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石塚と再会2

「姉貴より気になったのは越村、お前だろう」

 憎めない嗤いを浮かべて、石塚は越村に言ってのけた。

「バカ言え、いつも愛想尽かす俺がお前に対してそんな埒もないことを考えるはずがないだろう」

「ほほうー、珍しく女とドライブできて頭が可笑しくなったか」

「裕司、何バカのことを言ってるの、山で二ヶ月のバイトを終えて疲れているのを無理して来て貰ったのに」

「憧れの地に逗留出来て、しかもお金まで貰えるのだから。こんな冥利《みょうり》に尽きるものはないだろう」

「こう言えばああ言う、裕司、あなたにはこの人の苦労が分からないのね。稼ぐ苦労が身に付いてないあんたに何が判るというの」

 姉もそれほど親から干渉を受けてないが、矢張りそこは女性として何処に嫁に出しても恥ずかしくない躾けはされた。勿論生活の根本をなす金銭感覚は、特に母親は無駄な浪費を戒めていた。この点は弟には全く言わないどころか、そんなみみっちい男はみっともないと躾けらて、子供だった沙苗は不満たらたらに弟を恨んだ。それ故《ゆえ》に姉はここぞとばかりに、昔の怨念を晴らさんと弟をとっちめた。これには堪らず姉を何とか追い払いたい。

「姉貴の言わんとしたことは良く解った。だからもう引きあげてくれ、暫く越村とゆっくりと話たい」

「判ったわ、あたしは帰るけど。越村さんは此処に泊まるのなら費用はこちらで用意するから弟と暫く一緒に話して欲しい」

 と懇願する。その為に親の意向を受けて来て手ぶらでは帰れない。弟をなんとか説得させるために、どうしても越村を此処へ滞在させたいのだ。

「俺には大学で講義を聴いておかないと留年すれば、お前と違って世間体でなく生活に響くんだ。一年でも早く社会に出て正社員の口を見付けないと実家の家族が困るんだ」


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