ある神官の成長日誌 〜ジュール編〜 28
4.気合弾の魔法 を、魔改造しよう。
数日後、町の戦神神殿。中庭の鍛練場には、彼ら4人の姿があった。今日は4人そろって鍛練である。回復魔法の教導は、本日はお休みである。
対峙しているのは、戦士のレイブンと、神官のジュール。お互いに鞘の付いた自らの得物を持ち、開戦の合図を待っていた。
周囲には、戦神の神官が十重二十重に取り囲み、わくわくした様子で見守っている。
「ジュールちゃんが、戦うってよ」
「あんなに細いのに、戦うのか? やべー、しびれるぅ」
観客は全員、ジュールのファンである。
この数日間、ジュールは分割回復魔法の実践に明け暮れていた。そんな様子を見て、大量の戦神の神官が、彼女のファンになったのだ。
「なんだか、もやもやしますね」
そんな戦神の神官達をみて、バルナスは不満そうな表情をしていた。
「あの娘は、言わば太陽じゃ。誰もが目が離せない存在じゃの」
ガロンが答えた。
「みんなあの娘に、めろめろじゃ。魔術師殿も含めての」
ニヤリと笑った姿をみて、バルナスが完全にへそを曲げた。
「こうなるのがわかってたから、ここでの鍛練は、反対だったのに……」
「さて、始めるぞ」
審判であるガロンが声をかけた。
「勝負は、寸止め。勝敗は、致命傷となる部位に剣先を当てた方が勝ち。両者、準備はいいか?」
「いつでも、やれる」
レイブンは剣先を中段に構えていた。
「や、やれます!」
ジュールは、小さく震えていた。この距離なのに、レイブンからのプレッシャーがすさまじい。
「始めっ」
レイブンは動かない。それどころか、柄から左手を離し、手のひらを上に向けた。指先を上側になんどか曲げ、挑発していた。




