ある神官の成長日誌 〜ジュール編〜 18
ジュールの脳内メモ。
“ガロン様……お熱を出さないと良いのですが……。あら? バルナス様はなんて仰っていましたっけ?!”
爆笑も収まり、ドワーフのガロンが、説明を再開した。
「骨が繋ぎ目から外れて、プラプラしている場合は……」
ガロンは、手首をプラプラ振ってみせた。
「繋ぎ目に骨を押し込み、回復魔法をかける。押し込む技術は、ワシら神官よりも、薬師の得意技じゃな。この時の戦神様への願いは、外れた骨と周りの色々を、元に戻して下さい……となる」
「骨の繋ぎ目は、関節。外れてプラプラしているのは、脱臼……ですね」
「関節! 脱臼! 次に薬師と会う時、ハナシが進みそうじゃ!」
バルナスの解説に、ガロンが喜びの声を上げた。
ジュールが、自らの手首をプラプラさせている。
手首を固定した瞬間、彼女の瞳に、理解の色が浮かんだ。
“固定! 神官ではなくて、薬師の領域!!”
「体内で折れている場合、表からある程度、骨の位置を治す。その後、戦神様に願うのじゃ。骨を繋ぎたいので、御力をお貸しください……とな」
「体内で折れているのは、閉鎖骨折。骨の位置を治すのは、徒手整復……ですね」
ジュールは、自らの腕を触ってみた。硬いのが、骨?
“よく分かりません……”
「流石に覚えきれん!! 嬉しい悲鳴じゃな!」
ガロンは嬉しそうだ。そんな様子を見て、他の3人の顔にも、笑顔が浮かんだ。
「捻挫の場合も、閉鎖骨折と同じじゃな」
ガロンは、覚えた言葉を早速使っていた。
「戦神様に、捻った部分を元に戻したいので、御力をお貸しください……とな」
「願いの言葉が、負傷箇所により、微妙に異なる……この解釈で、あっていますか?」
ジュールの疑問に、ガロンが答えた。
「あっておる」




