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石塚の改心2

「沙苗さんが知りたがってるのか?」

「それはない。あれば姉貴は直接お前に訊く」

 彼女はそんな遠回しはしない。じゃあ誰だ、何《なん》のためだ。降ってきた疑問に石塚はまたにやけた顔を見せた。

「澤村さんか?」

「他に誰が居る」

 越村は迷惑そうな顔をした。

「誤解するなッ、彼女はお前にヒマラヤ行きのサポートを思い描けていただけだ」

 越村の実家が経済的には火の車で、とてもそんな余裕がないと澤村さんに石塚は印象付けたい。実際に越村の実家はそうだ。それで実家は両親と五人兄弟で越村を含めて三人は食いぶちを減らすために家を出て姉と妹しか残ってない。

「それなら、お前がサポートしてやれば良いだろう」

 石塚の顔を見る限り、どこまでそんな話があるのか胡散臭い。

 細い路地から大きな天王町の通りに出た。石塚の父が経営するシステムキッチンの展示を兼ねた店に着いた。父親の石塚長矩さんが出迎えてくれた。が店には二組の夫婦連れが、家のリフォームに合わせてキッチンの取り替えに応対をしていた。他の社員と事務員に任せて長矩《ながのり》さんと応接ソファーに座り言葉を交わした。どうやら丹波の山奥から息子を引き戻してくれた感謝を直接云いたかった。長矩さんは黙っていたが相当に気を揉んでいたのが話の節々から読み取れた。話は石塚に依って途中で切り上げて店を出た。

 石塚は肩の荷が下りて一息吐くと、これからが本題と云わんばかりに、以前に誘ったトレーニングを頼まれた。

「何《なん》だ、どういう風の吹き回しだ」

 いいタイミングで親を紹介してやったと云わんばかりに、余計な事は聞くなと顔を顰《しか》めた。

「あれは、お父さんの意向でなくお前の企《たくら》みか」

 深く聞くな、察しろと今度は自宅に向かって歩き出した。店から自宅は近い。石塚は越村にも着替えさせて、二人はトレーナー姿で立ち寄った家を出た。


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