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第百六話「最悪の襲来」

これは、ほんの数日前。

海王咲がまだ、テストで工作もするとも言っていない。

あの謙虚に今でも努力を惜しまず尽くしていた頃。


「さあ!みんな!今度こそ私達が生徒会長となり!頂点を目指すのよ!」


いつものように元気に振る舞っていた海王咲の姿。

そして、それに微笑み応える四天王のメンバー達。


「ウイッス!俺っちも頑張るぜ~・・千蝶の為なら何処までお付き合いしますぜ!」


ノリでお調子者、一見軽そうでチャラい様に見える彼の名は【東海 比叡】。

見た目は褐色肌、銀髪のショートヘアーでストレートな髪形だ。

口癖に【美しい】なんて事を言葉に挟んだりする。

芸術家という名目でなぜか【手品師】である。

よく放課後や昼休みの合間に手品を見せに総合会場に顔を出している。

学園内ではカップル作りの伊達男なんて言われている。


「ああ、俺達は何処までも行さ・・俺達はお前に誘われこの海王咲四天王を作った」


続けざまに喋った美形で凛々しい金髪ストレートショートヘアーの彼は。

アスペルガー症候群・LD・自閉症スペクトラムの三つを少しずつ持った障害B2持ち。

通称【育成の天才】その名は【西海 霧島】。

いつも物静かだが、その裏では特別級の世話をしており。

勉強のできない子達にいつも勉強を教えている。

この障害を持っているにも関わらず。

努力だけで全てを緩和して来た男だ。

が、自分の勉強は全く進まなかったりする。


「ウン・・ここ凄く楽しい・・私・・嬉しいよ・・リーダー・・最高の友達」


彼女は【南海 金剛】である。

褐色の白髪ロングヘアーでモフモフとかなり長い髪の毛。

上の両端がピョコンと犬耳の様に立っている。

普段や体育の時にも欠かさず身に付けているのは。

手首の長さまで体を覆い隠す白いマント。

普段から制服はシャツと短いスカートで整えており。

寒さにも暑さにも対抗できる。

チーム内では勉強より体育専門。

喋り方が人によって異なるらしい。


「四天王って所がなんだか意味不明ですけど・・私もここの居心地は良いです」


最後にむずがゆくもまんざらでもない顔をする者。

彼女はロシアの帰国子女【北海 榛名】である。

彼女は白肌のアルビノで銀髪のセミロングヘアー。

いつも口が隠れるほどのマフラーをしており。

後ろの髪の毛を黒のリボンで結ぶ。

学園内で手には皮グローブ、暖かそうな白コート。

スカートはチェックの黒でタイツを着ている。

何故、春のこの頃にそんな恰好をしているか。

彼女は生まれつき【どの環境でも温度が低い】のである。

つまり自ら体を冷やさない為、あえてその様な恰好をしている。

なにかをする時は専用の服に着替えたりする。


以上が個性豊かな海王咲のメンバーだ。

頼もしくも、自由で気さくな人達ばかりだ。


「ばっかおめぇ!こういうのはノリなんだよッ!ノリ!」


「そうだ、榛名・・そんなありがちな質問いくらでもある・・何故四天王なのか一体何のための四天王なのか・・」


比叡はこのようにテンションが高くムードメーカーの様な行動をとり。

霧島は周りの意見をまとめる一言を発言する。


「疑問・・生まれるばかり・・謎も深まる・・ばかり・・ぬぬ」


「はは・・まあまあ!名前がどうあれ私達は海王咲四天王でありチーム!それにほら・・言ったでしょ?私達には奇跡の東西南北が揃っている!東にも西にも南にも北にも私達は何処にでもいける・・何処までも・・導ける・・そんな存在よ!」


そして、いつも海王咲が最後に完結にまとめる。

まさに意気投合したチーム関係である。


「うーん・・美しいね~・・いつ聞いても素晴らしい言葉だ」


納得して目をつぶ感動する比叡。


「・・ああ、この言葉があるから・・俺達は生きていける」


フッと笑い、いつも通りだと安心する霧島。


「いける・・何処までもリーダーを導くし導かれる」


ニッコリと笑い、優しい言葉をかける金剛。


「そうですね、とって・・も心に響く・・暖かい言葉です」


やっぱりまんざらでもない顔を浮かべる榛名。


「・・みんな・・ありがとう・・この言葉はいつまでも大事にしましょう!」


こうやってこのチームはこれからも沢山の困難があっても。

みんなで支え合って行く、そう決めていた時・・絶望は来た。


「邪魔するぞッ!?おお!!いたか!」


そう、堕舞黒の訪問である。

予期せぬ訪問者に戸惑う一同。

当然である。

堕舞黒にとってここは関係のない場所。

ましてや、関わりのない場所であるはず。

にも拘わらず嫌われ者が何しに来た。

そういう雰囲気なのである。


「ッ!?堕舞黒ッ!?なんの様!?」


「ちょいとお前ら海王咲グループに様があってさ・・」


慌てふためく海王咲だったが。

相手は特に権力も弱みも持ってない堕舞黒だ。

ここは強めに行ってご退場願おう。

そう思っていた。


「お断りよ・・アンタ・・前にも・・犯罪的内容を私達にやれとか言ってたわよね?生徒会の一員でもある私達がそんな事に加担するとでも!?」


当然の如くキリッと引き締まった顔で断る海王咲。


「美しい・・くないね~・・ほんま草生える奴やで」


感動していた所をぶち壊されて目を見開き鋭い声質になる比叡。


「帰れ」


机をバンっと叩きながら怒りを露わにする金剛。


「気色の悪い薄汚い豚が・・」


ゴミを見るような目で座りながら罵倒する霧島。


「消えてください」


真顔でいつも通りの言葉の暴言を吐く榛名。


一同、これには全否定の回答であり総回答の結果。

満場一致で否定の返事であった。


だが、この時まで一同は恐ろしい裏がある事が分かっていなかった。


これで堕舞黒も引き下がるかと思ったその時。


悪魔 は 微笑んだ


「おお・・いいのか?そんな事言ってると・・ほれ」


隠していた電子端末を机へ投げて見せびらかす堕舞黒。

投げられたと同時に画面が明るくなり何かの映像が流れ出す。


「タブレット?こんなモノ見せてなんにな・・・ッ!?」


そこには、驚愕の光景が広がっていた。

一同が強がっていたにも関わらず。

その映像で、一同全員が困惑・混乱する。

何が起こっているのかサッパリ分からなかった。

どうしてこうなってしまったのか分からなかった。

認めたくなかった。


これが ただの 悪夢 で 欲しかった。


「そこにちょっとパパと友達の力借りてさ~・・今は大人しくしてもらってんだけど・・施設の職員と子供達に悪いけど・・どういう風に玩具にしてやろうかな~?」


そこに広がっていた光景とは。

【海王咲がお世話になった施設】の【子供や職員】が。

椅子に開脚させられて拘束されていたり。

手錠をかけられて監禁させられていたりしていた。

その他、完全に堕舞黒の趣味でキツイ性的な拷問の様子。

夢でなければ一生見たくはない、いや夢でも見たくはない光景。

そんな悪夢が何画面も映し出されていた。


「や、やめてよッ!こんなの酷いよッ!縄で縛ったら子供達も・・先生も可哀想だよッ!お願いッ!手錠を外してあげてよッ!」


もはやいつもの状態ではいられなくなり。

取り乱す榛名、彼女もまた施設育ち。

ゆえに慌てふためくのは仕方がない。


「落ち着け榛名ッ!これは罠だッ!なんかの間違いだッ!陰謀だッ!」


霧島もパニック状態でもはやどう解釈すればいいのか分からない。


「う・・美しくない・・実にお前は美しくない・・」


比叡も指の爪をかじって考えこむ始末。

金剛にいたっては耳を塞いで何も聞こえない様にする。

目もモニターから背けてじっと何も見ない様にする。

ただ、ガクガクと震える体に【大丈夫・・大丈夫・・】と。

自己暗示をかけるほど、困惑に追い込まれていた。

本格的にチーム全体が危ない状況へと向かう。


「・・何が目的なんですか?」


青ざめて精神が不安定になった海王咲は。

ついに丁寧に語になって堕舞黒のご機嫌を取り始める。


「説明すんのメンドクサイからさ・・簡単言うとテストで一位にさせてくれよ・・俺生徒会長になりてぇからさ・・」


「ふざけないで、私がそれをやるとでもッ?」


「やらなくてもいいけど・・その場合はこの画面上の大事な人達はどうなっちゃうかな~?」


相手の精神を壊すくらい気味の悪い笑み。

強く出れない事を見越したうえでの人質。

当然、世話になった人達を見捨てる事はできない。

そもそも画面に映っている光景だけでも我慢の限界。

海王咲はますます顔色を悪くして睨む。

両手を膝の上でギュっと握り、親指で人差し指の先端から。

血が出るほど握りしめていた。


「・・アンタ・・それがいつまでも通じるとでも?!」


「ああ・・はいはい・・分かんない奴には分かんないもんな・・」


この言葉の意味は【この学園には理事長という存在がいる】という事。

たとえこの作戦が上手くいったとしても、後に理事長に言えば。

遅かれ早かれ貴方の人生は終わるという意味だった。


だが、みんなの予想は斜め上を行く。


「分かる分けないだろうがッ!堕舞黒ッ!調子に乗るならこの霧島容赦は・・」


霧島が自我を保ちながら一声放とうとしたその時である。


「このもう一つのタブレット見てくれよ・・コイツを見てどう思う?!」


「・・・嘘」


「これって・・これって・・」


「美しい理事長の奥さんじゃねぇかッ?!それに娘さんまでッ!」


そう、画面に映っていたのはアダルトグッズで遊ばれていて惨く汚れきった姿。

それは例えるなら撮影された成人向けビデオでも撮影したか。

という具合の鬼畜拷問映像が流れていた。

手錠を付けられて尻がつかない具合にしゃがませ。

果てには目を隠して猿ぐつわ。

もう、何もかもが信じられない光景である。

こんなモノを見せて聞かせてただで済むはずがない。


チームはさらに困惑の渦へと飲まれていく。


「イヤァァァァッ!どうしてよ!貴方どこまで・・どこまでッ!!」


榛名は悲鳴を上げて、絶望の眼差しで睨み恨みを見せる。


「ハハハハッ!?んんん?何か?これが僕の戦いだもーん?勝つ為ならどんな手段も択ばない・・その為なら理事長の娘と妻を人質にこの学園を支配する・・そうしなきゃ!俺はパパに迷惑かけちゃうんだよッ!お前らだってパパの政治に無能な息子がいたら嫌だろ?!だから大人しくみんな俺に協力しろよッ!俺がこの世で一番偉いんだッ!」


「そんな分けないッ!貴方は間違っているッ!こんな絶対に間違っているわッ!第一こんな勝利・・貴方プライドってのは無いの?!」


堕舞黒の高笑いに何処までも怒りがにじみ出る海王咲であった。

もはや目も当てられない、口も出せない、反論の言葉も思考も停止。

こんな状況の中でもまだ海王咲は諦めては無かった。


だが、これが惨劇を生み出す・・きっかけとなってしまう。


「ないねぇ・・つかまたお前反逆したな?」


たった小さな恨みでも容赦なく怒りの反応を見せる

器小さきデカき男。


「するに決まっているでしょ?!大事な大事な子供達に手を出されたら・・」


「じゃあ・・こうなっても良いのか!?」


『ん゛っー!?んん゛?!』


海王咲の怒りと憎しみの態度にイライラする堕舞黒が取った行動は。

1人の少女を画面越しに映し強引に股を開脚させる。

絶望の目と涙を流してこれから何が起こるか分からない少女は。

ただ、ガムテープで塞がれた口で叫び。

拘束された両手と体で抵抗をするのみだった。


「や、やめて・・ッ!やめなさい!何しようと・・」


危険な香りしかしない状況にパニックに陥る海王咲。

その予感は見事に的中する。


「何って・・この子可愛いからさ・・今から撮影しておけば・・高く売れるぞ・・童子ポルノ・・げへへ・・職員にもいいのが沢山いるじゃん・・ケケッ!!」


その答えは地上最も最悪最低な答えであり。

最も考えてはいけなかった人類の恥の姿である。


「アンタ・・最低ッ!」


その行動ど発言についカッとなって発言してしまう海王咲。


これが 悲劇を もたらす。


「おい、やれ」


『ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ッ!!!!!』


グチャ


悲鳴を上げて助けを求める少女の純潔に一手。


グチャ・・グチャ・・


また一つ、また一つずつその純潔は失われる。


そして・・最後。


グチャリッ!!!


醜く、汚く、汚れきった大人の欲望がそこに繋がった。

画面は飛び散った純潔と汚れた液が飛び散った。


「ああ・・嘘嘘・・嘘よ・・あの子・・七歳・・なんだよ?」


海王咲は床に足をついて絶望する。


「・・・悪魔め」


霧島は頭を抱えて何も考えられない。


「下劣・・」


比叡も目を閉じて腕を組み何も見てられない。


「見てられない・・」


涙を流してこの状況に嫌になった榛名。


金剛はもう、泣きながら【助けて】とひたすら言う。

それしかもうできないくらい精神が壊れている。


「協力するよな?海王咲・・さん?次はこの子の処女だけじゃすまなぞ?」


もう、今の海王咲にまともな思考は残ってない。

ただ、みんなを守らなきゃという思考だけで動く。


「・・・わか・・ったわ」


震える口に鞭を打ってなんとかその言葉を開く。


「分かりましただろうがッ!?もう一人も開通させろッ!」


あまりにも理不尽な答えが返ってくる。

そう、もはや今の堕舞黒に大人しく従おうがなにしようが。

もう、手遅れなのである。


『ン゛ン゛ッッッ!!!』


グチャリッッッ!!


今度の悲鳴は泣き叫ぶ声がガムテープ越しでも大きく響く。

耳にざわつくぐらい生々しい叫び声。

これにはもう、精神が壊れていく。


「分かりましたッ!すみませんッ!もう絶対に逆らいませんからッ!お願いしますッ!」


もはや足にしがみついて泣き命乞いをするかの様。

たとえもうみっともなくても救わなきゃ。

そう使命感に駆られて土下座でもする構えだ。


「分かってんならさっさとそうしとけよッ!このメス豚ァッ!!!」


ガッ!!


ついに、堕舞黒にひと蹴りされて腹を狙われる。

この時から、もうこいつは反逆ができない。

サンドバックだと思われてしまった。

堕舞黒に分かるはずもない。

この時の悲しみも恐怖も痛みも苦しみも。


理解 できる はずが ない。


「うがッ・・」


「海王咲ッ!!!」


「ひどいッ!リーダー殴るなんてあんまりだよッ!」


「あ゛あ゛!?てめぇの発言が気に食わないから・・もう一人」


たとえ苦しみもだえる海王咲がいようとも。

周りが反論するなら容赦はしない。

人質を次から使いとにかく海王咲を材料に。

周りもどんどん調理していく。


「待って・・・すみません・・後で・・後でキツく・・言っておきます・・今は勘弁して・・ください・・おねがい・・します・・お願いします・・」


もう、何もできない。

もう、反論できない。

もう、考えられない。

もはやこの時の海王咲の絶望は生まれて一番モノとなっただろう。


何もできないし力でねじ伏せられるというのはこういう事をいう。


「・・分かった」


「ほ・・本当に?」


この時、海王咲が自ら土下座もして苦しみ絶望に浸っていた所。

こんな状況許されなかった時私はもうどうにかったなってしまいそうだ。

そう思い、苦肉の策でこの手を選んだ。





「・・ウッソーッ!!やれぇぇぇッ!!」


『ン゛ァァァッ!!』


「・・・そ・・そんな・・」



現実は儚い。

こんなクズの塊にそんな命乞いは通用しなかった。

彼は自分が面白ければ誰だって理由して。

人の感情を面白半分で玩具として遊ぶ。

これが、堕舞黒の正体だ。


「分かったか?逆らえば命は保証するが・・どんどん汚れて傷を付けていくぞ・・これ以上されたくなければな・・俺に逆らうんじゃないぞ・・?」


「・・・はい・・・分かりました・・堕舞黒・・様」


黒い渦に目が飲まれていく瞬間だった。

もう、何も・・考えつかなかった。


「それでいいんだよッ!来た来た!俺の天下が来たよッ!いいねぇ!始まりだよ!これが俺のッ!天下の始まり!イェェェェェェ!」


この時の海王咲は手から血をドロドロと出して。

悔しいあまりに憎しみしか考えられなかった。

だが、この時から・・徐々に違う思考も考えていた。

必ず、堕舞黒に勝ってやるという大きな目標を抱えて。


 ◆


「大雑把に言ったけど・・こんな感じよ」


「・・・なんて野郎だッ!!!」


許せない・・許せるはずがない。

罪なき者達を拉致監禁した挙句の果てに権力を使い。

あらゆる手で暴動を起こす。

こんな・・こんなクズ野郎が現実にいたなんて・・。

海王咲・・お前陰でそんな悲しみを・・。

俺は・・一回でもお前の事を怒りに任せて怒った時。

あの時・・お前に八つ当たりしてしまった俺は・・ッ!!


なんて・・最低な野郎なんだッ!!


NEXT


お詫び

多事情により北海榛名ちゃんの見た目に変化を入れました。

ご迷惑をおかけします。

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