け、買った魔石を中へ収めた。


 動かないように固定する。


 軽く触っても簡単には外れない。


「うん」


 蓋を閉じる。


 魔石は外から見えなくなった。


 操作盤と呼ぶにはずいぶん簡単だけど、剥き出しにしておくよりはずっといい。


 改めて前へ回る。


 操作盤の下から、溝の中に並べた部材がメリーゴーランドまで伸びている。


 魔石。


 レバーで接触する部分。


 地面を通る魔力の道。


 そして、メリーゴーランドに付与した回転の効果。


「……よし」


 あとは、本当に動くかどうかだ。


 俺はレバーへ手を掛けた。


 少し離れたメリーゴーランドは完全に止まっている。


「いくぞ」


 レバーをゆっくり前へ倒す。


 箱の中で部材が動く。


 カチッ。


 二つの接続部分が触れ合った。


 俺はすぐにメリーゴーランドへ目を向ける。


 ゴト……。


「……!」


 床が動いた。


 最初はゆっくりと。


 それから少しずつ速度を上げ、反時計回りに回り始める。


 六頭の木馬が、一頭ずつ俺の前を通り過ぎていく。


「おおお……!」


 思わずレバーから手を離した。


 それでもレバーは倒れた位置で止まっている。


 メリーゴーランドも回り続けている。


 俺は何もしていない。


 魔力を流してもいない。


 ただ、操作盤の前に立って見ているだけだ。


「動いた……!」


 分かっていたはずなのに、実際に目の前で動いていると嬉しさが込み上げてくる。


「ちゃんと動いた!」


 さっきまでは、俺自身が魔石を棒へ触れさせなければならなかった。


 今は違う。


 レバーを倒すだけで、操作盤の中にある魔石から魔力が流れ、それがメリーゴーランドまで届いている。


「よし……!」


 でも、まだ終わりじゃない。


 動かす方が成功したなら、次は止める方だ。


 俺はメリーゴーランド全体を見ながら、レバーへ手を掛けた。


「戻すぞ」


 固定されていたレバーを外し、元の位置へ戻す。


 カチッ。


 操作盤の中で、接触していた二つの部材が離れる。


 魔石からの魔力が、そこで途切れた。


 メリーゴーランドの回転が少しずつ遅くなっていく。


「お……」


 すぐには止まらない。


 魔力の供給が切れても、それまで回っていた勢いは残っている。


 ゆっくり速度を落としながら回り続け――。


 やがて完全に止まった。


「……止まった」


 俺は操作盤とメリーゴーランドを交互に見る。


 もう一度レバーを倒す。


 動く。


 しばらくして戻す。


 少しずつ減速して、止まる。


 念のため、もう一度。


 同じだった。


「……はは」


 自然と笑みがこぼれた。


「できた……!」


 レバーを倒せば動く。


 戻せば魔力の供給が止まる。


 それだけなら、操作する人が魔法を使える必要はない。


 使い方さえ教えれば、俺以外の人でも扱えるはずだ。


「よし。だったら、最後に埋めるか」


 動作に問題がないことを確認してから、開けたままにしていた溝へ土を戻していく。


 部材がずれないように少しずつ覆い、【土魔法】で地面を均す。


 何度か足で踏んでみても、大きく沈む様子はない。


 さっきまで細長い溝があった場所も、ぱっと見ただけでは分からなくなった。


「うん。こっちの方がいい」


 地面の上には、魔力を通す部材が剥き出しになっていない。


 誰かが歩いても、足を引っ掛けることはなさそうだ。


 見えているのは、小さなメリーゴーランドと、その少し離れたところに立つ木製の操作盤だけ。


 操作盤といっても、腰ほどの高さの木箱に一本のレバーが付いているだけだ。


 日本の遊園地で見たものと比べれば、ずいぶん簡素だ。


「……地味だな」


 思わず呟く。


 でも、今はこれでいい。


 必要なのは格好いい操作盤じゃない。


 ちゃんと動かせて、必要なときに魔力を切れることだ。


「これで、かなりアトラクションっぽくなったよな」


 俺がずっとそばに立って魔力を流し続ける必要もなくなった。


 少し離れた場所から、レバー一つで操作できる。


 ここまで来れば、もう完成と言っても――。


「……いや」


 俺はすぐに考え直した。


「まだだな」


 今確認したのは、誰も乗っていない状態だけだ。


 人が乗ったくらいの重さを載せても同じように回るのか。


 何度も動かしたり止めたりしても問題ないのか。


 長く動かしたとき、軸や床に異常が出ないか。


 買った魔石一つでどれくらい動かせるのか。


 まだ確かめたいことは多い。


「だったら、次は実際に乗って――」


 そこまで言って、俺は口を閉じた。


 操作盤を見る。


 メリーゴーランドを見る。


 また操作盤を見る。


「…………」


 昨日は、俺が乗ったら誰が押すんだってなった。


 今日は――。


「俺が乗ったら、誰がレバー動かすんだよ」


 誰もいない。


 当然だ。


 ここには俺しかいない。


「……また同じことやってないか、俺」


 思わず頭を抱えた。


 一人で遊園地を作っている弊害が、変なところで出ている気がする。


 先にレバーを倒して、走って乗る?


「いやいや、駄目だろ」


 動いているアトラクションへ飛び乗るなんて、危ないに決まっている。


 止める人だっていなくなる。


「一人じゃ試乗できないじゃん……」


 誰かに操作を頼む?


 一瞬そう考えたけど、すぐに首を横に振った。


 動かせるようになったばかりのものへ、いきなり誰かを乗せるのは怖い。


 自分が乗るにしても、もう少し一人で確認できることをやってからだ。


「だったら……重りか」


 人そのものを乗せなくても、人が乗ったときに近い重さなら載せられる。


 木材や灰石を使って、俺一人分くらいの重さを作る。


 それを木馬へ固定して回してみればいい。


 一人分が大丈夫なら、次は二人分。


 さらに増やして、最終的には六人が乗ったくらいの重さまで試す。


「それなら一人でもできるな」


 乗り心地までは分からない。


 でも、重さを載せても動くのか。


 止めたときにおかしな動きをしないか。


 床や軸に異常が出ないか。


 そういうことは確かめられる。


「長く回したり、何回も動かしたり止めたりするのもやった方がいいよな」


 それに、魔石の魔力がどのくらい減るのかも見ておきたい。


 まだやることはある。


 でも、昨日より確実に前へ進んでいる。


 俺は木製の操作盤へ目を向けた。


 たった一本のレバー。


 それを倒せば、俺が魔力を使わなくてもメリーゴーランドが動く。


「……あと少しだな」


 屋根はない。


 音楽もない。


 木馬だって上下しない。


 それでも、最低限のメリーゴーランドは少しずつ形になってきた。


 次は、人を乗せる前の確認。


 重りを載せる。


 長く回す。


 何度も動かして、何度も止める。


 問題が出たら直す。


「よし。もう少し頑張るか」


 最初のアトラクションを、本当に人が乗れるものにするために。


 俺はそう思いながら、六頭の木馬が並ぶ小さなメリーゴーランドを見つめた。

魔石からメリーゴーランドへ魔力を届ける仕組みを作り、ついに自分で魔力を供給しなくても動かせるようになったライガ。

さらに簡単な操作盤を作り、レバー一つで動かしたり止めたりできるようになりました。

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