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ある神官の成長日誌 〜ジュール編〜  作者: くらま
2.分割ヒールを、ものにしろ。
13/36

ある神官の成長日誌 〜ジュール編〜 13

「ガロン師に、お伺いしたいことがあります」

 ひとしきり愛するジュールを愛でたら、バルナスは満足したらしい。解放されたジュールは、真っ赤な顔でバルナスの背中に隠れた。


「ん? なんじゃ?」

 ガロンは、自ら鍋の湯をカップに注ぎ、茶を淹れていた。一口飲んで、顔をしかめる。ジュールの淹れてくれた茶よりも、かなり不味かったらしい。

「ジュールの分割回復魔法(ヒール)、点数をつけると、何点ですか?」

 バルナスは、そんなガロンの様子を意図的に無視した。

 ジュールも、バルナスの背中から顔を出した。その両手は、バルナスのローブを、軽くつかんでいた。


「ジュールの分割回復魔法(ヒール)?」

 ガロンは、ニッコリ笑って続けた。

「100点満点、いや、それを超えておるな。120点じゃ!」

 カップを置くと、小さく拍手した。つられて、隣のレイブンも拍手している。


「その評価の根拠を、お伺いしても?」

「今日初めて、分割回復魔法(ヒール)を使った娘じゃぞ? 最初の実践の時(ひるま)、粗削りながらも、完成させただけでも驚異的であろ? のみならず、先程はかなり洗練されておった。ここまで回復魔法(ヒール)の制御を、繊細に行えるような術者は、120点を付けても、なんらおかしくないからの」

「ありがとう……ございます」

 ジュールは、ペコリと頭を下げた。




「ガロン様は、どのようにして、分割回復魔法(ヒール)を思いついたのですか?」

 ジュールの目は、これ以上ないぐらいに真剣だった。

「ちと、込み入った話になるぞ?」

 ガロンが話し始めた。

「あれは、ワシが若い頃の話じゃ。ワシは、傭兵団の客分として、彼らと行動を共にしておった」

「ガロンのおっさん、昔からやってることは変わらないん(かわらねぇん)だなー」

 戦士であるレイブンが混ぜっ返す。


 ガロンは小さな身体を、思いっ切り……仰け反らせた。そして、こう続ける。

「ワシにとって、信仰とは、戦いじゃ。戦場という場所は、これ以上無いほど適した祈りの場である」

 ガロンの熱い独白が続く。

「傭兵団の客分という立場は、ワシにとって、非常に居心地が良いからの」


「これで……」

 レイブンが続けた。

「戦闘狂じゃ無い(じゃねえ)ってんだから、おかしいよな」

 レイブンの呟きは、他の2 人にも共感を持って迎えられたらしい。うんうんと頷いていた。


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