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第三十三話 「カリスマ理事長」

「ふぅ・・このぐらいボケればもう緊張も無いんじゃないかな?」


「えっ・・あっ・・確かになんか心に余裕があるわ」


「んふふ!私も君もさっきまでちょっとおこ!おこ!・・だったからね!」


何その動き可愛い、両手をブンブンさせて怒っているところを表現させるの可愛い。

山田は可愛い、異論は認める。


「だーかーらー・・私がイジってあげることで君のストレスは解消・・そして君はツッコむ事でストレスどころかクソ真面目な堅物魂解除!ハイ、これでもうノンストレス・・というわけだよ!」


「そんなビシッてやられても感謝の気持ちも何もねぇぞ・・てか説明されるとそれはそれでムカつくな」


「なんでぇ?!私のおかげで気持ち晴れたぜ!じゃないの!?なんでぇ!?」


「・・ッさて・・なんでだろうな?」


「あーニヤニヤしてるぅッ!!笑ったな!私が怒るの分かってコノコノ~!!」


「分かったよ・・やめろって・・ッッ!!」


「もおー!笑うなーッ!」


コイツは本当に最高の友達・・いや親友だ。

幼馴染だからこそまるで長年生きて来た者の様に意思伝達し。

互いが互いの気持ちを理解し合える最高の仲だ。

笑って怒って・・それが互いの中で平等にしっかりとできる仲。

俺にとって最高の親友だ。


「ふぅ・・山田のおかげで本当に緊張が取れたし・・行くか」


「ちょいちょい・・最後のは君が自己満足でやっただけだろ?全く~」


「悪かったよ、今度ジュース奢るよ」


「いいの!?やったー!私も奢ってあげる~!」


「お前本当にブレねぇな」


「ブレてるのが私だからすでに手遅れだからねッ!」


「全くだ」


「んふふ!」


やれやれと思ってしまい、ふとコイツを見るとなんだか緊張が馬鹿らしくなって来る。

本当にこいつは周り空気を変えてしまう凄い奴だわ。

見た目とか本当に大人しくしていれば超美人なのにさ。

一見本読んでいる時とかクール少女なのにさ。

いざ、素が出ればこの通り・・いや、コイツのこれは暗く考えない方法ともいうけど。

とにかく、コイツのこのテンションに今回も助けられてしまった。

それを無駄にしない為にも・・今このドアの向こうへと進まなければな。


「よし・・今度こそ・・本当に行くぞッ!山田!」


「うん・・行こうか!きっくん!」


さあ、もう漫才も痴話げんかも十分済んだ。

覚悟を決めて・・いざ・・ノックッ!


コンッ!!コンッ!!


少し強めに・・相手に迷惑がかからないくらいの音に力を微調整。

そして、ドアを叩いて背筋と姿勢をピシっと戻す。

そこから返事があるまで何も動じず動かない。

しばらくと言わず、すぐに返って来るはずだ。


『入りたまえ』


声がした・・若いな、一体どんな人だったか。

俺も少しぐらいしか見た事ないし、声もどんな風だったか詳し覚えていない。

印象が薄い人じゃなかったのは確かなのだが・・。

とにかく、入って見れば分かる事だろう。

意を決して・・行こう!


「失礼します!」


「失礼します!」


俺が一つ挨拶を入れると続くように山田も挨拶を入れる。

そしてガチャリとドアを開けて両ドアのうち右のドアを開けて。

迅速に雑音を鳴らさずドアの前でまたピシッと体制を立て直す俺と山田。

完璧だ、さあ・・目の前にいる人物は一体どんな人物・・。


「待っていたよ・・君が・・英雄だね?」


「お・・おお・・」


「わ、若いッ!!」


「初めまして・・僕は【香面(かめん) 内藤(ないとう)】だ・・よろしく」


そこにいたのは・・超若手理事長ッ?!

こんな近くで見るからこそ・・聞くからこそ分かるッ!

この理事長若すぎだし・・カリスマイケメンすぎかッ?!


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