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Machine Smith  作者: 真田 貴弘
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 俺は目を見開き強化外骨格の中で奴をジッ!と睨みつける。


 ”二ノ宮 勉(にのみや つとむ)”


 奴によって俺は恋人の”霧谷 麗夜(きりたに れいや)”との中を引き裂かれ、学校事務員の職を失った。


 それが切っ掛けで俺は傷心旅行に出たのだが、その先で俺はこの世界に迷い込み、――そして二度と元の世界には戻れない体質になってしまった。


 そんな事など知らない女教皇は前にある壇上に上がり、中央に並び立つ俺達に向かって話し始める。


「さて、改めて自己紹介しよう。 儂の名はフェリシア=ロス=アラモス。 この世界と全ての生命を創りし創造神アシャール様。 その教えを守り従うアシャール教の総本山にてアシャール様を信仰する全ての人々をアシャール様になり代わり、導き、纏める役目を仰せつかり教皇座に着いておる。 そしてこの場に居られる方々は世界中の国々から来られた国王やその代理の方々じゃ」


 国王やその代理って……。 もしかしてこの人達暇なの? 俺的にはそういう人達って分刻みのスケジュールで働く、とても忙しい人のイメージがあるんだけど。


「今回、お主達をこの世界に召喚したのは創造神アシャール様のお告げによるもの」


 二ノ宮 勉が皆を代表して教皇フェリシアに質問する。

 

「お告げ? それは一体……」


 そうだよな。 お前は代表とかリーダーとか、そういうポジションに着こうとするよな。


 俺は心の中で悪態をつきながら二人の会話の続きを聞く。


「もし、自分が邪神オーグに打たれたならば、異世界より勇者としての素質と力を持つ者を召喚し倒す事、じゃ。 そのための御業も授けられた。 それがお主達を召喚した召喚陣じゃ」


 おい!? 何じゃそら! 邪神オーグって、もしかしなくともうちのオーグ様の事か! んでもって、創造神アシャール様って邪神アシャールの事かよ!


 ……そう言えば、この世界の成り立ちについてオーグ様やユティーファ、シナモンから聞かされたな。


オーグ様って元々はこの世界に居る四柱の大神の一柱で偉い神様だったらしい。 ある時、オーグ様率いる勢力の中から人々の信仰から新しい神が誕生した。 その神は人々の信仰を一身に集め、メキメキと実力を伸ばし、遂にはオーグ様達を此処、辺境宙域に追放した。


 其処でオーグ様はオーグ様に付いて来た神々や眷属達と協力しこの星を創造し、神々が暮らす楽園を築き上げた。


 神々が幸せに暮らしていたある日、宇宙の彼方から戦争により住んでいた惑星が破壊され行き場を失くした移民船団がやって来た。 オーグ様は哀れに思いこの星で暮らす事を許可した。


 ――だが、それが間違いの元だった。


 その移民船団には邪教徒が潜んでいた。 そして、その邪教徒達が信仰していたのが邪神アシャールだったのだ。 移民初期の頃、邪教徒と邪神アシャールは誰にも悟られずじっと身を潜めていた。 移民達が安定した生活を手に入れ、やがて人口が増えるのに時間は掛からなかった。 そして、邪教徒と邪神アシャールは動き出した。 この星を手に入れるために。


 まず、奴等が行った事、それは技術者の暗殺と技術の破壊。 自分達の脅威に成り得る技術者を亡き者にし、技術を消失させる。 戦争の切っ掛けとなるそれらを全て神罰の名の下に行っていったのだ。


 そのため、この星の人々の生活や知識、技術力は理術以外は地球の中世ヨーロッパ時代の水準まで落ち込んだ。 理術はだけは邪神アシャールがオーグ様達に対抗するため人々に奇跡の力として残したらしい。


 その間、オーグ様も対策はした。 技術者達を妖精郷に匿い、人々を説得し、邪神アシャールや邪教徒達を一掃しようとした。


 だが、邪神アシャールや邪教徒達はずる賢くまたしぶとかった。 邪神アシャールは邪教徒達に知恵と力を与え、勢力を瞬く間に拡大し、やがてその勢力はこの星に住む全ての人々に及んだ。 


 で、オーグ様達は邪神アシャールや”アシャール教”の邪教徒達の所為で仲間を失い弱体化していった。 そんな困り果てたところに俺が現れ邪神アシャールを倒したという訳だ。


 それにしてもオーグ様達を倒すため勇者の召喚陣とか残してるなんてアシャールの奴、用意周到と言うか何と言うか……。


 そんな益体も無い事を考えていたら、後方にある扉からバンバンと何かを強く打ち付ける音と激しく言い争う声が聞こえた。


 言い争う声が止んだと思ったら、扉が再び開けられ外から陽の光を背に小柄な人物が立っていた。


 良く見るとそれは息を切らし、あられもない姿の老女が髪と萎んで垂れた乳房を振り乱し、教皇フェリシアを指差しながら叫ぶ。


「そ、その者は偽物じゃ!! 儂こそが本物の”フェリシア=ロス=アラモス”じゃ!!」


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