ある神官の成長日誌 〜ジュール編〜 23
そんなレイブンの様子が、熱くなっていた3人に冷水を浴びせる結果になった。
バルナスは……ジュールを解放し、地面に置いた魔術師の杖の位置を確認した。
ジュールは……居住まいを正した。
ガロンは……酒瓶に栓をすると、地面に置いた。
4人は暫し無言だった。
「皆、冷静になったみたいだな」
レイブンが、3人に声をかけた。
「で、なにがどうなってる? オレは頭があんまり良くないからな。簡単に頼むぞ」
「ジュールが辿りついた仮定の話じゃ」
説明の主導権は、ドワーフのガロンが握るらしい。
「ジュールが、2つの仮定に辿りついた。1つは、神への祈りの言葉の簡略化。1つは、患部を切り開かなくても、見えるようする方法」
レイブンは周囲を警戒しながらも、真剣な表情で聞いていた。
「思いついたんだな。それで?」
続きを促す。
「この2つの仮定。1つ1つだけでも危険度が高いが……組み合わさると、大災害じゃ」
「だから、なんで大災害なんだよ?」
「説明してやるから、最後まで聞くのじゃ」
レイブンは頷いた。
「まず、神への祈りの言葉の簡略化。ワシが考えるに……骨折や捻挫に対する、回復魔法の時間が……半分以下になるぞ」
「すげーじゃねぇか……」
思わず……といった感じで、レイブンが呟いた。
「次に、患部を切り開かなくても、見えるようする方法。神聖魔法を使いながら、脳内で患部の詳細を想像する……という、信じられない方法じゃな。ワシが考えるに……これをやったら、術者の負担が大きすぎるの。おそらく、脳が焼き切れる」
「ダメじゃねぇか……」
レイブンは心配そうにジュールを見た。
「これだけでも……危険度が高いが、組み合わせると……凶悪度がけた違いに跳ね上がるぞ」
「ごくっ」
レイブンが唾を飲み込んだ。




