ある神官の成長日誌 〜ジュール編〜 25
「どんだけ危険度が高い仮定でもよ……」
レイブンが続けた。
「実践してみないことには、話にならないってことだろ?」
「しかり」
ガロンが答えた。
「どうやって実践するんだ? 聞いてる限りじゃ、実践できないようにしか、聞こえないぞ?」
ガロンがニヤリと笑った。
「戦神様の神殿なら、多少は顔が効くでの。若い神官への教導の名目で、分割回復魔法の講師としてワシ自身を捻じ込むことぐらい、なんとでもなるわい。その時に、ジュールをパーティーの若手としていっしょに連れていく。完璧な計画じゃろ?」
「ガロン様……」
ジュールが口を挟んだ。
「私、一応……大地母神の神官なのですが……」
そんなジュールの様子を、ガロンは鼻で笑った。
「お主、神殿とは没交渉じゃろうが。今さら、どの面下げて実践の場を求めるつもりじゃ?」
「………………」
ジュールは目を逸らした。上を見上げ、口笛を吹く仕草をした。全く音がならないのが、ご愛敬である。
「それに、お主を大地母神様の神殿に行かせるのは、怖すぎるぞ」
「怖すぎる???」
ジュールは、コテンと首を傾げた。
「説明してやるから、最後まで聞くのじゃぞ。そして、危機感を持て。よいな?」
「はい」
ジュールは真剣な表情で頷いた。
“素直なのは、この娘の最大の利点じゃが……素直すぎる、の。見ていて、危なっかしくて、かなわんな”
ガロンは苦笑しながら続けた。
「第一に、お主自身の商品価値が、高い……ということじゃな。ワシ個人の感想としては、高いを通り越して、高すぎる……と思うがの」
「私の、商品価値……ですか? ???」
ガロンは大きくため息をついた。
「自覚しておらんだろうが、お主は、若く、美人じゃ」
ジュールの顔が真っ赤になった。
「そんな若い美人が、分割回復魔法で、大きな傷を治すのじゃぞ? 周りから見たら、聖女にしか見えんわい」
「せ、聖女?!」
ジュールは両手で顔を覆ってしまった。




