10話 遊園地を作る土地を探そう
初めての依頼を無事に終えたライガ。
遊園地を作るためにはお金が必要――でも、そもそも土地はいくらする?
まずは遊園地を作る場所について調べることにしたようです。
翌朝。
目を覚ました俺は、ベッドに横になったまま、ぼんやりと天井を眺めていた。
昨日は初めて冒険者として依頼を受けた。
東の森でヒール草を採取し、その途中でホーンウルフと遭遇して、初めて魔物と戦うことにもなった。
予定外の出来事はあったものの、依頼そのものは無事に達成できた。採取したヒール草は品質が良かったらしく、通常より高い報酬を受け取ることができたうえ、ホーンウルフにも討伐報酬が出た。
素材の買い取りまで合わせれば、昨日だけで銀貨九枚と銅貨五枚。
初めての依頼としては、かなりの収入だったと思う。
「……でも、遊園地を作るには全然足りないよな」
呟きながら身体を起こす。
そもそも、遊園地を作るのにいくら必要なのかすら分かっていない。
金貨一枚で足りるのか。十枚必要なのか。それとも、そんな程度では済まないのか。
考えてみたところで、今の俺には見当もつかなかった。
俺は【無限収納】からスマホを取り出した。
当然ながら電波はない。それでも、異世界へ来る前から保存されていた写真や、こちらへ来てから書いたメモなら見ることができる。
画面を操作して、まずは保存してある遊園地の写真を開いた。
大きな観覧車に、複雑に組み上げられたジェットコースター。色鮮やかなメリーゴーラウンドの周囲には飲食店や土産物屋が並び、人が歩くための広い道や、休憩できる場所もある。
「……これだけのものを作るんだもんな」
アトラクションだけを置けば遊園地になるわけじゃない。
人が歩くための道も必要だし、食事をする場所や休憩所だっている。
いつかは、一日では遊び尽くせないくらい大きな遊園地にしたい。
そう考えれば、必要になる土地だって相当な広さになるはずだ。
しばらく写真を眺めているうちに、以前作ったメモのことを思い出した。
「あ、そういえば……」
写真を閉じて、メモを開く。
そこには、遊園地を作るために必要だと思ったものを、自分なりに整理して書いてある。
『遊園地を作るために必要なもの』
その中から、土地について書いた部分を見つける。
『土地――入手方法と値段を調べる』
「……これ、まだ何も調べてなかったな」
あのときは、まず金を稼がなければ何も始まらないと考えて、それを最優先にした。
だから冒険者ギルドへ行って登録し、昨日は初めて依頼を受けた。
その結果、少なくとも自分で金を稼ぐ方法は一つ見つかった。
でも、だからといって闇雲に依頼を受け続けるだけでは、遊園地にどれだけ近づいているのか分からない。
土地を手に入れるのに必要な金額が分からなければ、いくら貯めればいいのかという目標すら立てられないのだ。
「よし。今日は土地について調べよう」
今すぐ買えるとは思っていない。
それでも、値段や入手方法を調べることならできる。
俺はスマホを再び【無限収納】へ収納すると、身支度を整えて部屋を出た。
◇ ◇ ◇
一階へ降りると、カウンターにはいつもの女主人がいた。
「おはようございます」
「おはよう。今日はどうするんだい?」
「ちょっと街を回ってこようかなって思ってます」
「今日は依頼じゃないのかい?」
「はい。その前に調べたいことがあって」
ちょうどいい。
この人なら、俺よりずっとリーベルのことを知っている。
「あの、一つ聞いてもいいですか?」
「なんだい?」
「この街で土地を買いたいときって、どこに行けばいいんですか?」
「土地?」
女主人が目を丸くした。
「家でも買うつもりかい?」
「いや、家じゃなくて……作りたいものがあるんです。そのために、できるだけ広い土地が欲しくて」
「ずいぶん大きな話になったねぇ」
「あはは……まだ買うわけじゃないですよ。まずは、どれくらいするのか知りたくて」
「なるほどね」
女主人は少し考えてから、俺に教えてくれた。
「それなら、商業ギルドへ行ってみるといいよ」
「商業ギルド?」
「ああ。商人の登録や商品の取引なんかも扱ってるけど、店や土地についての相談もできる。売りに出てる土地なら、あそこで紹介してもらえるはずさ」
「なるほど……」
冒険者ギルドが冒険者の仕事を扱っているように、商業ギルドは商売に関係することを扱っているらしい。
「場所って分かります?」
「大通りを中央の方へ進んでいけば、右手に大きな建物があるよ。看板も出てるから、近くまで行けば分かるさ」
「ありがとうございます。行ってみます」
「ああ。しかし、ずいぶん忙しい子だねぇ」
「え?」
「冒険者になったと思ったら、今度は土地探しだろ?」
言われてみれば、確かにそう見えるかもしれない。
でも、俺の中ではちゃんと全部つながっている。
遊園地を作るためには金が必要だから、その金を稼ぐ手段として冒険者になった。
そして今度は、どれくらい金を用意すればいいのかを知るために土地について調べる。
やっていることはバラバラに見えても、目指しているところは一つだ。
「まあ、頑張んな」
「はい。行ってきます」
女主人に見送られ、俺は銀の小鹿亭をあとにした。
◇ ◇ ◇
教えてもらった道を歩いていくと、やがて目的の建物が見えてきた。
「ここか」
看板を確認してから、中へ入る。
商業ギルドは、冒険者ギルドとはずいぶん雰囲気が違っていた。
武器や防具を身につけた人はほとんどおらず、代わりに荷物を抱えた人や、きちんとした服装をした商人らしき人が多い。
中にはいくつもの窓口が並んでいて、商品の取引について話している人もいれば、何枚もの書類を広げて職員と相談している人もいた。
「冒険者ギルドとは全然違うな……」
当然といえば当然だけど。
何をすればいいのか分からず周囲を見回していると、空いていた窓口の職員と目が合った。
「何かご相談でしょうか?」
「あ、はい」
俺は声をかけてくれた職員のところへ向かった。
「土地を探してるんですけど、ここで紹介してもらえるって聞いて」
「土地ですね。もちろん可能です。住居用の土地をお探しでしょうか?」
「いや、住むためじゃないです。作りたいものがあって」
「それでしたら、店舗や工房などでしょうか?」
「うーん……それとも違うんですよね」
「違うのですか?」
「はい。それに、かなり広い土地が欲しいんです」
「なるほど。少々お待ちください」
職員は席を立つと、棚から何枚かの資料を持って戻ってきた。
「でしたら、まずはこちらはいかがでしょうか」
机の上に一枚の資料が広げられる。
土地の場所や形、大きさなどが細かく書かれていた。
「以前は倉庫として使われていた場所です。現在は建物も撤去されておりますので、新しく建物を建てることもできます」
「へぇ……」
資料を覗き込む。
普通の家を建てるなら、かなり広い。
大きな店を建てても余裕がありそうだし、裏に倉庫を作ることだってできそうだ。
でも、そこに俺の作りたい遊園地を想像してみる。
入口を作って、道を通して、いくつかアトラクションを置いて――。
「……狭いな」
「はい?」
「あっ、すみません。思ったより小さくて」
「こちらでも、この辺りでは比較的広い土地なのですが……」
「もう少し広いところってありますか?」
「分かりました。それでしたら……」
職員は少し考えてから、別の資料を取り出した。
「こちらはいかがでしょう。街の中心部からは離れますが、先ほどよりかなり広い土地です」
「おお」
今度は確かに広い。
「以前、大きな商会が倉庫と作業場を建てるために確保していた土地なのですが、計画が中止になったため、現在売りに出されています」
「なるほど……」
頭の中で、そこに遊園地を作ってみる。
大きな入口を作って、その先に広場を置く。メリーゴーラウンドくらいなら置けそうだし、小さな飲食店もいくつか作れるかもしれない。
でも、観覧車を作って、ジェットコースターを作って、さらに別のアトラクションを増やしていくとなると、すぐに余裕がなくなりそうだ。
「これも、ちょっと狭いですね」
「こちらでもですか?」
「はい」
職員の表情に、少しだけ困惑が混じった。
その後もいくつか土地を見せてもらったが、結果は同じだった。
家や店を建てるなら十分すぎるほど広い。
でも、俺が作りたいものを考えると、どうしても足りない。
「失礼ですが……」
何枚目かの資料を確認したところで、職員が尋ねてきた。
「どの程度の広さをお考えなのでしょうか?」
「どの程度……」
そう言われると困る。
具体的にどれくらいの面積が欲しいのか、数字で考えたことはなかった。
俺は椅子に座ったまま、頭の中で自分の理想を思い描く。
大きな入口を抜ければ、その先には広場がある。そこからいくつもの道が延びていて、その先には色々なアトラクションが並んでいる。
観覧車やジェットコースターだけじゃない。小さな子供でも楽しめる乗り物も作りたいし、遊び疲れた人が休める場所も必要だ。
食事ができる店も欲しい。
最初から全部作ることはできなくても、少しずつ大きくしていきたい。
いつかは宿泊できる場所まで作って、一日だけじゃ遊び尽くせないくらいの場所にしたい。
そこまで考えたところで、ふと思った。
「……そもそも、街の中じゃなくてもいいんじゃないか?」
「はい?」
職員が首を傾げる。
「あ、すみません。この街の外にある土地って、買えないんですか?」
「街の外、ですか?」
「はい。街の中だと、どうしても欲しい広さに足りなくて」
職員は少し考えるように俺を見た。
「購入できないわけではありません。ただ、街の外となりますと、少々事情が変わってきます」
「事情?」
「街の外にも、個人が所有している農地や牧草地などはございます。村で利用されている土地もあります。しかし、そういった場所から外れた未開拓地の多くは、領主様の管理下にあります」
「領主……?」
聞き慣れない言葉だった。
言葉そのものの意味は【言語理解】のおかげなのか、なんとなく分かる。
ただ、この辺りで領主という人がどういう立場にいて、何をしているのかまでは分からない。
「すみません。その領主っていうのは?」
「ご存じありませんか?」
「この辺りのことを、まだあまり知らなくて」
「なるほど」
職員は特に不思議がることもなく説明してくれた。
「領主様は、このリーベルとその周辺地域を治めておられる方です」
「リーベルだけじゃなくて、周りも?」
「はい。ただし、周辺の土地がすべて領主様個人の所有物というわけではありません。先ほど申し上げたような個人所有の農地や牧草地、村で利用されている土地などもあります。その一方で、まだ誰にも利用されていない土地については、領主様の管理となっている場合が多いのです」
「なるほど……」
貴族がいるという話自体は、以前にも聞いたことがある。
でも、その貴族が実際にどうやって街や周辺の土地と関わっているのかなんて、考えたこともなかった。
領主というのは、この街だけではなく周囲の地域まで治めている人らしい。
「じゃあ、その領主が管理している土地は買えないんですか?」
「いいえ。場所や用途によっては、購入や長期間の貸し出しが認められることもあります」
「おお」
それなら、まだ可能性はある。
「商業ギルドから相談や申請を取り次ぐこともできます。ただ、土地の規模や利用目的によっては、私どもの判断だけで進めることはできません」
「ということは?」
「領主様側の許可が必要になります」
「領主の許可か……」
ただ土地の値段を調べに来ただけなのに、思っていたより話が大きくなってきた気がする。
けれど、遊園地を作れるほどの土地が欲しいのだから、それくらいの話になるのかもしれない。
「それと、街の外に土地を求めるのであれば、広さ以外のことも考えておいた方がよろしいかと」
「広さ以外?」
「はい。街から離れれば、それだけ広い土地は見つけやすくなります。しかし、道が整備されていない場所もありますし、水を確保するのが難しい土地もあります。場所によっては魔物が現れることもありますから」
「あ……」
昨日遭遇したホーンウルフが頭に浮かんだ。
そうだ。
ここは日本じゃない。
街の外には、本当に魔物がいる。
いくら広くて安い土地でも、遊びに来る途中で魔物に襲われるような場所では意味がない。
「人を集めることを目的とされるのであれば、街からの距離も重要でしょう。主要な街道から離れすぎている場所では、人の行き来も難しくなります」
「確かに……」
遊園地が完成しても、そこへ行くために何時間も歩かなければならないようでは困る。
馬車で来る人のことを考えても、街道から近い方がいいだろう。
それに、昨日街の外を歩いたときには、街道を行き来する馬車も見かけた。
もし大勢の人が遊びに来てくれるようになったら、馬車を停める場所や、馬を休ませる場所まで必要になるかもしれない。
「だったら、リーベルから遠すぎない場所がいいですね」
「そうですね」
「街道からも行きやすくて……できれば、まとまった広さがあるところがいいです」
口に出しながら、必要な条件を考えていく。
アトラクションをたくさん作るなら、ある程度平らな土地の方が使いやすそうだ。
最初から巨大な遊園地を完成させることなんてできないだろうから、あとから広げられる余裕も欲しい。
「できるだけ平らな方がいいですね。それと、後から周りに広げられるところってありますか?」
「将来的に拡張する予定もあるのですか?」
「はい。最初から全部作れるとは思ってないので、少しずつ大きくしていきたいんです」
「なるほど」
「あとは……水も必要ですよね」
飲み水だけじゃない。
食事を作るにも必要になるし、掃除にだって使う。
将来、水を使ったアトラクションを作ることになれば、もっと大量に必要になるかもしれない。
「そうですね。規模にもよりますが、水源を確保しやすい場所であるに越したことはありません」
「じゃあ、それも条件に入れてください」
「承知しました」
職員が俺の希望を一つずつ書き留めていく。
街から遠すぎず、主要な街道から行きやすい。
まとまった広さがあって、できるだけ平らで、水を確保しやすい。
将来的に周囲へ広げられる余地も欲しいし、当然ながら魔物の危険が大きすぎる場所では困る。
最初はただ「広い土地が欲しい」としか考えていなかったのに、職員と話しているうちに、どんな場所に遊園地を作りたいのかが少しずつ見えてきた。
考えることが増えているはずなのに、不思議と面倒だとは思わない。
むしろ、少し楽しかった。
頭の中にしかなかった遊園地が、どこに作るのかというところから、ほんの少しずつ現実の話になり始めている。
「かなり条件は多くなりましたが、確認してみましょう」
「お願いします」
職員が書き留めた内容を確認してから、ふと手を止めた。
「ところで、予算はどの程度をお考えでしょうか?」
「…………」
思わず黙ってしまった。
そこは、やっぱり避けて通れないらしい。
「今すぐ買えるほどは……持ってないです」
「では、今回は購入そのものではなく、まず相場を知りたいということでしょうか?」
「はい。どれくらい必要なのか分からないと、いくら貯めればいいのかも分からないので」
「そういうことでしたか。それでしたら、まず条件に近い土地が存在するかを確認し、その土地の価格や利用条件を調べるのがよろしいでしょう」
「それでお願いします」
今すぐ買えなくても構わない。
必要な金額さえ分かれば、それを目標にできる。
もちろん冒険者の仕事だけで届く金額なのかは分からないけれど、少なくとも何も知らないまま金を貯めるよりはいい。
「ただ……」
職員が俺を見る。
「先ほどから気になっていたのですが、これほど広い土地に、いったい何をお作りになるおつもりなのですか?」
「ああ……」
そういえば、まだ肝心なことを説明していなかった。
住むためでもなければ、店を一軒建てるためでもない。
街の中では足りないと言って、今度は街の外にまで土地を探そうとしている。
向こうからすれば、何をするつもりなのか気になるのも当然だ。
「遊園地を作りたいんです」
「……ユウエンチ?」
やっぱり通じなかった。
職員は聞いたことのない言葉を確かめるように、ゆっくりと口にする。
「申し訳ありません。その……ユウエンチというものは、どのような施設なのでしょうか?」
「えっと……」
俺は少し考えた。
遊園地と言えば遊園地。
日本にいた俺なら、その一言だけで大体のものを想像できる。
でも、この世界ではそうはいかない。
観覧車と言ったところで分からないだろうし、ジェットコースターなんてもっと分からない。
この世界にないものを、この世界の人に説明するなら、まずは何をする場所なのかを伝えた方がいい。
「いろんな人が遊びに来て、一日楽しめるような場所です」
「楽しむための場所……ですか?」
「はい。子供だけじゃなくて、大人も一緒に楽しめる場所にしたいんです。乗って楽しむものを作ったり、美味しいものを食べられる店を作ったり、みんなで見て楽しめるものを作ったりして……」
説明しながら、頭の中に景色が浮かんでくる。
まだ、この世界には存在しない景色。
大きな観覧車がゆっくりと回り、その下を楽しそうに人々が歩いている。
子供たちが笑って、家族が一緒に食事をして、友達同士で次は何に乗ろうかと相談している。
遠くからは、ジェットコースターに乗った人たちの声が聞こえてくる。
そんな場所を、この世界に作りたい。
「最初から全部作れるとは思ってないですけど、少しずつ大きくしていって、いつかは一日じゃ遊び尽くせないくらいの場所にしたいんです」
「なるほど……」
職員はすぐには答えず、俺の話を聞きながら、先ほど書き留めた土地の条件へ視線を落とした。
「ずいぶんと変わったものをお考えなのですね」
「あはは。やっぱりそうですよね」
「ですが、お話を聞いて納得しました。それだけ多くの人を集める施設を作るのでしたら、確かに街の中で確保できる土地では足りないでしょう」
「ですよね」
ようやく、最初に紹介された土地を俺が狭いと言っていた理由が伝わったらしい。
「用途についても、調査の際に考慮しておきます。条件に近い土地が見つかった場合は、価格だけでなく、購入が可能なのか、貸し出しになるのか、領主様側の許可が必要になるのかも含めて確認しましょう」
「そこまで分かるんですか?」
「土地によって条件が異なりますから。実際に候補が見つからなければ、詳しいことは申し上げられませんが」
「分かりました。お願いします」
俺は頭を下げた。
まだ土地が見つかったわけじゃない。
値段だって分からないし、候補が見つかったところで、今の俺に買える金額だとも思えない。
それでも、以前スマホのメモに書いた「土地の入手方法と値段を調べる」という項目については、ようやく動き始めることができた。
これまでは、遊園地を作るために何が必要なのかを自分の頭の中で考えていただけだった。
それが今日は、実際に土地を扱っている人へ相談し、どんな場所なら遊園地を作れるのかを具体的に考えるところまで進んだ。
街からの距離や街道への出やすさ、水の確保に魔物への安全対策。将来遊園地を大きくするなら、周囲へ広げられる余地だって必要になる。
まだ知らないことも、決めなければならないことも山ほどある。
でも、今日みたいに一つずつ調べていけばいい。
「では、条件に近い土地がないか調べてみます」
「お願いします」
職員が俺の希望を書いた紙を手元へまとめる。
その様子を見ているうちに、なんだか少しだけ実感が湧いてきた。
「……なんか、本当に始まってきたな」
「はい?」
「あ、いえ。なんでもないです」
不思議そうにする職員に笑ってごまかしながら、俺はもう一度、頭の中に遊園地の景色を思い浮かべた。
遊園地が完成するのは、まだずっと先の話だ。
その前に土地を見つけなければならないし、金も稼がなければならない。建物やアトラクションをどうやって作るのかだって、これから確かめる必要がある。
それでも、遊園地を作る場所を探すところまでは来た。
昨日より今日、ほんの少しでも前へ進めている。
今は、それで十分だ。
いつかこの世界に、本当に遊園地を作る。
そのための一歩は、今日もちゃんと前へ進んでいた。
お読みいただきありがとうございます!
今回から、遊園地作りが少しずつ具体的に動き始めました。
とはいえ、まだ土地すらありません。
広さ、場所、お金……遊園地を作るには考えなければならないことがたくさんありそうです。
ライガがどんな土地を見つけ、どんな遊園地を作っていくのか。
引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです!




