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ある神官の成長日誌 〜ジュール編〜  作者: くらま
2.分割ヒールを、ものにしろ。
14/36

ある神官の成長日誌 〜ジュール編〜 14

「あの時は負け戦での。ワシは傭兵団の皆と共に、仮拠点まで撤退をしておった」

「仮拠点……ですか?」

 バルナスは、ピンときていない様子だ。

「傭兵団が戦場の近くに作る、食料と予備武器を集めた、仮の拠点だよ」

 戦士であるレイブンが答えた。一息入れて、続ける。

「仮拠点には、食料だけじゃなくて、非戦闘員もいる。飯炊きとか、回復魔法師(ヒーラー)とか、薬師な? だから、仮拠点まで戻れれば、治療が受けられて、命を拾える……」

 バルナスは、納得したようだ。

「話の腰を折ってしまいましたね。ガロン師、続きをお願いします」

「うむ」

 ガロンが続ける。

「ワシは、傷ついた戦友に対して回復魔法(ヒール)を使いながら、必死で撤退をしていた」

 ガロンは、ため息をついた。

「当時のワシは、普通の回復魔法(ヒール)しか使えなくてな。いま程、回復速度が速く無かった」

 ガロンはしばし言葉を発することが出来なかった。




「何人もの戦友を助けられず、途中で置いてきてしまった」


「………………」

 誰も皆、無言だった。




 しばらくして、ガロンが話し出す。

「仮拠点までたどり着き、一番重症の戦友を、回復魔法師(ヒーラー)の所まで連れて行ったら……」

「連れて行ったら?」

 レイブンが続きを促した。


「そこには、人間の回復魔法師(ヒーラー)が、2人控えておった。で、彼らは患者を左右から囲むと、同時に回復魔法(ヒール)を使い始めたのじゃ」

「そこまでの重症……ということですか? 1人では、間に合わないぐらいの」

 バルナスの問に、ガロンが答えた。

「否。1人でも、十分対処可能であったな」

「敢えて、2人で?」

「そうじゃ。敢えて2人で治療しておった。ワシは抗議しようとしたのだが、彼らの回復魔法(ヒール)の使い方を見て、息を飲んだ」

 ガロンは一息入れて、続きを話し出す。


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