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明日への懺悔-05

ぜんかいのあらすじ~!


ついに一馬との対戦です!

果たして、どうなるのでしょうか…?

どうぞ、お楽しみください!

「ほほう…。我が後輩諸君もようやくご到着のようだね…」

俺はこの男に見覚えがある。そして、この男のことを知っている。

その男は、まるで何処かの牢獄の管理棟であるかのような部屋に、スーツ姿。ズボンのポケットに手を入れたままで陣取っていた。周囲には管理用のモニター、その中には… はっきりとは分からないが… 男性と女性とおぼしき人物がそれぞれのモニターに映し出されている。

「残念ながら少々人数が少ないようだが… 何か手違いでもあったのかい?」

含み笑いをしながらのいちいち勿体ぶったこの物言いがなんともいやらしい。

「おい、もし間違ってたら申し訳ねェ…。小原… 一馬先輩とお見受けしたが、いかに?」

俺は右京を抱き起こしながら、しかし目線はこの男に固定したままで問いかけた。

「おやおや、目上の人に対して『おい』はないだろう? そうか… キミが裕二の言っていた司馬クン… だね」

「これはこれはお見知りおきくださり、まっこと光栄…。で、一体コレは何の冗談なんで?」

「冗談などではないよ。全くの本気さ …見ていてわからないかい?」

「分からねぇな。アンタほどの経歴を持つ男が、一体何をトチ狂ったんだかねぇ…?」

「おや? ボクの経歴を知っているのかい? いやぁ、不思議だ。あんなに用意周到に経歴を消してあったのになぁ」

「…小原一馬… K大富野研を出た後自衛隊へ入隊、善通寺から千葉へと移り、特戦群に入隊。除隊後は米国MITへ留学を果たして脅威のスピードで卒業。で、現在フリーのニートってことぐらいっすかねぇ。…あんた、一体何歳だ?」

「随分と失礼な物言いだねぇ。キミ達がご厄介になっている鷲尾舞衣のふたつ上だよ、現在32だ。…おっと、そこは余計だったかな? …何にせよ需要があってね、そういう経歴を持たざるを得なかったのさ」

一馬はおどけて見せながら続けた。

「まぁ何にせよ、だ。よくぞそこまで調べ上げたものだ。ボクの部下に欲しいくらいだよ」

「残念ながら、これらは俺の仲間が拾ってきた情報でしてねぇ…。オレ一人ではとてもとても」

「そうかい? ならば、そのチームを総括しているキミをリーダーとして雇いたい、と言い換えようか?」

「昔の仲間を裏切るような輩は信用できねぇ。どっちにしてもお断りだ…!」

「…そんなに邪険にしなくてもいい。…交渉は決裂だね。さぁて、ここはどうしたものか…」

俺は右京を野村に任せると、二人を背に一馬と対峙した。


「…そんなにボクのことが嫌いかい?」

「大嫌いだね、虫酸が走らァ…!」

ひゅ…!

間合いの外から蹴りが飛んできた。俺はかろうじてそれをかわすと、目を見開いた。この男、間合いが分からねぇ…!

「気をつけろ… そいつ、JKD(ジークンドー)の使い手だ!」

右京が叫んだ!

二撃・三撃と風が鳴った。髪の毛一本の差でなんとかかわしてみせる。が、それ以上の動作ができない。


俺の使う流派は李氏八極拳という。相手の懐… 間合いに入ればニの手は要らずと言われる、必殺の拳法である。


しかし、欠点もあった。リーチが短いのだ。


確かに、八極拳にも箭疾歩(せんしっぽ)という技がある。一気に7~8mもの間合いを瞬時に詰めるというものだ。しかし、この箭疾歩はあまりにも高難易度な技ゆえに俺も成功した(ためし)がない。失敗したが最後、あの一撃で俺の身体が砕かれるのだ。それだけは避けなければならない。


一方の一馬は、その手をポケットに入れたまま涼しい顔をしている。そのまま軽くステップを踏むと、ようやく両手をポケットから出し… 右手を前に… そして、来い来いと誘ってみせる。


「乗るな! そいつの利き手は左だ!」

「!?」


賢明な諸君には解説が必要かもしれない。通常、おおよその拳法や戦い方というものは、利き手の逆を前に構える。相手の攻撃を避けて必殺の一撃を加えるという論法だ。しかしJKDにおいては利き手を前に出す。攻撃をされる前に先手を取るという発想だ。つまり、俺は一馬の利き手は右であると読み、構えた。


しかし、それが逆であったとすると大問題だ。多くの拳法は相手の体と並行になるように構える。だがこの場合、上から見てハの字になるようなポジションとなるのだ。こうなると、相手が左利きでしかもJKDの相手であれば、最短距離での攻撃を受けやすくなる…!


ひゅ…!

右から、正面から、蹴りが飛んで来る。本能で俺は後ろに飛んだ、そして、なんとか避けられたことを実感した。冷たい汗が、背中を伝い落ちる。


「なぁんだ、つまらないなぁ。せっかく楽しませてあげようと思ったのになぁ」

くくく… と一馬は笑った。


「…」

「さっきまでの勢いはどうしたの、ボク、期待してたんだよ?」

「…」

「なんとか言ってご覧よ、ほら?」

一馬はゆっくり一歩、二歩と間合いを詰めてくる。しかし…


幾度となく耳元で風が鳴る。その度にジリジリと後退以外の選択肢を与えてはもらえなかった。

やがて、バン!と背中が付いた。壁… !?


しまっ…!?

ドム!と音とともに振動が壁伝いに感じられた。コメカミのすぐ脇で、コンクリートの塗装がパラパラと崩れていくのがわかる。おれはそれを横目で見ながら、つばを飲み込んだ。いや、とうにつばなどカラカラに乾いていて、飲み込むことすら許されてはいなかった。

つまり俺は、…敗北したのだ。


「なぁんにもできないんだ。…興ざめだなぁ。ツマンネ」

「ぐ…ッ!」

涙が溢れ出ていた。身体は恐怖で震えていた。


「でも、よくもまぁここまで来れたもんだ。いいでしょう、及第点」

一馬は構えを解くと、ポン、と俺の肩を叩いた。

「この場は明け渡そう。可愛い後輩達とボクの目的のためだ。期待しているよ、司馬クン」


カツ… カツ… カツ… 

一馬が階段を登る音が聞こえる。情けなくも、この時になってようやく俺の身体は崩れ落ちた。

小原一馬… 俺は… この借りは絶対に返してみせる…!


◇     ◇     ◇     ◇

「おや? …なんで右京さんがいんのよ?」

ゴムボート繋船場に待機していた村川の、ようやく姿を見せた俺達に対する第一声がコレだった。

「事情は後で話す。右京さん、あんたにも説明してもらうぜ。よし、出せ」

こうして俺と野村、村川、右京、井上先輩、三田先輩の6名を乗せたゴムボートは第五大福丸の待つ中継ポイントへと舵を切るのだった。

ついに司馬無双が崩れました…!

これからどうなっていくんでしょうね?

気になりますねぇ?

それでは、今回はここまでといたしましょう。

さよなら、さよなら、さよなら♪

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