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ドライブ3

「それで澤村さんは免許持ってるの」

「持ってるけど、仕事以外は乗らないそうだ」

「そうか、越村さんは持ってないのね」

「大学を出るまでには仕事の幅を拡げたいから取るつもり」

「仕事じゃあ大変よ。道と時間に左右されるのも辛いわよ」

「でも沙苗さんも結構変わった道を走りますね」

「あたしは気分で走ってるの」

「それで今日の気分はこの方面なのか」

 そうよ、と彼女は微笑んでくれた。滋賀に入るとまもなく琵琶湖が見えて車は湖岸に沿って走り出す。

 越村さんの実家を母親が知りたがっていると沙苗さんが言い出した。ハンドルを持つ彼女の横顔を見て、どう言う理由で知りたがってるのか気になる。

「実家は若狭の方ですけど」

「あらそう、漁師さん、てなことないわね」

「普通の家で、親は舞鶴の市役所に勤めてます」

「そうか、仕送りしてもらってるの?」

「滅相《めっそう》もない。そんな穀潰《ごくつぶ》しは弾《はじ》かれる」

「穀潰し?」

「あれ? 聞きませんか?」 

「初めて耳にした」

「働かずに家に居て、飯だけ親に喰わしてもらってる人間」

「あーあ、ニートなの」

「何《なん》ですかそれは」

「だからあなたが今言った人のこと、まあ、引き籠もりとは少しニュアンスが違うけど、家で親のすね囓《かじ》っている処は同じ」

「へ〜え。ニートにしても引き籠もりにしても、必死に働く親の背中を見て育ったもんには考えられん。なんせ家訓は『働かざる者喰うべからず』ですから」

「凄い標語ね」

 エッ! これ標語じゃない。今の石塚への改心の贈り言葉なのに。


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