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「儂がこの神域の長オーグじゃ。 話は息子のマキシから聞いた。 邪神アシャールを倒してくれたそうだな。 礼を言うぞマサキ」
目の前に居るナイスミドルがこの辺の神様を纏める主神オーグ様。
早速、俺の事を調べてもらった。
「お主、とんでもない物を持っておるのう」
「え?」
「お主が首に掛けている物、それには凄まじい神の力、神力の結晶”神晶”じゃ。 お主、それを何処で手に入れた?」
俺の持つこの水晶は神戸の高架下商店街で偶々占いの店で購入した水晶の勾玉(税込み2, 500円)のシロモノだ。 只、趣味の神社仏閣巡りで手水舎の水を掛けてお清めしまくったが。
「それじゃな。 お主のその行為が只の水晶に神々の力が蓄えられて神晶に変化したのじゃ。 恐らくその神晶がお主をこの世界に導き邪神アシャールを倒したのじゃろう」
「俺は元の自分の世界に帰れるんですか?」
「その前に一つ聞きたい。 お主の世界には理力とその理力を操る技、理術は在るかの?」
「その理力とか理術とは何ですか?」
「此のような力の事じゃよ」
オーグ様が持っていた杖を掲げると、杖の先端から水の玉が生まれた。
こ、此れはもしかして魔法とかの類のものか! す、凄い! この世界には魔法が在るんだ!
「いえ! 俺の世界にはそんな不思議な力は在りませんよ!」
「……スマンが確認したいのでこの球に手の指の爪のさっきちょで触れてみてくれんか」
オーグ様の言う通り、右手の人差し指の爪の先でオーグ様が創りだした黒い球を突付く。
「え?」
黒い球に触れた爪の先が消えた。
オーグ様が眉尻を下げ眉間にシワを作り、困った顔をする。
その顔を見た俺は不安になりオーグ様に問う。
「……黙っておってもいずれ知る事になるだろうから素直に話すが、お主を元の世界に帰す事、それは神の力を持ってしても不可能じゃ。 スマン……」
「っ!? どうしてです!! 何で何ですか!!!!」
俺は動揺して思わずオーグ様に詰め寄る。
「落ち着くのじゃ! 帰る事、それ事態は不可能ではない! 方法も手段もある! ……じゃが、最大の問題は世界の理がこの世界とお主の世界では違い過ぎるのじゃ。 お主の世界には理力とその力を引き出す術、理術が無い。 そうじゃったな?」
「……はい、俺の世界には理力何てモノは在りませんでした」
「マサキよ、お主がこの世界に来た時のまま人間であったなら可能じゃったかもしれん。 しかし、お主は邪神アシャールを倒し、その力をその身に取り込んでしまった。 そうなるとこの世界の法則と理にお主の存在が作り変えられ、理力が存在するこの世界の者となった。 故に、もしお主が理力の存在しない元の世界に帰る。 すると乾いた砂の上に落ちた一滴の水のごとく、お主の存在は世界に吸収され消えてなくなるのじゃ。 ――嘗て儂ら神の中に異世界に渡ろうとした神がおった。 その神が理力の無い世界に足を踏み入れた途端、その世界はその神を喰らい尽くした」
「そ、そんな……」
「折角、新たな同胞が出来たのじゃ、儂等はお主を死なせとうはない。 ……帰還は諦めてくれ」
オーグ様から話を聴き終えた俺はその場にみっともなく蹲り、慟哭した。




