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ある神官の成長日誌 〜ジュール編〜  作者: くらま
2.分割ヒールを、ものにしろ。
16/36

ある神官の成長日誌 〜ジュール編〜 16

「意図した効果が得られない?」

 バルナスは、暫し考えた。

「血管の修復に必要以上の力が入って、筋肉と神経の修復に、力が足りなくなる……なんて感じですか?」

 ガロンは大きく頷いた。

「逆もしかり」




「周りの神官からは、良く言われたものだ。そんなやり方を追うよりも、普通の回復魔法(ヒール)の練度を上げた方が、確実だろう……とな」

「しかし、ガロン師は諦めなかった」

「戦場で戦友を助けるためには、ワシが分割回復魔法(ヒール)をモノにする必要が、あったでな」




「ガロン様」

「ん? なんぞ?」

 ジュールは、深々と頭を下げた。

「分割回復魔法(ヒール)のご教示、感謝いたします」


 対するガロンは……

「よいよい。お主の回復魔法(ヒール)の腕が上がれば、ワシら全員の生存確率が、跳ね上がるでな」

 ニッコリと笑っていた。


「はい。精進いたします」

 ジュールは小さく微笑んだ。次の瞬間、彼女の瞳に不安の色がさす。

「で、ガロン様。今回のご教示、報酬は……何をお支払いしたら……よろしいですか?」


「報酬?!」

 ガロンは鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をしていた。

「そんなモノは、いらんぞ」


「しかしっ!」

 ジュールは食い下がる。彼女にしては、非常に珍しい行為だ。

「ガロン様が血の滲むような努力と、信じられないぐらいの、長い期間をかけて体得した、究極の職人技です!!」

 息を大きく吸って、こう続ける。

「対価も無しに、ご教示されるワケには、まいりません!!」


 そんなジュールの言葉を受け、ガロンはニッコリ笑った。

「いいか、ジュール。お主の普段の献身、それに対する正当な対価じゃ。遠慮せず、受け取っておけ」

 ガロンは、ここで小さく苦笑した。

「最も、この程度では、お主の献身に対する対価としては、安すぎるがの」

 ジュールは無言で頭を下げた。

「お言葉、ありがたく」


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