ある神官の成長日誌 〜ジュール編〜 20
ガロンは真剣な表情で、ジュールを諭した。
「ジュールよ。お主の発想、悪くは無いと思う。ただの……」
小さなため息。
「大地母神様が、不敬……と捉えるかもしれんぞ? 大地母神様に尋ねてみよ。ワシも、戦神様に尋ねてみる」
「不敬……ですか?」
「かもしれん……だからこそ、尋ねてみよ!」
ガロンとジュールは、心のなかで、信仰する神に尋ねた。
「戦神様は、こう仰っている。問題無い。我も楽で良い」
「大地母神様は、こう仰っています。いいアイデア。私もラクです」
神官2人の言葉は、ほとんど同じ内容だった。
その言葉を受け、バルナスが目を輝かせた。
「神様が認めるってことは、この発想……アリ、なんだ!!」
そんな3人を見ながら、戦士のレイブンが無言で焚き火に薪を放り込んだ。一瞬の間をおいて、火が大きくなる。
“話に夢中になりすぎて、色々と疎かになってるぞー”
レイブンは、耳への意識配分を少し下げた。同時に、周囲の気配への意識配分を少し上げる。
呼吸をするように警戒レベルを変動させるのは、彼にとって本能のようなものだ。
「ガロン様」
ジュールの表情が変わった。なにか、思いついたらしい。
「ん? こんどは、なんぞ?」
ガロンは、若干警戒している。
“ワシの心臓は、鋼でもなんでも無いぞ。この続きを聴いて……持つのかの?”
「骨折とか、捻挫の場合、患部が見えないから……力技となり、治療時間が長くなる……この解釈で、合っていますか?」
「合っておる」
「考えたのですが……」
ジュールは、とんでもない発言をぶち込んできた。
「見えないなら……見えるようにすれば、良いのでは?」
「?!」
ガロンは絶句していた。




