ある神官の成長日誌 〜ジュール編〜 17
3.回復魔法、魔改造プラン?!
手元のカップを見つめていたジュールが、顔を上げた。
「ガロン様、お伺いしても?」
「なんぞ?」
ガロンはニッコリ笑っている。
“教え甲斐のある娘じゃの”
目の前の少女のひたむきな態度が、眩しいらしい。
ジュールの瞳は、キラキラ輝いていた。
「切り傷には、分割回復魔法が有効なのは、体感出来ました。治療時間を短縮することにより、皆様の生存確率が……跳ね上がるのが、分かります」
ガロンのみならず、魔術師のバルナスと、戦士のレイブンも、頷いていた。
ジュールが続ける。
「では、外から見えない負傷の場合は、どうなのですか? 具体的には、骨折とか、捻挫とか……です」
「その場合は、力技じゃ」
「力技……ですか?」
ジュールは、コテンと首を傾げた。
あれだけ効率に拘っていたガロンが発した言葉に、戸惑っているのだ。
ガロンは慌てず騒がず、説明を続ける。
「まずは、骨折の場合じゃ。骨が皮膚を突き破っている場合は、迷わず患部を切り開く」
「!!!」
ジュールは両手を口元に当てていた。ビックリしたらしい。
「骨が皮膚を突き破っていると、そのまま回復魔法を使っても、骨は繋がらん。切り開いて、骨を体内に戻してやる。この時に、ある程度骨の位置を調節しておくことが、治療の良否に直結するぞ。で、ある程度の位置調節が終わったら、戦神様に、骨を繋ぎたいから、御力をお貸しくださいと……願うのじゃ」
「開放骨折と呼ばれる骨折ですね。薬師も、同じように処置しますね」
魔術師のバルナスが、思わず口を挟んだ。
「あれは、開放骨折というのか。今日は、色々な用語と概念に触れられる日じゃ」
ガロンは、こう続けた。
「ワシ、頭の使いすぎで、熱を出すかもしれん!」
その場は、爆笑に包まれた。




