メインクエスト10
次の日の朝。
ブサメンはさっそく王都に来た目的を果たすことにした。それ即ち、冒険者になることである。
この世界では、冒険者ギルドに登録することで冒険者という職業に就いたことになるわけだが、この冒険者ギルドというのが、なかなか癖の強い組織らしいのだ。
(気を付けてね、シンクゥ)
分かってる分かってる、大丈夫だって。
冒険者と言えば荒くれ者の集まり。兵士でもないのに武器を装備し、自分の「命」と、冒険で得られる「富と名声」を天秤にかけ、「命」の方をないがしろにするとを決めたバカ野郎。それが冒険者だ。
魔獣が跋扈するダンジョンに潜り、それらを討ち倒し、金銀財宝を持って帰る。そんな仕事、争いごとに慣れてるやつじゃないとできないのだから、荒くれ者が集まるのも、仕方がないと言えば仕方がない。
そりゃ、一般的な仕事よりも癖の強い奴が集まるだろさ。
で、そんな奴らが集まる場所なわけだから、新人はイジメの対象になりやすいんだとか。
まぁ、ブサメン的にはそこら辺は問題ないと思っている。これでも修羅場を潜ってきた自覚はある。多少手荒な歓迎を受けたところで、ブサメンならどうとでもなるさ。
そうしてやってきた冒険者ギルドは、大通りに面した二本の剣が交差した看板を掲げる大きな建物だった。西部劇の酒場にあるような両開きの自在扉を押し開き、中に入る。
するとギルドにいた屈強な冒険者たちから視線の集中砲火が浴びせられた。ギルドには酒場が併設されているようで、赤らんだ顔で無遠慮に向けられる視線は、ブサメンを値踏みしようとするのを隠そうともしないものだった。
ふっふっふ、普通ならここでビビったりしちゃうんだろうけど、これでもブサメンは騎士や悪魔と激戦を繰り広げた身。この程度じゃ堂島さん。
(ん? ……あ、動じません、か)
視線の集中砲火を切り開くようにギルドの中央を突っ切り、受付カウンターまで行く。そこで営業スマイルを浮かべている受付嬢にブサメンは話しかけた。
「冒険者登録をしたい」
受付嬢は、ブサメンのブサイクさ見ても顔色一つ変えなかった。受付嬢ともなれば、この程度じゃ驚かないということか。
ブサメンの顔を見ても引かない女性、か。どうでしょう、お友達から始めませんか?
「冒険者登録ですね? かしこまりました。当ギルドのルールとして、登録の前に冒険者ギルドの規約について説明させていただきます」
うんむ。
「まず冒険者は半月に一度、ギルドの掲示板に張られている依頼……クエストを一つ受けなくてはなりません」
冒険者の本分は、ダンジョンに潜ること。それ自体にギルドの許可なんていらないし、好きに潜って好きに宝を持って帰ってくればいい。なんなら冒険者ギルドに所属する必要さえない。ないが、ここにいる冒険者たちがわざわざギルドに登録するのには、ちゃんと理由があるのだと、受付嬢ちゃんは言った。
いわく、ギルドには、「村の近くに住み着いた魔獣を倒してほしい」とか、「商隊の護衛をしてほしい」とか、そういった一般人からの依頼が舞い込んでくる。それらを引き受けることで、武器を持った荒くれ者である冒険者は市民に受け入れられているし、冒険に出るための資金を稼ぐこともできるのだ、と。
なるほど。確かに冒険は金がかかる。道具をそろえたり、冒険中に負った傷を癒したり、何かと金を使うのだ。依頼を受けることは、冒険に出るための資金稼ぎになる。
ブサメン納得。
「また冒険者には、信用度や実力の目安としてランク制を設けております」
ほんむ。
「ランクは下から、1、2、3と上がっていき、現在の最高到達点はランク10です」
ほおん。
「各冒険者には、ランクに応じたドッグタグが与えられます。冒険者としての身分証ですので、失くさない様に。ランクが上がれば上がるほど、受けられるクエストの種類は増え、報酬も上がっていきます。当然、名声も」
これもまたギルドに所属する旨味の一つだ。冒険を成功させ、ランクを上げていくと、ギルドが広告塔として、その冒険者の名前を広めてくれる。
金と同じくらい名声を欲する冒険者にとっては、これも重要な要素の一つだろう。
「ランクを上げるには、強力な魔獣を倒すこと、未踏破のダンジョンの発見、もしくは踏破をすること、クエストを一定数こなすことなどの方法があります」
詳しくはギルドの規約一覧に査定項目が載っているから、時間がある時に読めと言われた。
「ダンジョン内では手柄を求め、冒険者同士で争いになることもあるかと思います。しかし、ギルドは冒険者を支援する組織ですので、冒険者同士の争いは推奨しておりません。もし、冒険者間でトラブルが発生した際、ご自分では手に負えないと判断した場合には、ギルドにお知らせください」
その後も細々として説明をされて、最後に、と受付嬢はこう付け加えた。
「貴族とトラブルを起こした場合は、速やかにギルドに相談するようにしてください」
と。
実は、冒険者と貴族は昔、色々あったせいでバチクソに仲が悪い。それは現代でも変わらず、もし貴族の不当な言いがかりで冒険者になんらかの損害を与えた場合、ギルドが出張って冒険者をかばってくれるのだ。
とは言え、冒険者ギルドも慈善団体ではない。価値のない冒険者を守るために貴族と争うような真似はしないだろう。だからこそ、ギルドに守ってもらえるような、冒険者としての功績を早めに築き上げたい、というのが多くの冒険者が思うところであるようだ。
「では、規約に同意していただけるのであれば、こちらの書類に必要事項の記入をお願い致します」
受付嬢ちゃんの指示に従って、さらさらと羽ペンを羊皮紙の上に走らせる。
「はい、書類の方は結構です。では、お名前を確認させていただきます……シンクゥさんですね。あなたのドッグタグを発行して参りますので、少々お待ちください」
そう言って受付嬢ちゃんはカウンターの奥に引っ込んだ。
さて。
ブサメンはクルリと振り返り、カウンターの机に背中を預けるようにしながら、ギルド内を見回す。
そろそろか。
(え? 何が?)
いいかクロロ。こういうところに新人が来ると、中堅くらいの冒険者が絡んでくるんだ。特にブサメンみたいな弱そうな奴には。
で、そういう奴をブサメンが華麗に倒して、それを見ていた受付嬢ちゃんとか偉い人とかに一目を置かれる、というのがお約束なんだよ。
(それは、いったいどこのお約束だい?)
世界のお約束さ。自然の摂理。万物の法則。森羅万象そのもの。
というわけで、誰かが絡んでくるに違いない。さぁ来い!!
………。
……。
…。
「シンクゥさん、お待たせ致しました」
!? 来たか! いや違った、受付嬢ちゃんが戻ってきただけだった。
「こちらがあなたの認識票、ドッグタグになります。先ほども言いましたが、失くさないように」
「あ、ああ」
「では、良き冒険者ライフをお送りください」
あ、はい。
……………。
………。
……え、絡まれたりは? なし?
(君が思うより、冒険者たちは理性的だったみたいだね)
はぁ、なんだ。残念。いい機会だから(?)ブサメンの宝具の素晴らしさをお披露目しようと思ったのに。雷鳴剣、見せびらかしたかった……。
と、腰にぶら下げていた雷鳴剣の柄を取り、しょんぼりと見つめる。
するとそこで、ブサメンを馬鹿にする声が聞こえた。
「おいおい、なんだよそれ。まさか武器のつもりか?」
!! こ、これは……もはやこの世界に生まれてから一日たりとも聞かない日はなかった――ブサメンを嘲笑する言葉!
(つらい過去だね)
じゃあこれが、ブサメンが待ち望んだ……っ。
「それ剣の柄か!? おいおいおい刀身はどこ行った! 危ないからママの所に置いてきたのか? おおん?」
お約束イベントだ!
声がする方を見ると、そこには厳つい顔の男がいた。もみあげと顎髭がつながっていて、身体は筋肉質。冒険者として修羅場を潜ってきたことを思わせる手足に刻まれた傷跡、使い込まれた鎧と武器。だが何より特徴的なのは、やたらでかいことだ。魔人種の大人と比べても、背が高く体格がいい。
こいつ、獣人種だ。獣の特性をもつ人間。種族的な特徴としては、筋力や防御あるいは敏捷パラメータに大きな補正がかかり、まさに獣のような力強さを発揮できる種族だ。
保有するスキルは、身体能力強化系が多い。あと基本身体がでかい。
大男は、ブサメンを小馬鹿にしたような声音で揶揄い、指をさして嗤ってきた。
確かに、起動していない雷鳴剣は、刀身がないし、懐中電灯みたいに見えるだろう。そんな物を持っていたら、馬鹿にされるのも仕方がないのかもしれない。
でも、ブサメン、こいつのことは正直嫌いじゃない。だってこうして絡んできてくれたのだから。
「貴様、いい奴だな」
「ああ!? 舐めてんのかてめぇ! ここはガキの遊び場じゃねぇんだ! 武器も持ってねぇ奴が来ていいところじゃねぇんだよ!」
「貴様にとやかく言われることではないな」
「……言うじゃねぇか。いいぜ、てめぇが冒険者にふさわしいかどうか、この俺が直々に試してやる」
獣人は背中の大斧に手を掛けた。
「ちょっと、ガラハドさん。酔った勢いで新人にちょっかい出すのやめてくださいって言ってるじゃないですか」
そこで受付嬢ちゃんが仲裁に入った。この冒険者、ガラハドというらしい。
(強そうな人だね。君、この人と本当にやり合うつもりなのかい?)
…………。ま、まぁ確かに、ブサメンの予想では、もう少し弱そうで小物っぽいのが絡んでくると思ってたんだけど……ちょっとステータスでも、確認しておこうかな。勝てそうならこのままやり合う。負けそうなら――土下座だ!
「別に殺し合いをしようってわけじゃない。俺の一撃に耐えられたら、冒険者になることを認めてやるってはどうだ」
「冒険者になるのにあなたの許可は必要ありません」
受付嬢ちゃんがぴしゃりと言い返す。
「この程度の小競り合いにも耐えられないようなら、何にしろ冒険者なんてやっていけねぇよ」
受付嬢ちゃんとガラハドさんが言い合っている間にこっそり詠唱してしまおう。
「眼は開かれた、秘密は語られた、その荒野には、何もない――神秘解体」
喰らえ、プライバシーの侵害魔法!
名前:ガラハド
レベル:30
種族:獣人種
性別:野郎
体力:とても高い
魔力:少ない
筋力:拳で岩を砕く
防御:鋼の剣では傷つけられない
敏捷:そこそこ速い
知力:算数なら任せろ
抵抗:装備によってちょっとだけ高くなっている
幸運:特筆するものはない
スキル:獣化
備考:ゴリラの獣人種
土下座はしなくてよさそうだな。
「いいからどいてな!」
ガラハドさんは、乱暴に受付嬢ちゃんを押しのけ、大斧を構えた。
こ、こいつよくも受付嬢ちゃんを……。
その様子を他の冒険者もニヤニヤと面白がるような笑みを浮かべて見ている。
「構えな、ガキ」
ガラハドが脅すように言ってくる。ブサメンは起動していない雷鳴剣を構えた。
「テメェ、本気でその棒っきれで俺とやり合う気か?」
「怖いのか?」
「……この野郎、ちょっと現実を知らねぇガキに思い知らせてやろうと思っただけだったが……カチンと来ちまったぜ。おいガキ、先輩冒険者の俺がいいことを教えてやらぁ。冒険者たるもの、気に食わねぇ奴は力を以てわからせる。それが冒険者の流儀だ。かつての冒険者たちが、貴族共にそうしたようになぁ!!」
大斧を振り上げるガラハド。それに合わせるように雷鳴剣を起動させ、大斧を撫でるように、一閃。カッ、と雷鳴がギルド内を駆け抜け……。
その音が鳴りやんだ次の瞬間には。
「なに!?」
大斧は柄の部分で真っ二つになっていた。斬り飛ばされた斧の上半分が宙をクルクルと舞い、ズドンとけたたましい音を立てて床にめり込む。
腕を振り下ろした状態のまま固まるガラハド。
周りで見物していた冒険者の一人は、その光景に驚いたのか、力が抜けてしまったらしく、持っていたジョッキを手から滑り落としてしまった。が、床に落ちる寸前でもう片方の手でキャッチする。
すげぇ、冒険者ってやっぱ反射神経いいんだな。ブサメンだったら間違いなく落としていた。
周囲の空気が固まる中、ブサメンは受付嬢ちゃんの方に振り返る。
「実力は示した。これで問題ないだろう」
「……見かけによらず、お強いのですね」
「ふん、この程度で驚かれてもな」
やっほい、褒められたぞ。
「その様子なら、冒険者のランクも順調に上がっていくと思われます。きっと……その過程で、多くの困難があなたを襲うでしょう。しかしそのすべてを薙ぎ払った暁には、あなたは歴史に名を残すことになる。あなたがそんな冒険者になることを願って――ようこそ、未来の英雄。冒険者ギルドは、あなたを歓迎します」
こうして、ブサメンは冒険者となった。
「あ、床の修理代は払ってくださいね」
「そこで呆けている獣人種にツケておけ」
ブサメンはビタ一文払いません。
◇◇◇
チャリチャリと貰ったばかりのドッグタグを揺らしながら、依頼書が張り出されている掲示板の所までやって来た。
ドッグタグには、特に装飾はなく、無機質な金属板にブサメンの名前とランク1の文字が刻まれているだけだ。
今のブサメンは最弱ランクのクソ雑魚冒険者ということだ。
一番下の階級かー。こういうの見ると、速くランク上げたくなるよな。
というわけで、さっそく依頼を受けてみることにしよう。なるべく稼げる仕事がいいな。
(でもそういうのって、危険な仕事が多いんじゃないの? 最初は報酬が低くても簡単な仕事で慣らしたら?)
ううーん、でも、さっさと稼いで自分の工房持ちたいし。工房建てるのって、やっぱ金かかるわけだし。生活費も稼がないとだし。
(工房かぁ……まぁ、それもそうか。魔法使いなら、自分の工房くらいないと恰好つかないよね。宝具造るのにも工房は必要だし……じゃあ、多少危険でも、報酬のいい依頼にしておく?)
そうだなぁ……。とりあえずどんな依頼があるか見てから決めるか。
ほうほう、なるほど、依頼書ってこうなってるのか。一番上が依頼名、その下が報酬額、で、これが依頼内容で、この空きスペースに押されている髑髏マークのスタンプ。これは……危険度を表しているのか。なるほど了解。
デッドリーワームの討伐にクリムゾンゴブリンの討伐、それから船食いクジラの討伐と……。どれもこれも殺意高めな依頼のご様子。髑髏スタンプがベタベタと。砂漠に棲む魔獣って基本的に強いの多いからな。
「ふん?」
掲示板を見渡していると、一際髑髏マークが多い依頼を見つけた。
バハムートの討伐。
おお、これすごいな。報酬は百万ゼニーだってさ。それに……。
(バハムートって、市場にはめったに出回らない素材をドロップする魔獣だね)
そうなんだよな。この魔獣からはぎ取れる素材……鱗とかヒレとか肝とかは、中々手に入らない。宝具の材料にしてよし、売ってよしの良素材だ。
バハムートのステータスは前に図鑑で読んだことがあるから知っている。ブサメンなら倒せるはずだ。たぶん。ギリギリかもしれないけど。
(便利だよねぇ、魔獣図鑑)
なー。
この世界には、魔獣図鑑なるものがあって、とある魔法使いが、神秘解体の魔法で、あらゆる魔獣のステータスを調べ上げ、本にして出版しているのだ。
こういうステータスで、こういうスキルを使ってくるから、注意してね、とか。そんなことが書かれている。
この図鑑のおかげで、魔獣との戦闘における騎士や冒険者の生還率が格段に上がったと言われている。きっとその魔法使いは、この図鑑で儲けたんだろうな。ウハウハなんだろうな。うまい商売を考えたもんだ。
(感心するとこそこなの?)
ブサメンも負けずにウハウハになるとしよう。よし、この依頼を受けるぞ。
ベリッと掲示板から依頼書を引っぺがし、受付嬢ちゃんの所へ持っていく。
「このクエストを受けたい」
「……正気ですか?」
と、受付嬢ちゃんはブサメンを睨みつける。
「貴様には俺がラリっているようにでも見えるのか?」
そう言うと彼女は呆れたようにため息を吐いた。
「いいですか。この魔獣はとても危険なんです。初めてのクエストなんですから、もっと大人しいのにしたらどうですか」
「例えば」
「デッドリーワームの討伐とか」
「以前、熟練パーティーがデッドリーワームを討伐しようとして、誰一人帰ってこなかった……という話を聞いたことがあるな」
「……じゃあ、クリムゾンゴブリンの討伐とか」
「その討伐に行った冒険者パーティーの首が、町の入り口に飾られていた、という話を聞いたこともある」
ちなみに町には、魔獣侵入防止の結果魔法が張られているから、魔獣が町の中に入ってくることはないが、だからこそクリムゾンゴブリンどもは町の前にそれを置き捨てていったのだ。
見せしめとして。クリムゾンゴブリンってゴブリン種とは思えないほど強いからな。
「……」
受付嬢ちゃん、沈黙。
「討伐クエストなんて、どれを受けても危険なんだ。なら、高い報酬の依頼を選んだっていいだろう」
「……わかりました。では、バハムートの討伐を受領します。期限は一週間以内。討伐失敗のペナルティは特にありませんので、無理だと判断したらすぐに逃げてください。いいですね?」
「ああ」
なんだかんだと、こんな生意気なブサメンのことを心配してくれる受付嬢ちゃんは、とてもいい人。
胸元についているネームプレートを確認。イレイナ。イレイナさんというのか。
名前まで可愛らしい。
「それともう一つ」
「ふん?」
「少し前に、とある冒険者パーティーが同じくバハムートの討伐に向かいました。最近頭角を現し始めた冒険者が所属するパーティーです。のんびりしていると、先を越されてしまいますよ」
! アドバイスまでしてくれるのか。ありがたい話だ。至れりつくせりだな。
そういうことなら、急ぐとしよう。
「では、行ってくる」
イレイナさんの心象を良くするためにも、見事バハムートを討伐してみせようじゃないか。ブサメン、出発。
◇◇◇
シンクゥが依頼を受ける少し前。王都の城門を潜ろうとしている一組の冒険者パーティーの姿があった。パーティーメンバーは、三人。それぞれ剣、弓、そしてハンマーを装備したうら若き乙女たちだった。
彼女たちは、城門の外の桟橋に待機していたトライホーンに跨り、砂の海へと繰り出そうとしているところだった。彼女たちの目的は、バハムートの討伐。すなわち、シンクゥの競争相手となるパーティーだ。
シンクゥと少女たち、どちらが先にバハムートを討ち倒すのか、あるいはバハムートの一人勝ちになるのか。今はまだ、誰にもわからない。
Tips 冒険者ギルド
冒険者を支援する組織。今よりも魔獣の生息域が広かった頃。人々は魔獣の巣窟をダンジョンと呼び、恐れ、近寄ることができなかった。しかしある時、一人の若者が、魔獣に滅ぼされた国へ冒険に出た。そして魔獣を倒し、その国の王城から大量の宝を持ち帰った。人々はその若者を、危険を顧みず富と名声を求め、人類圏を開拓する者、という意味を込め冒険者と呼んだ。それを知った他の若者たちもまた冒険者となり、ダンジョン探索へと旅立って行った。冒険者の数はみるみる増え、彼らは類まれなる実力と財力を持つ存在として、羨望の視線を向けられることとなった。視線を向けられるだけならばよかったのだが、彼らが持ち帰る宝に目がくらんだ欲深な王侯貴族たちは、冒険者たちからそれを取り上げてしまった。冒険者たちは、王侯貴族や騎士団に逆らうことはできないと、しばらくの間は我慢していたが、そんなことが続くと彼らも我慢ができなくなり、王侯貴族たちを相手取り、反旗を翻した。冒険者と国の権力者たちによる、血みどろの争いが繰り広げられた。そして冒険者たちは、自分たちを蔑ろにした王侯貴族を、国を、半壊させた。それを機に、王侯貴族たちは、冒険者たちの財宝を取り上げることをタブーとした。そして冒険者たちは、王侯貴族がまた横暴を繰り返した時のために、お互いがお互いを助け合う組織、冒険者ギルドを設立し、冒険者の権利を守ることにしたのである。そんな歴史もあり、冒険者と王侯貴族の仲は今でも非常に悪い。




