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湖東三山3

「じゃあ僕らは山門を抜かして直接受け付けに来てしまったの」

「ちょっと心の準備がないまま、いきなり庭園入り口に来ちゃったようだけど、此の先の長い石段は凄いわよ」

 確かに駐車場からいきなり二本の柱に低い竹垣の入り口ではピンとこない。入り口を入ると池の回遊コースと遠望コースに別れていた。沙苗さんは右側の石段を登り上に出た。そこからは遠くに琵琶湖が望めて安土城址の山も見える。

「御室八十八カ所は仁和寺の裏山にあって弘法大師をお祀りしてあるけど、此処は聖徳太子が創建した寺なのよ」

 こっちの方が尊《とうと》いと言わんばかりだ。今頃は石塚の奴はくしゃみをしているかもしれん。

「あの湖岸からここまで車で来たのか」

「そうよ、さあこれから下に行って回遊コースを見ればここの良さが解るわよ」

 二人は下に降りて本坊喜見院《ほんぼうきけんいん》に行った。なるほどこれは見事な庭園だ。池を取り囲むように配置された寺院と別棟《べつむね》は飛び石を伝って巡《めぐ》れるようになっていた。ここを抜けるといよいよ本堂に向かう。本堂に続く石段が沙苗さんの言う凄い石段だ。途中の仁王門まで百メートル以上あり本堂は更にその先だ。本堂の周りは鬱蒼とした林に囲まれて、本堂の隣には梵鐘が在り、余韻と音色の美しさでは名鐘と書かれている。この鐘は実際につける。さっそく賽銭箱にお金を入れて合掌して沙苗さんと交互についた。

「好《い》い音色でしょう」

 最初は高い音がうねりのよう鳴り、次第に腹にずしんと低い音が長い余韻を残して響き渡る。

 御室の八十八カ所より、こちらの方が断トツでしょうと沙苗さんは自慢した。


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