↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
114/165

石塚の思い3

「それで何を話した」

石塚はまたにやけた。彼女の話になるとこうも表情が崩れっぱなしになるか。全く免疫のない男だ。これなら澤村さん以外でも良かったが、今更ながら女に対するガードが脆《もろ》すぎる。

「正直言って箕面の話が出たときは飛びついた。待てよ最初が肝心だと、遠すぎるとわざと難色を示した。そしたらどうだ。彼女は直ぐに標高の低い御室八十八カ所を挙げて拍子抜けした」

「お前のことだ標高差に釣られると澤村さんは思った。行ってみて俗化された箕面とそうでない一応は霊場の御室八十八カ所とは足腰のなまったお前では全然違うだろう」

 箕面にはトイレも茶店もあるが御室八十八カ所は何もない自販機もない山道だ。

「苦労はしたが、お陰で急な所では、手を差し伸べてもらって有意義だった」

 北穂高で越村がサポートしたのを、あんな低い山で澤村さんはしてあげたのか。

「ほ〜お、それじゃあ御室にして大正解か」

 満更でもない顔をした。

 それでも二時間ばかりで御室を出て、仁和寺前からバスで市内に行った。さっさと山を下りるなんて、そこまで行けば仁和寺から竜安寺、等持院と彼女を案内すればいいのに。もう商店のないところ歩きたくないのか、澤村さんは多少は寺院の仏像には興味があるはずなのに。それじゃあ二人きりの初デートで寺院巡りは精進臭いか。こっちは湖東三山でもかなり突っ込んだ話が出来たのに。

「それで市内ではどうした。手を握れるほどの急峻な坂や道はないぞ」

「だけど似たようなカップルがいれば、以前のように卑屈にならなくて済んだ」

 嫉妬か。いつも難しい女性論をぶってる奴が、あれは何《なん》だったのかと嗤った。

 今までの憂いに帯びた表情は瞑想《めいそう》でなく、単なるカップルに対する引け目を感じていただけだとやっと解った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。