沙苗の出迎え4
沙苗さんは植物園内の北側にある洒落た店の駐車場に車を止めた。店は植物園の庭に面して立っており、広いレスランの三方はガラス張りで、庭を眺めながら食事が出来る。
「別にこんな大きな店でなくてもいいのに」
学食かその近辺の学生相手の店しか入らない越村は気が引けた。
「あなたが心配することはないでしょう。今日は」
今日は、を強調したのは、今日の苦労に報いて父から委託された金があるようだ。
「それって何に使うつもりなんですか ?」
だから父があなたのために使うように、と強調したが金額は明かさない。と言うことは残りは彼女の小遣いなのか。だとすればこの食事は越村の為と言うより、小遣い稼ぎの一翼を担がされたのか。そこそこの値の張る料理を頼んでいれば、一概にそうとは言えない。ある程度は好みも聞いていた。骨付きフライドチキン、サラダ、サイコロステーキ、生ハム、エンゼルフードケーキバニラキャラメル、エビとホタテの載ったチーズピザ。飲み物にジンジャーエールを注文した。
「どう、そんなところで」
越村が頷くと彼女はメニューを仕舞った。
唯一あなたに会っている母が、あなたがウチの息子を見る目に、ただならぬものを感じて、父にそれ相当の肩入れをした。
「どんなふうに言ったか、気になるでしょう」
「そりゃあ、もう」
と言いかけて頼んだ料理が、二人用のテーブルに、ところ狭しと並べられた。今朝は簡単なハムエッグと食パンの朝食を摂って、三人はかやぶきの里のバス停まで歩いた。朝食のエネルギーはバス停までの二十分で使い果たした。越村はピザと骨付きフライドチキンを腹に収めた辺りから、食べるテンポを落とした。




