金剛輪寺2
ここは駐車場から車を降りて、舗装された道路沿いに大きな黒門と呼ばれる山門がある。次に赤門を抜けると百済寺とは逆に池はひっそりと庭の片隅に置かれている。
「なんか趣が、さっきの寺と随分と異う」
趣向が違っても此処も似たような作りのお寺で、宗派に則って造園すればそう違いはない。
「でも此処はお地蔵さんが凄いのよ」
「あだしの念仏寺にも沢山の石仏があるけど……」
「あそこは一カ所に固まってるけど、此処は三百メートルの石畳の参道両脇にずらりと並んでるの。まあそれは此の先だけど、先ずは庭園を見ればこの寺の趣もわかるわよ」
下の庭園を巡り、白門から先はいよいよ石畳の参道が奥の本堂まで三百メートルを一本の道で繋がる長い参道を登る。その両脇にやく千体の地蔵さんが並んでいる。この長い参道の上にある二天門が本堂の入り口だ。やっと本堂に辿り着いたとひと息吐けた。
「それでよくもまあ、穂高に登るんですね」
「そりゃあ、いきなり登るんでなく。バスを下りて山道を相当歩いて足腰が慣れた頃に登るが、ここは車を降りて準備運動なしに、いきなりあの長い傾斜のある参道ですよ」
何の準備なく登れば息が乱れるが、沙苗さんはそんなに呼吸は乱れてない。
「何かコツがあるんですか?」
「そんなものないわよ」
足元ばかり見ないで、回りの木立を眺めながら登ると、意外と気持ちに余裕が出来て身体が整然と保てるようだ。
「そんなもんかなあ」
「そんなもんよ」
信州の山は高すぎて、それだけ登る前から気負いすぎと言われた。それぐらいの気迫がなければ、とても穂高に挑めないのも確かで、こんなお寺巡りは越村は慣れてない。市内の有名な寺院は石段も十数段、場所も鞍馬寺や大原三千院、高雄の神護寺を除けば平地ばかりだった。




