第三十一話 「この先理事長室につき注意」
「さて、通路の突き当りにあるこの謎の圧迫のオーラある部屋こそ・・理事長だ」
「ここが・・理事長室」
歩いて話していると本当に時間とは感じさせてくれないモノだ。
ここまで、本当にあっという間についてしまった禁断の部屋のドア理事長室。
その奥では何が行われているかサッパリ分からず。
入った者は数えるほどの者のみと来た。
その姿も入学式ぐらいしか見かける事は無く、ミステリアスな一面を持つ。
普段から部屋から出る事は滅多になく、出て来ていれば奇跡と言われるほど。
そして何よりいないにも関わらず漂うプレッシャー・・これが理事長のオーラ。
まさに、ラスボスと言わざる負えない。
「い、いざ・・入ろうとなると緊張するなぁ・・本当に入るの?大丈夫?これ入ったら謎の生命体に殺されない?中では血が沢山広がってたりしない?実はマフィアのボスが両手をのせて待ってたりしない?中ではサンドイッチ工場があったりしない?」
「しないよ、安心して・・私も一度は入って・・その時はオムライスを作って待っている新妻でも無駄にカリスマ臭があるのにも関わらずブラックコーヒーを飲んでゲホゲホっと喉をむせらせる藤宮ちゃんもいなかったから」
「そ、そうか・・砂糖でも入れればいいのに・・」
「隣に佐藤はいたんだけどね・・」
「斎藤さんはいなかったの?」
「いたのは佐藤だけさ」
「そうか・・安心したぜ」
「私もだよ、きっくん」
ごめん、何の会話かも忘れたし。
この後なんて言うかも忘れた。
と、とにかく今は理事長室に入る事を・・専念しなけば。
失礼の無い様に・・とりあえずノックして入ってどうぞ的な流れをしなきゃ。
よし、深呼吸・・落ち着け・・落ち着け。
吸って吐いて・・吸って吐いて・・。
「よし・・」
「行ける?」
「行けるッ!ノックして・・返事を待って・・そしたら入る!」
「よし!イメージバッチリだねきっくん!」
「案外・・常識はある方だからね・・これぐらいはイメージしておかんとな」
「うんうん!生徒会に入っているだけあるね!感心感心!」
コイツは理事長室だっていうのに気楽そうだな・・逆に助かるけど。
これぐらい余裕を持っていける人間になってみたいモノだ。
流石に山田並は何十年かかろうと難しいけど・・いや、ならなくていいや。
俺は俺なりの余裕のある人間になればいいだけ。
よし、そうと決まればこの理事長室を入るのも容易にやってやるぞ。
俺はできる・・男を見せてやる。
昔は店員が怖くて会員カードを作るのも誰かの同伴じゃなきゃできなかったが。
昔の様な何もかもが怖い日の俺ではなくなった事を山田にも見せつけてやるッ!
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Ps.先輩達が理事長室の前でだべるだけの回ですいません・・。
山田より。




