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第6話 株式会社のしくみ

今日はPVが伸びているのでサービス、サービスうう……。

ブクマもポイントもそこそこですが、入れてくれた読者の方、感謝します。ありがとう。


「実は子爵。我が国の会社に投資をしてくれる人を募集している」


 そうケントは切り出した。アイデアは生前の商社で働いていた知識だ。


「会社ですか?」


 この世界にも会社という組織はある。多くは経営者が資金を出し、それを元に設備や原材料を購入し、そして人を雇って物を作って生産する方式だ。


 有限会社という形式だ。商売がうまくいかず、会社が倒産すれば経営者の資本が消し飛ぶ。

 ケントには金がない。この方式の会社は作れない。そこで考えたのは株式会社という方法だ。


「この会社に投資する人には、1株1ディナールで売る。但し、最低100株単位で購入してもらう」

「株とは何ですか?」

「配当をもらう権利とでもいようか。もっていれば、未来永劫、会社がある限りその利益の数パーセントが半年ごとに入ってくる」


「ほう……」


 ラクロア子爵の表情が変わった。これはもうかるかもしれないという臭いを嗅ぎつけたのだ。吉音もくんくんと鼻を鳴らしている。


(お前もか!)

「それでその会社の主な仕事は何ですか?」

「木材輸出と高級食材の輸出だ」


 ケントはそう答えた。口から出まかせのように出たが、これは頭の中で考えていた構想が飛び出た形だ。

 ケントの領地で現在、金になるものと言ったら木材とバステト米しかない。


「木材は分かります。王子の領地では唯一の有望産業でしょうから。問題はその高級食材ですね。一体、何を売り出すのですか?」


 ラクロアはそう突っ込んで聞いてきた。かなり興味がある証拠だ。ケントは手ごたえありと心の中で拳を握りしめた。


「まずはバステト米です。食べたことはありますか?」

「バステト米……ないですね」


 ラクロアは高級食材が米とは思わなかったらしく、少しだけ落胆したようだ。しかし、ケントはここで畳みかける。


「バステト米の生産量はわずかで、わがノースサンドリアの山岳地帯でしか栽培されていない。どうやら米なのに冷涼な気候下でしか栽培できず、我が国の特産物なのだ。食感はもちもちで信じられないほど甘く、おそらく米の常識を覆すもの。今まではこれが他の米と混ぜられて売られていたが、これを専売する予定だ」


 バステト米の良さをアピールする。ノースサンドリア地方だけの特産品だけあって、希少価値は高い。

 ただ、問題はケントの言うように『非常に美味しい』のかどうかだ。富裕層に受け入れられれば、法外な値段で取引され、会社の利益は莫大であるが、受け入れられなければ、ただの主食の米だ。


「王子の株式と言う仕組みは興味があります。どうでしょう。今度、投資家の仲間にも声をかけてみます。そのバステト米とやらも試食させてください。どうでしょうか」


 これはチャンスである。

 ケントは真っ暗なトンネルの先にわずかな光がさらに大きく見えた気分である。


「分かった。すぐに会社の説明と株式発行の計画。そして高級食材の第1弾としてのバステト米の試食会を催す。投資家を集めてくれるとありがたい」

 

 ケントはそうラクロア子爵に懇願した。子爵も大きく儲ける種を見つけたという感じで、投資そのものはまだするとは決めていないが、興味はありそうであった。


「主様、株式と言う仕組みは面白いズラ」


 ラクロア子爵の屋敷からの帰り道。吉音はそうケントにそう感想をもらした。守銭奴の吉音に興味をもってもらえたのは、金を集めようとしているケントに取っては悪くないことだ。


「金を貸すだけだと、返してもらったらそれ以上は利益が得られないズラ。株を保有している間は未来永劫に配当金をもらえるというのは投資家としては魅力的ズラ」


「広く金を集めるという点においては、株式会社は優れた仕組みだ。もちろん、業績が悪化すれば配当はないし、倒産すれば株は紙くずだ。だが、業績が上がれば配当金は上がるし、何よりも株自体の値段が上がる」


 株式投資の魅力である。株はそれそのものに配当という利点があるが、大きく儲けるためには株の売却という方法もある。


 初期は1株1ディナールで売るが、この株を欲しい人が増えれば1株が倍にも10倍にも100倍にもなるのだ。

 恐らく、ラクロア子爵はそこまで計算した上での食いつきだったのだろう。そうだとしたら、彼はこの構想に乗り気であることになる。


「投資家をどれだけ集められるかだ。儲かる場合は最初に投資した者はかなり美味しい立場になる。資産が10倍にも100倍にもなるからな」


 新興企業の投資はリスクも伴うが、その企業が成長した場合は莫大な利益を生むことになる。


(初期のアップルやアマゾンに100万円投資をしていたら、今頃は億万長者だった)


 ケントは転生前を思い出した。結果を知っていればこれほどぼろ儲けはないのであるが、多くの新興企業は成長できずに倒産する。


「吉音、すぐに株式会社を興す準備をするぞ。投資説明会を行う。人手が足りない。ニケもオトワも手伝ってもらうぞ」


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