ある神官の成長日誌 〜ジュール編〜 31
「C!!!」
単音節の神聖語を発しながら、拳を打ち出す。
気合弾の魔法 が発射され、レイブンに向かって真っ直ぐ向かって行く。
レイブンは、あっさりと避けた。
「さ、避けられて、しまいました?!」
ジュールの目が、まん丸になった。今日は、よくまん丸になる日だ。
「気合弾の魔法 、来ると分かってたら、簡単に避けられるぞー」
レイブンはニヤリと笑った。
「次は、どうする?」
ジュールは、再び考えこんだ。
「あの2人、なにやってるんですかねぇ」
観戦していた魔術師のバルナスが、呆れた様子で呟いた。
「煽るレイブンもレイブンなら、むきになるジュールもジュールです!」
「楽しそうで、良いではないか!!」
ドワーフのガロンが、バルナスの背中をバンバンと叩いた。一応、加減をしているらしいが、かなり痛い。
「気合弾の魔法 で、牽制? そんなアホみたいな魔法運用、出来るワケないでしょうが……」
そう言ったものの、バルナスは不安だった。
“ジュールだからなあ……”
ジュールは、考えこんでいた。
“1発では、避けられてしまいました。では、2発では……どうでしょうか?”
ジュールは、胸の前で手を組んだ。目を閉じる。
心のなかで、大地母神に祈った。
“大地母神様、御力をお貸しください。気合弾の魔法 1発分の御力を、右拳に半分、左拳に半分、お貸しください”
《1発分を、右拳と左拳に、半分ずつ?》
ジュールの心のなかに、清らかな声が聞こえた。大地母神の声である。




