ある神官の成長日誌 〜ジュール編〜 21
「開放骨折を、治療するのに患部を切り開くのとは、ワケが違うのだぞ? 外傷が無いのに、切り開くつもりか?!」
ジュールは、コテンと首を傾げた。
「なぜ、そんな怖いことを?」
「お主が、いま言ったではないかっ!!」
「私、切り開くとは……一言も口にしておりません」
「なに!? 見えるようにする、と言ったではないか!」
「見えるようにするのに、切り開く必要は、ありません。見えないなら……想像して、見えるようにすれば良いと……思います」
「???」
「もしかして……」
思わず……という様子で、バルナスが会話に入ってきた。
「患部の様子の絵かなんかを見ながら、治療する気なの?」
「はい。さすがバルナス様です」
ジュールは、得たりと頷いた。
「まて。少し待て!!」
ガロンは頭を抱えながら、考えこんでいる。
「その方法なら、たしかに患部を切り開かなくても、患部が見える」
ガロンの発言を受け、ジュールがニッコリ笑った。
「患部が見えれば、治療時間が短くなるハズです」
「確かに、短くは……なるだろう」
ガロンは苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
「ただ、術者の負担が大きすぎる!! 絶対にやってはならんぞ!!」
「負担???」
ジュールは、ピンときていない様子だった。
「いいかジュール。良く聞くのじゃ」
「お伺いします」
「お主のやろうとしている行為は、両手で別の細工物を作ろうとしているようなモノじゃ。それも、ワシですら引くような、細かい細工物じゃ」
大きく息をつき、こう続けた。
「そんなことをやってみろ。脳が焼き切れるぞ!!」
キョトトンとしているジュールの頭を、バルナスが軽くはたいた。
「え?!」
「これは、お仕置き」
バルナスは怒っていた。




