第百話 「逆転の光」
「グッ・・これでは下手に手が出せないではないか!」
事態は停戦、今か今かと互いに睨み合いを続けるマリア先生とその他SP達。
この固着状態が続いて数分が経つ、俺としてもそろそろ海王咲を運びたい。
というのが本音なんだが・・。
「(ヤナギハラクン・・ココはセンセイニマカセテ・・サキイケデース!)」
「(先生ッ!?だが・・俺は女の子を見捨ててここから立ち去る事はできないッ!できるわけがない!)
「(хорошоッ!デモ・・モン・ダイ・ナッシング!ワタシ・・ツオイデス!)」
「(先生・・)」
なんて優しい表情で言いやがる。
そんな事言うからますます置いていくわけにはいかないだろう。
俺だってもう後戻りはできない。
一度手を上げた責任は最後まで果たさないといけない。
これは最初から俺の責任だ。
「先生・・アンタの気持ちは分かる・・けどこれは・・」
「これは・・俺の問題だ?って言うつもりか穏和野郎・・」
「ッ?!その声・・武蔵か?」
「その通りだ・・ボケェ・・」
俺が拒んでいる間に後ろからまさかの武蔵の登場?!
腕をボキボキと鳴らして今にも戦闘への参加の気合を見せつける。
確かにあの時の武蔵も強かったからいけなくはなさそうだが・・。
いや、そういう問題じゃなくて・・。
「武蔵・・先生ならともかく生徒であるお前が・・」
「心配すんなよ・・俺だって普段から鍛えられている」
「ム、ムサシクン・・マタムチャオクンスルキデースカ?」
ほら見ろ先生も焦り気味だよ。
そりゃあ心配もするよな、自分の担任がSP相手に喧嘩ふっかけようとしてるなら。
「武蔵君、引っ込んでなさい・・ここは僕が教師としてみんなを守りますッ!」
「(こ、今度は・・鬼瓦先生?!)」
気づいたらどんどん人が集合していくんだけどこのステージ。
武蔵の肩をポンと叩いて、一歩一歩勇敢に前を歩いていき。
マリア先生を右手を伸ばしてかばい、一番先頭に立つ鬼瓦先生ッ!
「糞眼鏡ッ?!てめぇ・・なんもできねぇくせにいっちょ前にかっこつけてんじゃねぇぞ!」
「こ・・こう見えて・・僕だって男ですよ!仲間も・・生徒も夢も守れずして何が教師ですか!僕は未来と光を見る子供たちにこんな恐怖を見させるわけにはいかないんだ!」
「オニノセンセェ・・」
「戯言言うだけだろうが眼鏡ェッ!チッ・・この糞眼鏡がッ!」
「(おいおい・・)」
お前は一体どっちの味方なんだと言いたくなるような発言だが。
これでも一様こっち側の味方だ。
「しゃーねぇ・・俺が強制的に退場させて・・」
バシィッ!
その武蔵野油断をついて一瞬のあて身ッ!
素晴らしい速度で瞬きする間もなく決まる。
「あふん」
「たく・・馬鹿生徒め・・後で補習だ」
「ディートリッヒ先生ッ!」
そう、そのあて身を決めた人物こそ我らがディートリッヒ先生ッ!
なんだか小さな希望の光から、大きな希望の光へと繋がって来た!
行ける・・この流れは行けるぞッ!
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