明日への懺悔-04
ぜんかいのおはなし~!
いよいよ井上・三田両先輩の救出に向かった司馬達でした!
おしまいっ!
実のところ、本来はここで警備員の着衣を拝借するつもりだった。しかし
「こいつ、コロン付けてやがる。この手の警備員失格だな」
という村川の一言で一着分は却下となった。
「万が一にも風下に敵さんがいれば、一発で居場所がわかるからな」
「へぇ~、そういうもんかねぇ…」
野村が要領を得ない表情で、制服を村川に渡した。
「で、まずは一着、と」
俺は二人にハッパをかける。
「次行くぞ、おい!」
「「異議なし!」」
◇ ◇ ◇ ◇
着衣を奪った場所から数十mほど離れたところにも三人。
「ちょっと待った!」
村川が小さく叫んだ。
「やっぱりこれを持って来てて正解だったぜ」
「どうした?」
「コレ、見てくれよ」
促されるように、俺と野村は村川の手元にある装置を覗き込んだ。
「お前、こりゃ赤外線スコープじゃねーか。安もんだから役に立たねぇって言ってたんじゃ…」
「いいから、これでそこの木の脇を見てみろや」
「おいおい、こりゃ…」
「真っ赤じゃねぇか…」
俺と野村は言葉を失った。確かに、立木の脇に広範囲で扇状に、激しく赤く点滅している何らかの装置がある。
「つまり、だ。赤外線探知機が仕掛けてあるってこった」
「でもさぁ、赤外線探知機のセンサーってこう… 直線に伸びたレーザーのような…」
野村が間の抜けた事を口にする。
「甘いね。だからもうちょっとちゃんと勉強しろって言ってるんだよ。そりゃ映画の世界での話だ!」
「アクティブ方式… だったっけか?」
そういや、俺もセンサーのことについて一応勉強していたのだった。
それにしても、こういう肝心な時に限って失念するとは!
「そう、連続的にレーザーを照射して、その反射を感知するってヤツだ」
「一成からまだ連絡はない… か。厄介だな」
「予定ではあと少しでセキュリティが落ちる筈なんだが…」
誰もが手元にある受信機のランプを見つめていた。まだ表示は赤を示している。
「…どうする? 強行突破するか?」
この脳筋が、頭から突っ込むなとさっきも言ったろうが!
「いや、待て。もう少しだけ待とう」
「まだか…」
じれたように野村が呟く。
「まだ『赤』だ」
俺は手元の受信機を何度も確認しながら、目で合図を送る。勿論、内容は『ステイ!』だ。
「まだ…、かよ…?」
流石に村川も焦ってきたようだ。
「まだまだ… よし、来た!」
受信機のランプが緑に変わった。同時に村川は赤外線スコープで件の箇所の確認をする。
「よし、こっちも落ちてる!」
俺は受信機のカーソルから『受信完了』のコードを送った。
「行くぜ!」
「おうさ!」
俺達は入れ代わり立ち代わり木々の隙間に隠れながら前進した。
そして、最接近した野村が一気に間合いを詰め… 対象の一人にバックブリーカーをかました!
「!?」
「あのバカ!」
村川が慌てたように間合いを詰め、もう一つのテイザー銃を射出する。対象二人目はこれで沈黙した。
残りの一人は違った。手にしたショットガンをかなぐり捨て、振り向きざまに殴りかかってくる。俺は右手で上方に受け流し、更に左手を添え相手の体を崩すと発勁とともに献肘を食らわせた。ドムっという鈍い音が辺りに響く。三人目の対象はそのまま暗闇の中へと吹き飛んだ。
確実に効いたはず…。 俺は構えを解かないまま、対象との間合いを詰めた。
確認する。対象は気絶していた。
「このタコ! だから考えなしに突っ込むなって言ったろうが!」
俺は小声でこの脳筋を怒鳴りつけた。
「だってよぉ、あれが俺の間合いだからさ…」
ダメだ。こいつのこの『シュン…』とした表情を見ると何も言えなくなる。
「まぁ… 運良く一時に対象全部を沈黙させられたからいいようなものの、下手こいたらお前の命がないって言ったろうがよ」
「まぁまぁ司馬さん。ここは早くこの場を片付けてしまいましょうぜ」
村川は警備員の制服を頂戴すると、手際よく縛り上げるのだった。
◇ ◇ ◇ ◇
俺達は今、正面玄関へと通じる正門前… その警備室の近くまで来ている。
手はず通りならば、この周囲をカバーするセキュリティ・カメラが一成の手で落とされることになっているのだが… これもまた手こずっているようだ。予定の時間より五分近く遅れている。素人にしてはよくやっている方かもしれないが、事これに至っては犯罪行為である。発覚したら井上・三田両氏の救出なしにはただではすまないだろう。
「よし、グリーン!」
俺の合図とともに、警備員の制服を着た俺と村山が野村を連行する。警備室内の警備員は三名。確認を取られる前に、落とす!
こうしてまた着替えて…俺と野村二名と、村山一名の二班に別れた。村山はしばらくココを死守した後にボートまで撤収、退路を確保する任務を負っている。俺と野村は村山に合図を送った後、この保養施設内への侵入を試みるのだった。
◇ ◇ ◇ ◇
「入ってしまえば、存外何事もないなぁ~」
この手の呑気な脳筋は、こういう時のムードメーカーとしてうってつけかもしれない。正直オレもホッとしている。
「でもな、気を抜くんじゃねぇぞ。俺の背中はお前に預けてあンだからな」
一歩… 一歩…
俺が赤鉛筆で記した場所へと歩を進める。そしてそこは…
「防火扉…」
「しかし、ここには部屋のひとつくらい入るスペースが有るはずだって…」
「待てよ…」
俺は静かに防火扉を開放した。そこにもう一つの扉があったのだ。
「ビンゴォ!」
俺はセキュリティ・カードスリットに一成から預かった装置を取り付け、装着完了のコードを送る。
一分… 30秒… 1秒がやたら長く感じる。
手元の受信機がグリーンに変わった。
「一成、ヤるなぁ… コレって網膜認識との組み合わせっしょ? 俺にゃまるで真似出来ねぇや」
苦笑いする野村に俺は一言、言ってやった。
「そん変わりな、野村よォ…。て前ェがココにいるんだ。ちゃんと理解れよ?」
「へへッ、ハイよ!」
おれはコイツのこういうところが気に入っている。単純で豪快、しかしその反面で小心者。実にかわいいじゃないか。
◇ ◇ ◇ ◇
扉を抜けると、地下へと伸びる階段があった。
慎重に、慎重に階段を降りていく。ここまで怖いくらいに何もない。一成がセキュリティを押さえてくれているというのもある
が、果たしてそれだけでココまで無防備なものなのだろうか?B1F…B2F…そしてB3Fに差し掛かった頃、目的の場所はあった。
ドム!
はじけ飛んだドアとともに飛び出したのは…
「お前… 右京? どうして?」
「随分と遅かったじゃないか。どうやら今夜ココを襲うだろうというので手伝いに来た…のだ」
右京の鋭い瞳はある一点を捉えたまま離れようとしない。その先には…
「ほほう…。我が後輩諸君もようやくご到着のようだね…」
という訳で、まさかの右京登場です。
これからどのようにお話は進んでいくんでしょうね~
気になりますね~
そういう訳で、本日のお話はココまで。
さよなら、さよなら、さよなら~♪
(淀川長治調でお読みくださるといっそう趣がフッ!?)




