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山里の旅館2

「でもさっきの園部駅の方がバスの本数が多いわね。多分、弟はあっちの駅を利用しいると思う」

 沙苗さんは駅前を走り抜けると、車は府道を更に山奥へと走らせた。

「じゃあ電車だと園部と日吉駅ではどっちを利用すればいいんだろう」

「それも祐司に聞いてみたら」

「彼奴のことだから、ここでの生活環境も決まったやり方が定着してないんだろう。目的がハッキリすれば生活パターンも決まってくるが……」

「それは今日会ってみないと判らないわね」

 市街地から沓掛インターに入って二十五分で園部インターを下りたのに、更に一時間も走ってもまだ着かない。日吉駅からそう遠くないと聞かされて、これでは話が違う。

「そんな山奥なんですか」

「あたしも良く知らないのよ。ネットで美山荘《みやまそう》という旅館を調べて、この府道を走っているだけなんだから」

 この人も適当なんか。

「お金は何処に送金してるんです?」

「ゆうちょ銀行だから、日吉か園部の郵便局に多分お金を下ろしに来ると思う」

「今日行くってメールしたんですか?」 

「ええ、越村さんはしてないでしょう」

「解りますか」

「顔に描いてあるもん」

 ウッ、とルームミラーを覗いて見ると、おかしな顔をされた。

「モウッ、あなたは嘘を吐けない顔をしているもの、そんなところが弟にそっくり」

 シャイかシリアスなんか知らないが、この顔は人混みに揉まれてない人だと一目で解るそうだ。

 日吉駅を離れてかなり走って、ようやくパラパラと民家が見えて来た。更に走ると茅葺きの家が点在する一つの集落に行き着いた。そこに一軒だけある旅館を見付けた。道の脇に美山荘と書かれた一メートルほどの素朴な木の標識が目に付いた。その奥に旅館の入り口があり、ここねと車を乗り入れた。


 

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