ある神官の成長日誌 〜ジュール編〜 29
「いきますっ」
ジュールが突っ込んだ。疾走の勢いを剣にのせ、全力の一撃を叩き込んだ。
ガイーン。ジュールの剣が弾かれる。ジュールは動きに逆らわず、その場で1回転した。回転の勢いを利用して、2撃目を叩き込む。
キンッ。こんども剣が弾かれる。
数回撃ち込ませた後、レイブンが反撃に移った。剣を巻き込むように叩きつけ、ジュールの剣を飛ばす。次の瞬間、レイブンの剣先がジュールの喉元に突き付けられていた。
「勝負あり。勝者、レイブン!」
ガロンの宣言に、見ていた連中から、悲鳴が上がった。彼らはジュールの勝利に賭けていたのだ。バルナスが嬉々として、掛け金を回収していた。
「ま、こんなもんだな。いまの自分のレベル、知りたいか?」
レイブンの軽口に、ジュールはキッと睨みつけた。
「教えて下さい!」
「いまのジュールだと、街中でゴロツキ相手なら、なんとかなるレベルだな」
レイブンの分析が続く。
「相手は、素手なら……3人。ナイフ持ってたら……2人。剣を持ってたら……負けるな」
「私、バルナス様の護衛なのに……」
ジュールは凹んでいた。
「あのなあ……」
レイブンは呆れていた。
「オレも、ガロンのおっさんもいるんだぞ? オレらが抜かれるなんてことは、まず無いぞ」
「お二人のことは、信じています! それでも、私が強くならないと、いけないんですっ!」
レイブンは肩をすくめていた。
「それなら、やり方を変えてみな」
「やり方を……変える?」
パチクリ。
「まず、剣は……抜き打ち一本にする。抜き打ちなら、剣速が上がるからな」
「抜き打ち……」
「で、剣は最後の手段と割り切る」
「はいっ?!」
「お前には、気合弾の魔法 があるだろ? あれを牽制として使えば、相手が近寄れなくなるんじゃねぇの?」




