↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
155/165

武奈ヶ岳8

「越村さんも初耳なのに、祐司にヒマラヤ行きの計画を話したんですか」

 訊かれて澤村は、うふふと訳ありげに笑った。ルームミラーで二人を見たが、向こうも込み入った話らしく無視している。

「決断を促す判断は独りの方が下しやすい。だってそうでしょう。他の者だと余計な邪念が入るんですもの」

「でも家族の事は考えないんですか」

「単独登頂の冒険者は、もちろん家族の納得が第一なんです。でもグループのリーダーとなるとそうはいきません」

 孤高の登山は一点の山頂を目指して、身体(からだ)と一緒に考えを共にして、一点に収束させる為に、思いを自分の胸に納めて、ひとつに収束して山頂を目指す。グループは様々な人の気持ちを一点に収束しなければ山頂は目指せません。その判断力を養うために、単独でも登れる山で経験を積んでいる。

「これは登山家を断念した父の後ろ姿から得た、あたしの教訓なの」

「つまり、自分の技術力を超える判断には、固執しない方がいいってこと?」

「明日に希望を繋げられる人はね」

 澤村にさりげなく言われても、沙苗さんはさりげなく聞き流せない。そう思うと続きの言葉を探せない。聞いているの、とルームミラーを見ると、頷く越村と視線が合った。弟は納得したのか俯き加減にしている。澤村さんの言い分は十分に伝わったようだ。

「澤村さん、弟の体力でこれから行く武奈ヶ岳は、頂上まで完走できそうですか?」

「それは越村さんの特訓の成果を期待していいんでしょう」

 途中で澤村に振り向かれて、沈黙する石塚に代わって越村は、右手を握り締めて丈夫だと太鼓判を押した。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。