第百五話「真実の談」
「が・・がが学園が乗っ取られている!?どういう事だよおいッ!」
「そのまんまよ、この学園は完全に支配されているの」
「いや、分かるかァッ!」
衝撃の新事実、まさかの学園が乗っ取られているのであった。
いやいや、待つんだ・・そんな急に言われて信じられるか。
いや、まず信じてたまるか嘘だよね?
だって学園乗っ取るという事はあの理事長を差し押さえ。
この学園を完全に思うがままに・・思うがままに?!
「気づいたかしら?何故、この学園の経営側でもない彼【堕舞黒】がこの学園を思うがままに使い始めたのか・・それは裏では着実に工作と侵略が働いていたのよ」
「なんですと?!」
「アンタらが馬鹿みたいな日常生活を送っている一方で私達は堕舞黒の下で【テスト工作】をしていたの、それが山田さんが本当にテストで最下位を取った理由がこれね」
「なっ・・お前らの仕業だったのか!?」
・・にしては少し悪気があってやった様には見えないな。
ま、まさか海王咲の方も・・操り人形となっていただけなのか?
「謝って許される事では無いのは十分に分かっているわ・・けどね・・たとえ貴方に恨まれてもやらなくちゃいけないの・・こっちにも守るべき者がいるから・・」
「やっぱりか・・お前なんかおかしいなあ・・って思ったら・・何を人質に取られた?」
「・・・・せつ」
「えっ?」
なんだ・・今何か小さな声で何かを呟いた様な。
そして、何故だろう・・とても険しく悲しい表情で何かを見るかのように。
空を見上げて、おもむろにぐらつく椅子に座っている子供を見るような・・。
「も、もう一度言ってくれるかな?」
「施設の・・子達よ」
「施設の子達?」
「そう、私・・その施設で育ったの・・ずっと前から・・ね」
「そ・・そうだったのか・・」
海王咲の育った施設・・。
びっくりだな、お嬢様の様な恰好しているから。
てっきり裕福な家系のボンボンかと思ったけど。
「私ね・・親に捨てられた子なの、ずっと前から・・親は私の事を【貧乏くじ】だなんだ言って・・母親と父親は私を置いてどっか遠くへと消えて行ったの・・そんな時・・私をもらってくれた施設がそこ・・ヒカリ園よ」
「ヒカリ・・園」
「今じゃ修理費も全然払えなくてオンボロ施設とか言われているけどね、私はアレで気にってんのよ・・金剛とも一緒に遊びに行っては治してるしね」
「金剛?」
「ああ・・知らないか、まあ今日後で来るから・・顔だけでも覚えておきなさい」
「お・・おう」
なんだかとんでもない過去と事実を聞かされている様な気分。
いや、事実聞かされているんだろう。
聞いたの俺だけど。
本題はここからだよな、さっきの話だとコイツが堕舞黒に従う理由って。
その施設が関係しているらしいけど・・。
「・・ここまで私の施設の話はしたわよね?じゃあ本題・・私は本来なら貴方の妨害だってしないし、山田さんの妨害だってしない・・真っ向から一位を狙いに行く予定だったの・・でもね、ある日突然の如く最悪は舞い降りたの」
「最悪?」
「・・そう、忘れもしない・・あの・・悪夢の日」
海王咲の表情がまた一段と険しくなる。
その鋭い瞳に・・何を見ている?
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