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穂高連峰2

山好きでバイトに来て、これらの条件を克服出来ても、良い経験だったと一過性で辞めてしまう人が半分ぐらい居た。彼らは趣味と仕事との違いが身に染みた人達だ。前回は女性のスタッフが四人居たが、今回は一人減って三人だ。その内の一人は新人さんで女性二人を含む顔馴染みは七人だ。その中の二人だから彼女らは余程肝が据わってる。男性は矢張り体力に自信の有る人達がまた来ていた。食材を運ぶヘリは山荘の前に降ろしてくれない。少し離れた開けた場所に降ろす。まあそこから数百の距離だが、何しろ三千メートルの切り立った岩場を何度も往復して運ぶだけに体力が要る。山麓から背負子《しょいこ》に詰めるだけの荷物を詰めて運ぶ歩荷《ぼっか》に比べれば月とスッポンだ。再契約したバイト達からは「その体力で良く来たなあ」と去年の体験から越村は甘く見られていたようだ。確かに辛い要素はあるが、それを謂うなら登山そのものがそうだ。それでも山小屋バイトの良さもある。それは連休がもらえるのだ。これを利用して近隣の山を走破できる。これが越村がまた来る気になった原因でもある。先ず北穂高の山小屋が凄い。三千百六メートルの山頂直下、徒歩三十秒で着ける北アルプスでは一番高い山小屋で、此処から正面に槍ヶ岳が見える。越村の目的は出来れば毎年の夏休みは穂高連峰を走破することだ。次に同じ厳しい条件下で働く似たようなひと癖ある特異な人達と情報交換することだ。山小屋は各地に点在するがとても全部回れないし、人も入れ替わりが烈しく、毎年近くの山小屋で新しい人の話が聞けた。第一に近いと謂っても峻険な山岳地帯でそう簡単には行けない。


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