石塚と再会7
さっき言った菅原さんも似たような苦労している。彼はこの近くに在る砂防工事の主任監督でも、現場で働くのは地元の人が大半だ。地元は自然を壊されたくない。景観も大事だが、この折り合いに菅原さんは苦労して、災害をいかにしてを食い止めるかを旅館に戻ると独りで考えている。これには石塚もウィスキーを持ち込んで一緒に考えた事もあった。
旅館には学生も来る。失恋した彼女も色々やって来て、それらを聞いていれば逗留期間が延びてしまい、気が付けば夏休みは当に終わっていた。今は新しく画家がやって来て、彼の持論が気になってもう暫くは帰れない。
かやぶきの里は最近になって押し寄せる観光客に大駐車場を設けて、バスも増便して一大イベント会場のようにして、集落には手ぶらで散策して、あくまでも余計なものを持ち込ませないようにかやぶきの里はしてある。此処には土産物屋から飲み食いする飲食店などあり、観光客が集落へ不満を持ち込ませない歯止め対策にも成っていた。会場にあるお店も景観に合わせた作りだ。
「さあ何が食べたい。和食がメインだが洋食もあるし酒も提供するが勿論車の運転手は除外だ」
「どうやって区別するんだ。これだけの大駐車場だ。おかしな客も来るだろう」
「越村は姉貴の車で来たのだろう」
「ああ、それがどうした」
「モラルだ。此処に来る人は備わっていると言うのが前提だ。おかしな連中ならあんなへんぴな場所に通じる道を走らないだろう。純粋に安らぎを求める人しかやって来ない」
「モラルのない人間は走る道も選ばない、すべてがあのお坊さんのようにはいかないぞ」
「まあな、日帰りでは精進できんだろう」
石塚はここでいったい何をしてるんだ。
二人は広い駐車所を横断して店内に入り、中を見回してみると、如何にも善男善女面した人々で溢れている。石塚の言うことも満更じゃないようだ。店の人とは石塚はもうすっかり顔馴染みのように挨拶をしていた。




