石塚の姉7
シャイな人の次はシリアスか。彼女の通うミッション系の大学では、当たり障りのない人の評価はそうなるのか。
「それで肝心な事を聞きたいんですけれど。石塚は今どこに居るかご存じないんですか」
「そうね、居場所は分かっているけど如何しているかは解らないの」
ハア? 言ってることが良く解らん。
「何ですかそれは、じゃあ何処に居るんです」
「丹波の山奥の旅館」
「いつから?」
「夏休みに入ってから、越村さんが槍ヶ岳の山荘に行ってからプィと出掛けてそのままなの」
「帰ってこないんですか」
「心配はしていないけど、留年されると矢張り手広く商売をして世間体があるから家族は困ってるの」
いったい石塚は家族から愛されいるのか、少なくとも目の前に居る人は例外として両親とお兄さんはどう考えているのか。
「それでお母さんは上がってもらいなさいとぼくを引き留めたのは」
「弟について聞きたいからでしょう」
「そう言われても、昨日まで穂高に居て何も知りませんよ」
「だから母もあなたも弟のことでは双方が持て余して困るでしょう。それで此処へあなたを連れ出したのよ」
父親と長男は会ってない。母親は顔見知り程度で、どのように認識しているか知るには絶好のチャンスなのに。それを言えば沙苗さんも越村のことを弟から聞いた範囲でしか知らない。会って話をしても雲を掴むようなものだと解った。越村には石塚家の人々は目の前に居る沙苗さん以外はさっぱり判らない。お母さんだけでも見知っていれば、取り敢えず卒業後に仕事がなければ何とかしてくれそうだ。
「それで家族は石塚をどう思ってるんです」
此の人からでも石塚が家族の中で置かれている立場を知っておきたい。




